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第二章 ストレーガ国までの帰路

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 ここが魔法大国ストレーガの王都――その王都を囲うよう大きな結界が張られている。王都外から壊すために集められた魔法使い達はホウキ、使い魔に乗って周りを飛んでいた。

 ――さすが魔法大国ストレーガ、魔法使いの数も多い。

 だけど、魔法使い達の魔法攻撃でも結界にヒビ、破壊することはまだ出来ていないみたいだ。その魔法使い達の姿を福ちゃんの上で杖を構えて、静かに見守るシエルさんとラエルさん、2人の足元には子犬ちゃんがいた。

「ふぅ、兄貴。僕たちの他に強い魔力を持つ、魔法使いは誕生していないね」

「あぁそうだな……俺達が国を離れている間、密かに訓練でもして上に行く者が現れると思っていたのにな――非常に残念だ」

 魔法使い達の魔法攻撃を見ながら、シエルさんとラエルさんはため息をついた。その2人の足元にいる子犬ちゃんは。

「おいおい2人とも、ボクの父上を忘れているぞと言いたいが。お前らよりもスゲェ勉強家で、魔法を愛して、桁違いな魔力量を待つ魔法使いがあらわれたら怖いわ!」

 桁違いな魔力量か……シエルさんが勉強家で魔法が好きなのは側で見ていればわかる……そんな彼らより、上の魔法使いが魔法大国のストレーガにいない。だとすると、二人は国で一、二を争う魔法使い?

 しかし、シエルさんはムッとした表情をした。

「フン、スゲェ、スゲェ悔しいが。ベルーガ、その話は訂正しろ! 今は上に行く者はいないが……ルーが魔力の使い方を覚えたら、俺達の上をいくぞ!」

「ウンウン、そうだね」
 
 えぇ⁉︎ 私が……シエルさんとラエルさんの上をいく?
 そんなことある訳ない!

「フフ」

「ルー、笑い事じゃない!」
「ほんとそうだよ」

 私を見る、2人の瞳は真剣だった。
 
 シエルさんに魔力があると聞いているし。魔法は好きだけど、まだ本格的に魔法の訓練はしたことがなく、魔力というものがわかっていない。

 その私が彼らの上をいく?
 考えられないわと困惑する私をよそに。

「あるじわかってるぅ~姉さんの魔力は優しい、側にいるとほんわか温かい」
 
「お嬢の魔力は心地よい」
「うむ、ガットと福の言う通り」

 ガット君、福ちゃん、クレまで。

「クク。ここで、ひとつ面白い事を言おうか。ルーが己の魔力を利き手に込めて結界にパンチを繰り出せば、いとも簡単にこの結界は壊れる」

「えぇ⁉︎ パンチで?」
「あぁ、一瞬で粉々になるな」

 今、大勢の魔法使いが結界を壊そうと、魔法を使っているのに……私の魔力を込めたパンチで壊れる? 

 ――こんなときに冗談を言うなんて!

「嘘よ! この結界を壊そうと、大勢の魔法使いが魔法を繰り出しているじゃない」

「嘘ではないよ。俺とラエルにも出来るが、ルーもそれくらいの魔力を持っていると言いたい。まだ訓練の前だから、今は無理だがな」
 
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