62 / 108
魔法屋での話④(シエル・ラエル・子犬)
しおりを挟む
ルーを見送り。魔法屋に残った俺たちはこれからの事を話を始めた。それは夜な夜な子犬におとずれる胸の痛みと高熱……ナタリーの呪い。
この呪いは特殊で直ぐに解除はできない。やはり直ぐに国に帰り、かけた本人に呪いを解かせるしかないな。
「兄貴、ストレーガ国に帰ろう」
ラエルの言葉に俺は頷く、この話に関してはラエルの意見に賛成しか無い。
「いろんな解除方法を試したが、この呪いは俺たちには解けない。子犬――ベルーガのことを考えるなら、ストレーガ国に帰るしかない」
子犬はしゅんと頭を下げた。
「……ごめん、シエル」
「バカ、謝るな。ルーはもちろん大事だけと、お前の命も大切なんだ」
――近々、ルーに国に帰ると話すしかないか。
「3日後の休みにルーに話す。ラエル、ベルーガ、もし、ルーが俺達に着いてきたいと言ったら……連れて行ってもいいか?」
「オレはかまわん、ルーチェちゃんに抱っこしてもらう」
落ち込んでいたはずなのに抜け抜けとこの王子は。
「僕もいいよ。彼女に変わった料理を作ってもらいたい」
やっぱりか……優しいルーを2人して気に入ったんだな――絶対にどちらにも渡す気はない。
「話は決まったな。俺はいつもの鎮痛魔法を子犬にかけて、城に帰るよ」
あまり効果が見えないが「鎮痛魔法」は子犬の呪いの効果を遅くする。魔法をかけて俺は城へと帰った、本や書類、色んなものが溢れた俺の研究室。
「まずは部屋の片付けから、始めないとな」
次の日の朝、ラエルの使い魔ガットから報告があった。昨日の夜――魔法屋に泊まった子犬。その夜は胸の痛み熱もでず、ぐっすり眠れたと俺に伝えた。
――まさか、偶然か?
まだ信憑性はないが。俺はある仮説を打ち出した、俺の胸にあった火傷のあとが消えた日。子犬の呪いが発動しなかった昨日、どちらにもルーが側にいた。
もしかすると……ルーには癒しの力があるのか? 嫌々、早まるな――学園のときは何もなかったじゃないか。
いつだ、いつ、ルーの魔法の力が開花した? カロールと婚約破棄したときか? 魅力魔法を壊し、それから徐々に魔法に触れて魔力が開花していった。――だとしたらまずくないか、この事をアンサンテ国に知られれば、王家はルーを手放さなくなる。
――癒しの力は珍しすぎる。
いまはまだ俺だけの考えでしかない。……少し、嫌だが子犬で実験をするか。ラエルの使い魔ガットを呼びラエルへの言付けを頼む。すぐに弟は俺の提案に乗り"やってみよう"と返事が返ってきた。
「フウッ、研究室の掃除は明日にするか……」
さいきん、カロールは俺を「ルーチェ様、捜索隊」に呼ばなくなった。代わりにルーの弟――イアンをお供に連れていっているようだ。イオンは俺よりも従順で、奴の方が使えるのだろう。
それはいいとして、昨日一つ妙なことがあった。
カロールに呼ばれなくなったが、気になってウルラに頼みカロールを見張っていた。そこに、いつもは顔をださない国王陛下と王妃がにこやかに見送りにでていた。
――どうなっている?
最近、カロールの執務が滞り始めて口うるさく「探すのを止めなさい」と忠告をしていた陛下と王妃が「ちゃんと、探すのよ」「しっかりやりなさい」と、カロールに言っていた。
ウルラからみえた陛下と王妃に掛けたれた【操りの紋】――カロールの奴め、どうやら腕利きの魔術師を雇ったようだ……自分の両親にかけるなど人として終わっているが。俺としてはこのアンサンテ国が潰れようが、無くなろうがどうでもいい。
これなら。いきなりカロールに呼ばれることもなさそうだ。ウルラを呼び戻して、俺はすぐに魔法屋に行き子犬にルーの事を話した。奴も実験に乗り気なのか、楽しそうに返事をする。
――俺はその子犬に。
「よーく聞け。ルーに必要以上触るな、舐めるなよ」
「わかってるって、ルーチェちゃんの側で一緒に寝ればいいんだろ?」
あっけらかんと答えた子犬に少しムカついたが、これは実験だと考えることにした。
この呪いは特殊で直ぐに解除はできない。やはり直ぐに国に帰り、かけた本人に呪いを解かせるしかないな。
「兄貴、ストレーガ国に帰ろう」
ラエルの言葉に俺は頷く、この話に関してはラエルの意見に賛成しか無い。
「いろんな解除方法を試したが、この呪いは俺たちには解けない。子犬――ベルーガのことを考えるなら、ストレーガ国に帰るしかない」
子犬はしゅんと頭を下げた。
「……ごめん、シエル」
「バカ、謝るな。ルーはもちろん大事だけと、お前の命も大切なんだ」
――近々、ルーに国に帰ると話すしかないか。
「3日後の休みにルーに話す。ラエル、ベルーガ、もし、ルーが俺達に着いてきたいと言ったら……連れて行ってもいいか?」
「オレはかまわん、ルーチェちゃんに抱っこしてもらう」
落ち込んでいたはずなのに抜け抜けとこの王子は。
「僕もいいよ。彼女に変わった料理を作ってもらいたい」
やっぱりか……優しいルーを2人して気に入ったんだな――絶対にどちらにも渡す気はない。
「話は決まったな。俺はいつもの鎮痛魔法を子犬にかけて、城に帰るよ」
あまり効果が見えないが「鎮痛魔法」は子犬の呪いの効果を遅くする。魔法をかけて俺は城へと帰った、本や書類、色んなものが溢れた俺の研究室。
「まずは部屋の片付けから、始めないとな」
次の日の朝、ラエルの使い魔ガットから報告があった。昨日の夜――魔法屋に泊まった子犬。その夜は胸の痛み熱もでず、ぐっすり眠れたと俺に伝えた。
――まさか、偶然か?
まだ信憑性はないが。俺はある仮説を打ち出した、俺の胸にあった火傷のあとが消えた日。子犬の呪いが発動しなかった昨日、どちらにもルーが側にいた。
もしかすると……ルーには癒しの力があるのか? 嫌々、早まるな――学園のときは何もなかったじゃないか。
いつだ、いつ、ルーの魔法の力が開花した? カロールと婚約破棄したときか? 魅力魔法を壊し、それから徐々に魔法に触れて魔力が開花していった。――だとしたらまずくないか、この事をアンサンテ国に知られれば、王家はルーを手放さなくなる。
――癒しの力は珍しすぎる。
いまはまだ俺だけの考えでしかない。……少し、嫌だが子犬で実験をするか。ラエルの使い魔ガットを呼びラエルへの言付けを頼む。すぐに弟は俺の提案に乗り"やってみよう"と返事が返ってきた。
「フウッ、研究室の掃除は明日にするか……」
さいきん、カロールは俺を「ルーチェ様、捜索隊」に呼ばなくなった。代わりにルーの弟――イアンをお供に連れていっているようだ。イオンは俺よりも従順で、奴の方が使えるのだろう。
それはいいとして、昨日一つ妙なことがあった。
カロールに呼ばれなくなったが、気になってウルラに頼みカロールを見張っていた。そこに、いつもは顔をださない国王陛下と王妃がにこやかに見送りにでていた。
――どうなっている?
最近、カロールの執務が滞り始めて口うるさく「探すのを止めなさい」と忠告をしていた陛下と王妃が「ちゃんと、探すのよ」「しっかりやりなさい」と、カロールに言っていた。
ウルラからみえた陛下と王妃に掛けたれた【操りの紋】――カロールの奴め、どうやら腕利きの魔術師を雇ったようだ……自分の両親にかけるなど人として終わっているが。俺としてはこのアンサンテ国が潰れようが、無くなろうがどうでもいい。
これなら。いきなりカロールに呼ばれることもなさそうだ。ウルラを呼び戻して、俺はすぐに魔法屋に行き子犬にルーの事を話した。奴も実験に乗り気なのか、楽しそうに返事をする。
――俺はその子犬に。
「よーく聞け。ルーに必要以上触るな、舐めるなよ」
「わかってるって、ルーチェちゃんの側で一緒に寝ればいいんだろ?」
あっけらかんと答えた子犬に少しムカついたが、これは実験だと考えることにした。
11
お気に入りに追加
3,028
あなたにおすすめの小説
記憶を失くした婚約者
桜咲 京華
恋愛
侯爵令嬢エルザには日本人として生きていた記憶があり、自分は悪役令嬢であると理解していた。
婚約者の名前は公爵令息、テオドール様。
ヒロインが現れ、テオドールと恋に落ちれば私は排除される運命だったからなるべく距離を置くようにしていたのに、優しい彼に惹かれてしまう自分を止められず、もしかしたらゲームの通りにはならないのではないかと希望を抱いてしまった。
しかしゲーム開始日の前日、テオドール様は私に関する記憶だけを完全に失ってしまった。
そしてゲームの通りに婚約は破棄され、私は酷い結末を迎える前に修道院へと逃げ込んだのだった。
続編「正気を失っていた婚約者」は、別の話として再連載開始する為、このお話は完結として閉じておきます。
婚約破棄された悪役令嬢。そして国は滅んだ❗私のせい?知らんがな
朋 美緒(とも みお)
ファンタジー
婚約破棄されて国外追放の公爵令嬢、しかし地獄に落ちたのは彼女ではなかった。
!逆転チートな婚約破棄劇場!
!王宮、そして誰も居なくなった!
!国が滅んだ?私のせい?しらんがな!
18話で完結
前世持ち公爵令嬢のワクワク領地改革! 私、イイ事思いついちゃったぁ~!
Akila
ファンタジー
旧題:前世持ち貧乏公爵令嬢のワクワク領地改革!私、イイ事思いついちゃったぁ〜!
【第2章スタート】【第1章完結約30万字】
王都から馬車で約10日かかる、東北の超田舎街「ロンテーヌ公爵領」。
主人公の公爵令嬢ジェシカ(14歳)は両親の死をきっかけに『異なる世界の記憶』が頭に流れ込む。
それは、54歳主婦の記憶だった。
その前世?の記憶を頼りに、自分の生活をより便利にするため、みんなを巻き込んであーでもないこーでもないと思いつきを次々と形にしていく。はずが。。。
異なる世界の記憶=前世の知識はどこまで通じるのか?知識チート?なのか、はたまたただの雑学なのか。
領地改革とちょっとラブと、友情と、涙と。。。『脱☆貧乏』をスローガンに奮闘する貧乏公爵令嬢のお話です。
1章「ロンテーヌ兄妹」 妹のジェシカが前世あるある知識チートをして領地経営に奮闘します!
2章「魔法使いとストッカー」 ジェシカは貴族学校へ。癖のある?仲間と学校生活を満喫します。乞うご期待。←イマココ
恐らく長編作になるかと思いますが、最後までよろしくお願いします。
<<おいおい、何番煎じだよ!ってごもっとも。しかし、暖かく見守って下さると嬉しいです。>>
私は悪役令嬢マリーナ! 魔法とモフモフ達に囲まれて幸せなので、王子様は嫌いのままいてください。
にのまえ
恋愛
3度のご飯より乙女ゲーム好きな私は、夢にまで見るようになっていた。
今回、夢が乙女ゲームの内容と違っていた。
その夢から覚めると、いま夢に見ていた悪役令嬢マリーナの子供の頃に"転生している"なんて⁉︎
婚約者になるはずの推しにも嫌われている?
それならそれでいい、マリーナの魔法とモフモフに囲まれた日常がはじまる。
第一章 完結。
第二章 連載中。
児童書・童話タグから
恋愛タグへ変更いたしました。
乙女ゲームの世界だと、いつから思い込んでいた?
シナココ
ファンタジー
母親違いの妹をいじめたというふわふわした冤罪で婚約破棄された上に、最北の辺境地に流された公爵令嬢ハイデマリー。勝ち誇る妹・ゲルダは転生者。この世界のヒロインだと豪語し、王太子妃に成り上がる。乙女ゲームのハッピーエンドの確定だ。
……乙女ゲームが終わったら、戦争ストラテジーゲームが始まるのだ。
婚約破棄された公爵令嬢は虐げられた国から出ていくことにしました~国から追い出されたのでよその国で竜騎士を目指します~
ヒンメル
ファンタジー
マグナス王国の公爵令嬢マチルダ・スチュアートは他国出身の母の容姿そっくりなためかこの国でうとまれ一人浮いた存在だった。
そんなマチルダが王家主催の夜会にて婚約者である王太子から婚約破棄を告げられ、国外退去を命じられる。
自分と同じ容姿を持つ者のいるであろう国に行けば、目立つこともなく、穏やかに暮らせるのではないかと思うのだった。
マチルダの母の祖国ドラガニアを目指す旅が今始まる――
※文章を書く練習をしています。誤字脱字や表現のおかしい所などがあったら優しく教えてやってください。
※第二章まで完結してます。現在、最終章について考え中です(第二章が考えていた話から離れてしまいました(^_^;))
書くスピードが亀より遅いので、お待たせしてすみませんm(__)m
※小説家になろう様にも投稿しています。
異世界王女に転生したけど、貧乏生活から脱出できるのか
片上尚
ファンタジー
海の事故で命を落とした山田陽子は、女神ロミア様に頼まれて魔法がある世界のとある国、ファルメディアの第三王女アリスティアに転生!
悠々自適の贅沢王女生活やイケメン王子との結婚、もしくは現代知識で無双チートを夢見て目覚めてみると、待っていたのは3食草粥生活でした…
アリスティアは現代知識を使って自国を豊かにできるのか?
痩せっぽっちの王女様奮闘記。
義母ですが、若返って15歳から人生やり直したらなぜか溺愛されてます
富士とまと
恋愛
25歳で行き遅れとして実家の伯爵家を追い出されるように、父親より3つ年上の辺境伯に後妻として嫁がされました。
5歳の義息子と3歳の義娘の面倒を見て12年が過ぎ、二人の子供も成人して義母としての役割も終わったときに、亡き夫の形見として「若返りの薬」を渡されました。
15歳からの人生やり直し?義娘と同級生として王立学園へ通うことに。
初めての学校、はじめての社交界、はじめての……。
よし、学園で義娘と義息子のよきパートナー探しのお手伝いをしますよ!お義母様に任せてください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる