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第1章
第4話
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「は~い、これで今日は終わりです! お疲れ様でした!」
金井先生のこの掛け声と共に本日の学校は終了した。
「リリー」
私は掛け声と同時に解散していくクラスメイトたちの中で、リリーに早速声を掛けていた。
「今日一緒に帰れる?」
「ごめん! 私用事があるから一緒に帰れないわ」
あー、それは残念だ。
いつもリリーと帰宅していて、時には寄り道もしているのだが今日は私一人で帰宅という感じか。
「そっか寂しいなあ」
「ふふっ、そう思ってくれるのね~」
こんな軽口にもリリーは乗ってくれる。本当に良い友達が出来たと言っても良いだろう。リリー以外にも友人はもちろんいるのだが、私と一緒に行動するのはリリーが一番多い。入学式、たまたま会話した事がそのまま仲良くなっていくのに繋がっていった事を考えると本当に良かったと心から思える。
「他の子にも聞いてみようかな~一緒に帰れるか」
「ほぉ~、直後にそれを言うとは中々ですな」
どうしろと言うのか。
「んもう! 今日用事があって無理なら自然とそうなっちゃうでしょ!」
「あはは、ごめんごめん」
軽く謝るリリーを見て、私は全く……と内心思う。
けど、この明るさがまたリリーの良さだとも考えていた。
「……何、どうしたの?」
「いやあ。リリーが居ると本当に気分が明るくなるって思って」
なっ……と少し顔を赤らめさせるリリー。あ、これはもしかして……。
「もしかしてストレートに褒められると恥ずかしい?」
「う……うるさいなっ! ほら、他の子誘うんならさっさと行った方が良いでしょ!」
それもそうだった。
からかいに対して完全に動揺しているリリーを横目に、私は早速他の友達に一緒に帰れるかどうかを聞いて回った。
「はぁ……」
結果としては、誰一人として暇ではなかった。リリー以外の友達は大体何かしらの部活に入っていたり、放課後に習い事とかバイトとか入っているって子が多いのだが……誰も空いていない、という事実には少しガッカリせざる負えない。
しかも、校門前で藍春と遭遇してまた嫌味を言われたし……。今回に関しては完全にスルーしたんだけど。という訳で、私は一人寂しく帰宅する事になったのだ。
「いや待て」
逆にこれはチャンスかもしれない、と思い直す。
今日は珍しく一人というのは、つまり自由が利くという事。もしかしたら、いつもと違う道を行ったら新しい発見があるかもしれない。そしたら、色々な変化が起こりえるかも……!
そう、考えた私は一人でテンションを最大限にぶち上げていっていた。
「よし! そうとなったら寄り道よ寄り道!」
他人から見たら半分ヤケに見えるかもしれないけど、私は本気だった。こうなったら精一杯この一人の時間をフル活用しちゃおう! という魂胆でいつもの帰宅路とは全然違う道を歩き始めた。
今ならスマートフォンの地図機能使えば道がわからなくなって迷子になる……みたいな事にもならないだろうしなるべく人気の多い場所を移動できるだろうから危険は少ない……筈。
優先順位としては家まで帰宅する道なんだけど、いつも違う道を開拓していこうという魂胆な訳だ。どうせなら、こうして行った方が楽しいだろう。それに、こういう時こそ何か運命みたいな事が起こるだろう。
私はそんな心持ちでいつもの帰宅路とは全然違う道を歩いて行く事にした。
「それにしてもこの辺りの家古っ、どこ通ってるんだろ」
私は、やや複雑に入り組んだ昔ながらの建築物と思われる家の間を進みながら叫んでいた。この辺りってまだまだ新しく建て替えられてないんだ……! とかその様な事を考えながら通っていく。
しかし、大きな発見というにはちょっと微妙かもしれない。
お店らしいものも見つからないし、歩いても歩いても古めかしい家が立ち並んでいる場面で変わりなかった。これだとあまりにいつもの帰宅路と変わらない……ちょっと違う道を使って帰ったぐらいの結果でしかない。
そんな焦りを覚えた私は、何とか色々とこの辺りを歩き回り続けていた。
まだまだ夕暮れ時ではあるので、まだ暗くなる前には家に帰れる筈……私は家に帰る方法を考えながら、色々な道を試して歩いていた。
そんな中だっただろう。
「あれ……?」
私はこの住宅街にお店がある事に気が付いた。店の看板らしきものを見る。その看板の名前から私はそのお店が所謂古本屋である事を理解した。
「ていうか、何でこんな所に古本屋が……?」
改めてスマホで周辺の地域情報を見ると、一応近くには商店街があるようだ。けれど、商店街の中にあるとは言い難い古く、入り組んだ住宅街の中に、ひっそりと古本屋が経営されているのは何だか不思議だった。お金とかのやりくりはどうなっているんだろう。
しかし、私はこんな変な立地にある古本屋を発見した事で少し舞い上がっている気持ちがあった。青春、とはちょっと関係がないかもしれないけどこういう所にこそ……そう、人生を大きく変える様なきっかけがあったりするものだと私は思う。
私はしばらく店の前で立ち止まった後に、古本屋の中に入る事にした。
「すみませ~ん……」
少し小声だっただろうか。
けれど初めて入るお店なのだ。正直、かなり緊張していた。少しワクワクもしていたけれど、それでも緊張の方が強い。
「おや、いらっしゃい」
私の声に反応するように店の中から声が聞こえた。その声は少し枯れているような気が……少なくとも私より少し年上ぐらいの人、と言うよりは結構なお年を重ねた方だと感じる。
「緊張しているのかい? ほら、早く入りなさないな」
「は、はいっ」
私はその人に促されるままに店内へと入っていく。
店の中は、一言で表現するならば……古い、いや懐かしい時代を感じさせる。そんなちょっと不思議な場所に感じられた。
言うなればここにいる時だけ自分が生まれるより前にタイムスリップしたかの様なそんな感覚になる。自分が生まれるより前はこんな雰囲気だったのかなと感じる様なその様なものだ。
「おや、珍しいね……若い子がこのお店に来てくれるとは」
「あ、その……」
私は声のした方を振り向く。そこには、お婆さんがいた。
「おや、あんたは……?」
「……?」
お婆さんは、何やら驚いた様な姿を見せたがコホン、とわざとらしく咳払いする。
「なんでもないよ。あんたは何をしに?」
「……あっ、別にっ。何か用事があったって訳じゃないんですけど!」
私はあわあわと弁明をする様に色々とまくし立てていた。恥ずかしい。別に悪い事をしに来たとかそんな訳じゃないのになんだか慌ててしまう。
「そ、それよりっ……ここってどんな本が置いているんですか?」
「それはもちろん、皆が大事に使っていた本たちを置いているお店……だよ」
確かに、古本はそう表現できるものだ。
何だかその視点はちょっと良い考えだな、と私は内心ほっこりとしている。
「あの、ちょっと中見てていいですか?」
「わざわざ確認を取らなくても、大丈夫よ。お店は、そういうものだろう」
それも、そうか。
おばあちゃんの言う通り、私は店内を少し見て回る事にした。こうして、店内を改めて見まわしているとたくさんの本があるなあ、と私は思ってしまう。こんな目立たない所にこれだけの本を集めたお店があるのは何だか隠れた名店っとかそういう場所に来ている様な気がしてきて、私はなんだかウキウキ気分だった。
私はいくつかの棚を見ている中で、気づいたものがあった。
「……あれっ」
何だか、一冊だけ周りの本と比べるとキラリとしている様な……何と言うか、使い込まれていないというか出来立てホヤホヤの新品の様な本が一つ置いてあるのを私は発見する。
「お婆ちゃん、これは?」
私はその本を取り出してお婆ちゃんに見せる。その際、私は題名も確認していた。
題名は『あなたの人生の本』で、何だか大げさな名前だ。それに、何故なのかはわからないけど、著者名とか書いてない……。
「ああ、この本かい……これはちょっと前にこのお店に来た本だよ」
「そうなんですか?」
「そう。中身は絵本だと言っていたよ」
絵本……何だか、私は少しこの本がとても気になっていたのだ。
明らかに周りと比べて浮き立って置かれていたこの本はなんだか、私には惹かれるものがあったんだと思う。それは、もうこの本に視線が集中するくらい。
「あの」
私は少し前のめりになっていた。この本が欲しい。
「この本、買いますっ」
とても欲しくてたまらない、と私は無邪気にそう思っていた。
「は~い、これで今日は終わりです! お疲れ様でした!」
金井先生のこの掛け声と共に本日の学校は終了した。
「リリー」
私は掛け声と同時に解散していくクラスメイトたちの中で、リリーに早速声を掛けていた。
「今日一緒に帰れる?」
「ごめん! 私用事があるから一緒に帰れないわ」
あー、それは残念だ。
いつもリリーと帰宅していて、時には寄り道もしているのだが今日は私一人で帰宅という感じか。
「そっか寂しいなあ」
「ふふっ、そう思ってくれるのね~」
こんな軽口にもリリーは乗ってくれる。本当に良い友達が出来たと言っても良いだろう。リリー以外にも友人はもちろんいるのだが、私と一緒に行動するのはリリーが一番多い。入学式、たまたま会話した事がそのまま仲良くなっていくのに繋がっていった事を考えると本当に良かったと心から思える。
「他の子にも聞いてみようかな~一緒に帰れるか」
「ほぉ~、直後にそれを言うとは中々ですな」
どうしろと言うのか。
「んもう! 今日用事があって無理なら自然とそうなっちゃうでしょ!」
「あはは、ごめんごめん」
軽く謝るリリーを見て、私は全く……と内心思う。
けど、この明るさがまたリリーの良さだとも考えていた。
「……何、どうしたの?」
「いやあ。リリーが居ると本当に気分が明るくなるって思って」
なっ……と少し顔を赤らめさせるリリー。あ、これはもしかして……。
「もしかしてストレートに褒められると恥ずかしい?」
「う……うるさいなっ! ほら、他の子誘うんならさっさと行った方が良いでしょ!」
それもそうだった。
からかいに対して完全に動揺しているリリーを横目に、私は早速他の友達に一緒に帰れるかどうかを聞いて回った。
「はぁ……」
結果としては、誰一人として暇ではなかった。リリー以外の友達は大体何かしらの部活に入っていたり、放課後に習い事とかバイトとか入っているって子が多いのだが……誰も空いていない、という事実には少しガッカリせざる負えない。
しかも、校門前で藍春と遭遇してまた嫌味を言われたし……。今回に関しては完全にスルーしたんだけど。という訳で、私は一人寂しく帰宅する事になったのだ。
「いや待て」
逆にこれはチャンスかもしれない、と思い直す。
今日は珍しく一人というのは、つまり自由が利くという事。もしかしたら、いつもと違う道を行ったら新しい発見があるかもしれない。そしたら、色々な変化が起こりえるかも……!
そう、考えた私は一人でテンションを最大限にぶち上げていっていた。
「よし! そうとなったら寄り道よ寄り道!」
他人から見たら半分ヤケに見えるかもしれないけど、私は本気だった。こうなったら精一杯この一人の時間をフル活用しちゃおう! という魂胆でいつもの帰宅路とは全然違う道を歩き始めた。
今ならスマートフォンの地図機能使えば道がわからなくなって迷子になる……みたいな事にもならないだろうしなるべく人気の多い場所を移動できるだろうから危険は少ない……筈。
優先順位としては家まで帰宅する道なんだけど、いつも違う道を開拓していこうという魂胆な訳だ。どうせなら、こうして行った方が楽しいだろう。それに、こういう時こそ何か運命みたいな事が起こるだろう。
私はそんな心持ちでいつもの帰宅路とは全然違う道を歩いて行く事にした。
「それにしてもこの辺りの家古っ、どこ通ってるんだろ」
私は、やや複雑に入り組んだ昔ながらの建築物と思われる家の間を進みながら叫んでいた。この辺りってまだまだ新しく建て替えられてないんだ……! とかその様な事を考えながら通っていく。
しかし、大きな発見というにはちょっと微妙かもしれない。
お店らしいものも見つからないし、歩いても歩いても古めかしい家が立ち並んでいる場面で変わりなかった。これだとあまりにいつもの帰宅路と変わらない……ちょっと違う道を使って帰ったぐらいの結果でしかない。
そんな焦りを覚えた私は、何とか色々とこの辺りを歩き回り続けていた。
まだまだ夕暮れ時ではあるので、まだ暗くなる前には家に帰れる筈……私は家に帰る方法を考えながら、色々な道を試して歩いていた。
そんな中だっただろう。
「あれ……?」
私はこの住宅街にお店がある事に気が付いた。店の看板らしきものを見る。その看板の名前から私はそのお店が所謂古本屋である事を理解した。
「ていうか、何でこんな所に古本屋が……?」
改めてスマホで周辺の地域情報を見ると、一応近くには商店街があるようだ。けれど、商店街の中にあるとは言い難い古く、入り組んだ住宅街の中に、ひっそりと古本屋が経営されているのは何だか不思議だった。お金とかのやりくりはどうなっているんだろう。
しかし、私はこんな変な立地にある古本屋を発見した事で少し舞い上がっている気持ちがあった。青春、とはちょっと関係がないかもしれないけどこういう所にこそ……そう、人生を大きく変える様なきっかけがあったりするものだと私は思う。
私はしばらく店の前で立ち止まった後に、古本屋の中に入る事にした。
「すみませ~ん……」
少し小声だっただろうか。
けれど初めて入るお店なのだ。正直、かなり緊張していた。少しワクワクもしていたけれど、それでも緊張の方が強い。
「おや、いらっしゃい」
私の声に反応するように店の中から声が聞こえた。その声は少し枯れているような気が……少なくとも私より少し年上ぐらいの人、と言うよりは結構なお年を重ねた方だと感じる。
「緊張しているのかい? ほら、早く入りなさないな」
「は、はいっ」
私はその人に促されるままに店内へと入っていく。
店の中は、一言で表現するならば……古い、いや懐かしい時代を感じさせる。そんなちょっと不思議な場所に感じられた。
言うなればここにいる時だけ自分が生まれるより前にタイムスリップしたかの様なそんな感覚になる。自分が生まれるより前はこんな雰囲気だったのかなと感じる様なその様なものだ。
「おや、珍しいね……若い子がこのお店に来てくれるとは」
「あ、その……」
私は声のした方を振り向く。そこには、お婆さんがいた。
「おや、あんたは……?」
「……?」
お婆さんは、何やら驚いた様な姿を見せたがコホン、とわざとらしく咳払いする。
「なんでもないよ。あんたは何をしに?」
「……あっ、別にっ。何か用事があったって訳じゃないんですけど!」
私はあわあわと弁明をする様に色々とまくし立てていた。恥ずかしい。別に悪い事をしに来たとかそんな訳じゃないのになんだか慌ててしまう。
「そ、それよりっ……ここってどんな本が置いているんですか?」
「それはもちろん、皆が大事に使っていた本たちを置いているお店……だよ」
確かに、古本はそう表現できるものだ。
何だかその視点はちょっと良い考えだな、と私は内心ほっこりとしている。
「あの、ちょっと中見てていいですか?」
「わざわざ確認を取らなくても、大丈夫よ。お店は、そういうものだろう」
それも、そうか。
おばあちゃんの言う通り、私は店内を少し見て回る事にした。こうして、店内を改めて見まわしているとたくさんの本があるなあ、と私は思ってしまう。こんな目立たない所にこれだけの本を集めたお店があるのは何だか隠れた名店っとかそういう場所に来ている様な気がしてきて、私はなんだかウキウキ気分だった。
私はいくつかの棚を見ている中で、気づいたものがあった。
「……あれっ」
何だか、一冊だけ周りの本と比べるとキラリとしている様な……何と言うか、使い込まれていないというか出来立てホヤホヤの新品の様な本が一つ置いてあるのを私は発見する。
「お婆ちゃん、これは?」
私はその本を取り出してお婆ちゃんに見せる。その際、私は題名も確認していた。
題名は『あなたの人生の本』で、何だか大げさな名前だ。それに、何故なのかはわからないけど、著者名とか書いてない……。
「ああ、この本かい……これはちょっと前にこのお店に来た本だよ」
「そうなんですか?」
「そう。中身は絵本だと言っていたよ」
絵本……何だか、私は少しこの本がとても気になっていたのだ。
明らかに周りと比べて浮き立って置かれていたこの本はなんだか、私には惹かれるものがあったんだと思う。それは、もうこの本に視線が集中するくらい。
「あの」
私は少し前のめりになっていた。この本が欲しい。
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