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29(シエルの話)
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目を覚ますとジメジメ、カビ臭い牢屋の中にいた。近くに弟と、ほかに俺達と同じように捕まった子供達がいた。
(ここは、城の地下の牢屋か?)
鉄格子の窓からわずかばかりの光が入ってくる。
まだ日は高いようだ――となると、俺達が王都の広場から連れさらわれて、余り時間が経っていないのか。
両親は大丈夫なのか?
これから俺達はどうなる?
〈シエル兄さん〉
〈ラエル〉
隣で気絶していたラエルが目を覚ました。次々と気絶していた、他の子達もみんな目を覚まし始めた。みんなはこの状況が分かると怯えて泣きだし、負の連鎖。それを見て、恐怖俺もで泣きたくなったけと、弟を守るために唇を噛んで我慢した。
〈僕、怖いよ〉
〈大丈夫だ、俺が付いてる〉
〈兄さんだって、震えてるよ。怖いんでしょ〉
〈あぁ、怖いさ〉
牢屋に入れられてしばらく経つ、上からコツコツ、コツコツと、ヒールの音と複数の足音が聞こえてきた。
(……ふうっ、誰かが、ここに来る)
ここに現れたのはランタンを持った騎士と、あの王妃だ。王妃は黒いローブドレス着て、頭からはすっぽり、薄手の黒いベールで顔を隠していた。
「ねえ、この子達が一番、魔力を持っているのね」
「はっ、そのようです。王妃様」
王妃は鉄格子に近付き、俺達を吟味するかのように見回した。その目線が俺達二人の手前の男の子のまえで止まる。そして、王妃はその子供を舐めるように見回したあと指した。
「この子と、そうね、あなたも来なさい」
と、王妃は俺を指さした。
〈兄さん!〉
〈大丈夫だ。ラエル、お前はもっと牢屋の奥の方で、顔を隠して身を潜めろ〉
騎士に手を掴まれて連れて行かれる俺、同じように付いてこようとしたラエルに向かって、念話した。その、念話が聞こえたのか、王妃は俺の顔を見て口元がこうを描く。
「へぇ、あなたとあなたは兄弟なのね。それも双子。ふ~ん。魔力量もかなり持っているのね」
俺とラエルを見て微笑んだ。いま、俺たちの念話が聞こえたのか……となると、王妃の魔力は俺たちより、魔力が上のようだ。
「兄弟いっぺんもいいのだけど。一人ずつ、大切にいただきましょう」
ラエルをいちべつして"来なさい"と俺の手を掴んだ。その王妃の手はしわくちゃな老婆のようで、王妃にまとわりつく、黒いモヤが俺の手にも移ってくる。
(うげっ、このモヤ気持ち悪い……これが、ヤツの魔力か?)
「フフフ、あなたの魔力、甘くて美味しいわね」
――ゾッとした。
王妃が『食べる』と言っていたのは魔力のことか。魔力の少ない子供は剣の訓練をさせ、戦争で使い捨てにするようだ。
唯一戦争を止めることが出来る国王は、言葉を話すことなく、虚な瞳をして王の間に座っていると――メイドたちが噂していた、
――こうなれば、だれもあの王妃には逆らえない。
だが、王妃は魔力が枯渇すると、しわくちゃな老婆の姿になる。そうなれば若い魔力を吸い若返る、俺は幾度なく王妃に魔力を吸われた。
一度奴に魔力を吸われると次の日は動けなくなり、城の医務室のベッドに寝かされた。その日は王妃に呼ばれることなく自由日となる。
そこで父に貰った徐々に魔力を回復してくれる、クロックの実を口に含み。吸われて気絶する前にその実をかじった。
魔力を吸われて眠ったようにして、魔力が回復して動けるまで待ち。体が動けるようになったら姿消しの魔法をかけ。医務室を抜けだし、城の書庫で魔導書を読み漁り、逃げるための新たな魔法を身に付けた。
俺は、この行動をクロックの実がなくなるまで続けた。
とりあえず方法は身につけた。俺たち二人が城から逃げるのは簡単、だが問題は逃げた後だ。女王は子供たちが逃げ出さないよう、所有物の証として、クロユリの焼印を胸に押した。
もちろん俺の胸にもクロユリの焼印がある。
花言葉は【呪い】それを消すためには、魔法で焼き切るしかないと試してみだが、いまの俺では無理のようだ。
(ここは、城の地下の牢屋か?)
鉄格子の窓からわずかばかりの光が入ってくる。
まだ日は高いようだ――となると、俺達が王都の広場から連れさらわれて、余り時間が経っていないのか。
両親は大丈夫なのか?
これから俺達はどうなる?
〈シエル兄さん〉
〈ラエル〉
隣で気絶していたラエルが目を覚ました。次々と気絶していた、他の子達もみんな目を覚まし始めた。みんなはこの状況が分かると怯えて泣きだし、負の連鎖。それを見て、恐怖俺もで泣きたくなったけと、弟を守るために唇を噛んで我慢した。
〈僕、怖いよ〉
〈大丈夫だ、俺が付いてる〉
〈兄さんだって、震えてるよ。怖いんでしょ〉
〈あぁ、怖いさ〉
牢屋に入れられてしばらく経つ、上からコツコツ、コツコツと、ヒールの音と複数の足音が聞こえてきた。
(……ふうっ、誰かが、ここに来る)
ここに現れたのはランタンを持った騎士と、あの王妃だ。王妃は黒いローブドレス着て、頭からはすっぽり、薄手の黒いベールで顔を隠していた。
「ねえ、この子達が一番、魔力を持っているのね」
「はっ、そのようです。王妃様」
王妃は鉄格子に近付き、俺達を吟味するかのように見回した。その目線が俺達二人の手前の男の子のまえで止まる。そして、王妃はその子供を舐めるように見回したあと指した。
「この子と、そうね、あなたも来なさい」
と、王妃は俺を指さした。
〈兄さん!〉
〈大丈夫だ。ラエル、お前はもっと牢屋の奥の方で、顔を隠して身を潜めろ〉
騎士に手を掴まれて連れて行かれる俺、同じように付いてこようとしたラエルに向かって、念話した。その、念話が聞こえたのか、王妃は俺の顔を見て口元がこうを描く。
「へぇ、あなたとあなたは兄弟なのね。それも双子。ふ~ん。魔力量もかなり持っているのね」
俺とラエルを見て微笑んだ。いま、俺たちの念話が聞こえたのか……となると、王妃の魔力は俺たちより、魔力が上のようだ。
「兄弟いっぺんもいいのだけど。一人ずつ、大切にいただきましょう」
ラエルをいちべつして"来なさい"と俺の手を掴んだ。その王妃の手はしわくちゃな老婆のようで、王妃にまとわりつく、黒いモヤが俺の手にも移ってくる。
(うげっ、このモヤ気持ち悪い……これが、ヤツの魔力か?)
「フフフ、あなたの魔力、甘くて美味しいわね」
――ゾッとした。
王妃が『食べる』と言っていたのは魔力のことか。魔力の少ない子供は剣の訓練をさせ、戦争で使い捨てにするようだ。
唯一戦争を止めることが出来る国王は、言葉を話すことなく、虚な瞳をして王の間に座っていると――メイドたちが噂していた、
――こうなれば、だれもあの王妃には逆らえない。
だが、王妃は魔力が枯渇すると、しわくちゃな老婆の姿になる。そうなれば若い魔力を吸い若返る、俺は幾度なく王妃に魔力を吸われた。
一度奴に魔力を吸われると次の日は動けなくなり、城の医務室のベッドに寝かされた。その日は王妃に呼ばれることなく自由日となる。
そこで父に貰った徐々に魔力を回復してくれる、クロックの実を口に含み。吸われて気絶する前にその実をかじった。
魔力を吸われて眠ったようにして、魔力が回復して動けるまで待ち。体が動けるようになったら姿消しの魔法をかけ。医務室を抜けだし、城の書庫で魔導書を読み漁り、逃げるための新たな魔法を身に付けた。
俺は、この行動をクロックの実がなくなるまで続けた。
とりあえず方法は身につけた。俺たち二人が城から逃げるのは簡単、だが問題は逃げた後だ。女王は子供たちが逃げ出さないよう、所有物の証として、クロユリの焼印を胸に押した。
もちろん俺の胸にもクロユリの焼印がある。
花言葉は【呪い】それを消すためには、魔法で焼き切るしかないと試してみだが、いまの俺では無理のようだ。
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