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旦那様は前回まで、内緒でサロンの天井に魔法でダクトを作り、私達の会話を仕事をしながら執務室で聞いてらした。
それに気付き「やめてください!」と伝えて、サロンからダクトを消していただいた。
(次の手を打ちましたわね)
――この球。
執務室で仕事のお手伝いをしていたとき。
王太子様と旦那様、アーゴス様が集まり書類を確認しながら、国の財政を誤魔化し私益していた罪人、財務大臣の話をしていた。
そのとき旦那様が話した内容、財務大臣が何にお使いになったのかも詳しく知っており、誰も知り得ない裏の会話まで詳しく知っておられた。
私は不思議に思い聞いてみたのだ。
『旦那様はどうやって、財務大臣の悪行を知ったのですか?』
それはね、と――旦那様はしばらく考えて
『奥さんには教えてもいいかな?』
でも、誰にも言わないでねと前置きしてから、私の目の前に光の球を出した。
『丸い光の球?』
『そう、この球はね。王城に出入りする人物などに付けて、きな臭いことなどないかを調べ、秘密の話を聞くための――盗聴球だよ』
『盗聴球⁉︎』
国の秘密ごとを軽々しく聞いてしまったと、慌てた覚えがあるし、旦那様が『秘密の共有だね』と微笑んでらしたのも覚えている。
秘密の魔法をこんなことに使用するなんて。
旦那様! と球を指でつんつんと突くと、球から笑い声が聞こえてきた。
『はははっ、奥さんに見つかってしまったね』
球の向こう側、執務室で愉快に笑ってらっしゃる……しかも、あの笑い方はから笑い。
(旦那様はBLがお嫌い)
彼には一度――僕は男性同士のリアルな話を聞いたり、見たりしてた、いくら愛し合っても貴族は結婚をして、子孫を残さなくてはならない。
『子を成す――特殊な魔法を生み出さない限り、男同士での恋愛は無理な話だよ』
別れを悲しみ、悩み、苦しむ輩を見てきたと……幸せになったものはいないとおっしゃった。
(その話は重い。私の好きなものは妄想、二次元。それとこれとでは次元も違えば、別の話だ)
目の前の出来事と、妄想の世界。
旦那様に、ないものを好きだと言っているから、理解しずらいのもわかっている。
それに気付き「やめてください!」と伝えて、サロンからダクトを消していただいた。
(次の手を打ちましたわね)
――この球。
執務室で仕事のお手伝いをしていたとき。
王太子様と旦那様、アーゴス様が集まり書類を確認しながら、国の財政を誤魔化し私益していた罪人、財務大臣の話をしていた。
そのとき旦那様が話した内容、財務大臣が何にお使いになったのかも詳しく知っており、誰も知り得ない裏の会話まで詳しく知っておられた。
私は不思議に思い聞いてみたのだ。
『旦那様はどうやって、財務大臣の悪行を知ったのですか?』
それはね、と――旦那様はしばらく考えて
『奥さんには教えてもいいかな?』
でも、誰にも言わないでねと前置きしてから、私の目の前に光の球を出した。
『丸い光の球?』
『そう、この球はね。王城に出入りする人物などに付けて、きな臭いことなどないかを調べ、秘密の話を聞くための――盗聴球だよ』
『盗聴球⁉︎』
国の秘密ごとを軽々しく聞いてしまったと、慌てた覚えがあるし、旦那様が『秘密の共有だね』と微笑んでらしたのも覚えている。
秘密の魔法をこんなことに使用するなんて。
旦那様! と球を指でつんつんと突くと、球から笑い声が聞こえてきた。
『はははっ、奥さんに見つかってしまったね』
球の向こう側、執務室で愉快に笑ってらっしゃる……しかも、あの笑い方はから笑い。
(旦那様はBLがお嫌い)
彼には一度――僕は男性同士のリアルな話を聞いたり、見たりしてた、いくら愛し合っても貴族は結婚をして、子孫を残さなくてはならない。
『子を成す――特殊な魔法を生み出さない限り、男同士での恋愛は無理な話だよ』
別れを悲しみ、悩み、苦しむ輩を見てきたと……幸せになったものはいないとおっしゃった。
(その話は重い。私の好きなものは妄想、二次元。それとこれとでは次元も違えば、別の話だ)
目の前の出来事と、妄想の世界。
旦那様に、ないものを好きだと言っているから、理解しずらいのもわかっている。
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