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教会のシエル
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静かな、西奥の教会に上がるイアンの苦痛の声。
隣の腰抜けのカロール殿下は怯えているのか、震えて見ているだけだ。偽ルーの苦しむ姿に、あれだけルーを好きだと言っておきながら、この場で動けないとはな。
偽ルーはとうとう俺の術に耐えれず「【解除】」と、みずから解除魔法を使った。それと同時にラエルからの念話がはいる。
奴の魔法が解けていく様を見ながら、ラエルと念話を始めた。
〈兄貴、ガットがルーチェさんを見つけたよ〉
〈そうか、ルーが見つかったか。それで、ルーは怪我をしていないか?〉
〈ガットの話では、ルーチェさんに怪我はなさそうだよ〉
〈そうか、よかった……ラエルはいまどこだ?〉
〈そっちに向かっている、もうすぐ着くよ〉
「「くそっ!」」
ん? どうやら……変化魔法が解けたようだ。
「ハァ、ハァ…………いてぇ、いて、シエルさんは酷いな……姉さんのことが好きじゃないの?」
「好きだが、ニセモノは好きじゃない!」
「ハハハ……」
笑おうとしても痛みで笑えず、イアンは涙を流しながら俺を睨み付けた。偽ルーの正体はルーの弟、イアンか。で、「その旧式魔法はどうした」と効く前に、カロール殿下がイアンの肩を掴んだ。
「なぜ、ここにイアンがいる? ルーチェ嬢は何処にやった?」
「安心してください、姉さんは殿下が用意した部屋にいます。でも、シエルさんとその仲間に見つかったみたいですけど」
イアンはカロール殿下に悪気なく言う。その態度にキレた、カロール殿下は大声を上げた。
「ルーチェ嬢が見つかっただと? すべて、お前に任せれば上手くいくと言ったから任せたのに。なんたる失態だ、イアン!」
イアンは、息の荒くさせたカロール殿下を冷静に見つめた。
「ご自身で婚約破棄したくせに……カロール殿下は口だけで、何も出来ないでくのぼうのくせに……邪魔だから終わるまでお眠りください」
右手でカロール殿下の顔を掴んだ途端に、倒れるように床に崩れ落ちた。
やはり、イアンが使う魔法は旧式魔法だ。
若いイアンになぜ、その魔法が使える?
イアンが使う魔法は――旧式魔法はあの忌々しい魔女、奴が使用する独自の魔法。奴が記した魔導書を読まねば、誰にも使用する事ができない奴だけの魔法だ。
おや? 気が付かなかったが……イアンの右腕の色、他の肌の色と違うな。ムムム? あの右手の魔力……こんな所になぜ黒魔女がいる? 黒魔女はあの後――国王陛下と魔道士達によって、魔法で体をバラバラにされて、大陸の霊力の高い場所に封印されたと陛下に聞いていた。
奴だと思うが……こればかりは一人で判断するのは危険か?
〈ラエル、お前の鑑定魔法が必要だ〉
〈着いたよ〉
ラエルが先端が青色に光る杖を持ち、教会の扉を開けて入ってきた。
「兄貴、誰を鑑定するの?」
「奴だ、奴を鑑定してくれ!」
わかったと、その杖を構えてラエルは「【鑑定】」とイアンの分析を開始した。その途端にイアンは怯えだす、
「なんだこれ? 複数の目が僕をみている? うわぁ、気持ち悪い! 止めろ、僕を見るな!」
イアンは手を振り、自分を見つめる複数の目を払おうとした。気持ちはわかる……ラエルの鑑定ほど怖いものは無い。いま、イアンの周りには幾つもの目ん玉が現れて、体の隅々まではたまた中まで鑑定される。
弟の鑑定が終わる頃には体の震えが止まらなくなり、トラウマにもなる犯罪者もいたな。この魔法は自分の弟ながら少し怖く感じる。
「兄貴、鑑定終わったよ。あの男性の右手……黒魔女のものだよ」
「やはり、そうか」
イアンは黒魔女に腕を喰われていたか……となると、黒魔女は復活したか。――そうなると、俺たちの国を襲ったナタリーも、黒魔女の甘い言葉にそそのかされたのかもな。
旧魔法の存在を知らず、使えるはずがないイアンが使っていたくらいだ。ぽんこつナタリーにだって使えるだろう。
「ラエル、黒魔女の右腕を捕らえるぞ……もしかすると、ナタリーを操っているのは黒魔女かもしれない」
「あり得るね。わかった、イアンごと封印しよう」
ラエルと共に杖を構えて【封印魔法】を唱える。黒魔女は封印魔法に気付いたのか、イアンの右腕から離れた。すでにイアンはラエルの【鑑定】で、相当な心に大打撃を受けたのか、終わったあと崩れるように床に倒れて、そのまま気を失っている。
イアンから離れた黒魔女の右手は。
[キィ! なんてことをしてくれるんだい。せっかく見つけたのに、次の寄生先を見つけないとならなくなった。……おや? おやおや、ここにあなた達よりも魔力が多い子が来るじゃない]
俺達よりも魔力が高い子だと? まさか、ルーか? ルーがこっちに向かってきている?
隣の腰抜けのカロール殿下は怯えているのか、震えて見ているだけだ。偽ルーの苦しむ姿に、あれだけルーを好きだと言っておきながら、この場で動けないとはな。
偽ルーはとうとう俺の術に耐えれず「【解除】」と、みずから解除魔法を使った。それと同時にラエルからの念話がはいる。
奴の魔法が解けていく様を見ながら、ラエルと念話を始めた。
〈兄貴、ガットがルーチェさんを見つけたよ〉
〈そうか、ルーが見つかったか。それで、ルーは怪我をしていないか?〉
〈ガットの話では、ルーチェさんに怪我はなさそうだよ〉
〈そうか、よかった……ラエルはいまどこだ?〉
〈そっちに向かっている、もうすぐ着くよ〉
「「くそっ!」」
ん? どうやら……変化魔法が解けたようだ。
「ハァ、ハァ…………いてぇ、いて、シエルさんは酷いな……姉さんのことが好きじゃないの?」
「好きだが、ニセモノは好きじゃない!」
「ハハハ……」
笑おうとしても痛みで笑えず、イアンは涙を流しながら俺を睨み付けた。偽ルーの正体はルーの弟、イアンか。で、「その旧式魔法はどうした」と効く前に、カロール殿下がイアンの肩を掴んだ。
「なぜ、ここにイアンがいる? ルーチェ嬢は何処にやった?」
「安心してください、姉さんは殿下が用意した部屋にいます。でも、シエルさんとその仲間に見つかったみたいですけど」
イアンはカロール殿下に悪気なく言う。その態度にキレた、カロール殿下は大声を上げた。
「ルーチェ嬢が見つかっただと? すべて、お前に任せれば上手くいくと言ったから任せたのに。なんたる失態だ、イアン!」
イアンは、息の荒くさせたカロール殿下を冷静に見つめた。
「ご自身で婚約破棄したくせに……カロール殿下は口だけで、何も出来ないでくのぼうのくせに……邪魔だから終わるまでお眠りください」
右手でカロール殿下の顔を掴んだ途端に、倒れるように床に崩れ落ちた。
やはり、イアンが使う魔法は旧式魔法だ。
若いイアンになぜ、その魔法が使える?
イアンが使う魔法は――旧式魔法はあの忌々しい魔女、奴が使用する独自の魔法。奴が記した魔導書を読まねば、誰にも使用する事ができない奴だけの魔法だ。
おや? 気が付かなかったが……イアンの右腕の色、他の肌の色と違うな。ムムム? あの右手の魔力……こんな所になぜ黒魔女がいる? 黒魔女はあの後――国王陛下と魔道士達によって、魔法で体をバラバラにされて、大陸の霊力の高い場所に封印されたと陛下に聞いていた。
奴だと思うが……こればかりは一人で判断するのは危険か?
〈ラエル、お前の鑑定魔法が必要だ〉
〈着いたよ〉
ラエルが先端が青色に光る杖を持ち、教会の扉を開けて入ってきた。
「兄貴、誰を鑑定するの?」
「奴だ、奴を鑑定してくれ!」
わかったと、その杖を構えてラエルは「【鑑定】」とイアンの分析を開始した。その途端にイアンは怯えだす、
「なんだこれ? 複数の目が僕をみている? うわぁ、気持ち悪い! 止めろ、僕を見るな!」
イアンは手を振り、自分を見つめる複数の目を払おうとした。気持ちはわかる……ラエルの鑑定ほど怖いものは無い。いま、イアンの周りには幾つもの目ん玉が現れて、体の隅々まではたまた中まで鑑定される。
弟の鑑定が終わる頃には体の震えが止まらなくなり、トラウマにもなる犯罪者もいたな。この魔法は自分の弟ながら少し怖く感じる。
「兄貴、鑑定終わったよ。あの男性の右手……黒魔女のものだよ」
「やはり、そうか」
イアンは黒魔女に腕を喰われていたか……となると、黒魔女は復活したか。――そうなると、俺たちの国を襲ったナタリーも、黒魔女の甘い言葉にそそのかされたのかもな。
旧魔法の存在を知らず、使えるはずがないイアンが使っていたくらいだ。ぽんこつナタリーにだって使えるだろう。
「ラエル、黒魔女の右腕を捕らえるぞ……もしかすると、ナタリーを操っているのは黒魔女かもしれない」
「あり得るね。わかった、イアンごと封印しよう」
ラエルと共に杖を構えて【封印魔法】を唱える。黒魔女は封印魔法に気付いたのか、イアンの右腕から離れた。すでにイアンはラエルの【鑑定】で、相当な心に大打撃を受けたのか、終わったあと崩れるように床に倒れて、そのまま気を失っている。
イアンから離れた黒魔女の右手は。
[キィ! なんてことをしてくれるんだい。せっかく見つけたのに、次の寄生先を見つけないとならなくなった。……おや? おやおや、ここにあなた達よりも魔力が多い子が来るじゃない]
俺達よりも魔力が高い子だと? まさか、ルーか? ルーがこっちに向かってきている?
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