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シャルの村を救え②
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とりあえず夕食をとった後に、シャルの村の話を聞くことにした。
シャルと近くの街にある、おばあちゃんと通ったミルミル亭は馴染みの店だった――しかし、店主が初代からその息子さんへと変わったとかで、シャルとボクは入店を断られた。
「どうしてですか?」
「すみません。当店では獣人のお客様の入店を、お断りしているのです」
と、店の給仕係は言った。
店の中を見ると、タキシードとドレスを着た、貴族らしい人達が食事をとっている。
なじみのある店が高級店へと変わり、正装も必要になったみたいだ。おばあちゃんはこの店に魔導具を下ろしていて、今もなお使われているのに。
入店できないのは仕方がない。
隣ではシャルが、耳をねかせてしょんぼりしてる。
「ごめん、チロ……私のせいだね」
「違う! シャルのせいじゃないよ、店の方針が変わっただけ。そうだ、この街にあるカーマロン大食堂に行こう。その店も美味しいから」
「うん……」
大食堂カーマロンに向かったが満席だったので、ステーキ、味ごはん、スープを持ち帰りにしてもらうことにした。どうやらミルミル亭で食事をとっていた、大半の客が店に入れなくなって、こっちの店に回ってきたみたいだ。
「みんな、ボクたちと同じみたいだね」
「そうだね」
「シャル! コロッケ屋と串屋にも言って、もう少し食べ物を買おう」
「私、トカゲ肉を食べたい」
ボクと、元気が戻ったシャルは目についた店で買い物をして、両手いっぱいな袋を持って家へと戻った。
いつもの食卓に並べて、いつものように食事を始めた。シャルはいつもの様に食べず、買い物の時よりおとなしい。どうしたのかと気になって聞く前に、ポロポロ涙を流した。
「チロ、ごめん。シャルのせいでミルミル亭に入れなかったのも……シャルのせいで鉱石の採掘場所がバレたのも、みんな、みんな、シャルがチロの側にいるせい」
「シャルのせい? その訳を聞いてもいい?」
頷くと話し出した、大昔おばあちゃんにシャルの村は助けられた。それでシャルが恩返しにきたのはあっていると……しかし、今年になってから作物の育ちが悪く、食料の主体となる狩の量が減った。
このままだと食糧不足になって、後3ヶ月後にくる冬が越せない。シャルの村の村長は人間に助けを求めた。
シャル達獣人は人間のことをよく知らず、おばあちゃんの様に優しい存在と思っている。
だが、借りる相手が悪かったのだ。
先月になって村からシャルに手紙が来た、村のお金が足らない……どうにかならないかと。シャルはボクの話であの商会は悪いことばかりする、悪徳商会だと知っている。
だが、村のために話をつけに向かうと
「お前は、チロとか言うガキの側にいるオオカミだな」
「おい、チロの採掘場所を俺達に教えろ。そうすれば、お前の村の借金はチャラにしてやる」
「お前にとってもいい話じゃないか?」と言ってきた。
まあ、やらないなら全額一気に返して貰うだけだ。シャルには払えない額を請求された――と話した。
シャルは今、出身の村と悪徳商会の板挟みか。
ボクはシャルに払わなくてはならない、借金の額を聞いた。
「300万ロン……」
「300万ロンか……わかった、ボクが立て替えよう。そしてシャルはスロルー森の奥地にある、洞窟で採れるゴロゴロ鉱石の採掘場所も教えてきて」
「え? チロ、いいの?」
「いいよ、あの鉱石が掘れるかどうかは、アイツらの腕次第だから……でも、装備はしっかりしないと危ないとも教えてくれる? あと借用書? 何か契約書があったらサインを貰ってきてね」
と伝えてると。
わかったと、頷いた。
直ぐ、ソイツらに『お金が入ったから明日届ける』と伝えてもらい。翌日、シャルはお金を返しに向かった。
シャルと近くの街にある、おばあちゃんと通ったミルミル亭は馴染みの店だった――しかし、店主が初代からその息子さんへと変わったとかで、シャルとボクは入店を断られた。
「どうしてですか?」
「すみません。当店では獣人のお客様の入店を、お断りしているのです」
と、店の給仕係は言った。
店の中を見ると、タキシードとドレスを着た、貴族らしい人達が食事をとっている。
なじみのある店が高級店へと変わり、正装も必要になったみたいだ。おばあちゃんはこの店に魔導具を下ろしていて、今もなお使われているのに。
入店できないのは仕方がない。
隣ではシャルが、耳をねかせてしょんぼりしてる。
「ごめん、チロ……私のせいだね」
「違う! シャルのせいじゃないよ、店の方針が変わっただけ。そうだ、この街にあるカーマロン大食堂に行こう。その店も美味しいから」
「うん……」
大食堂カーマロンに向かったが満席だったので、ステーキ、味ごはん、スープを持ち帰りにしてもらうことにした。どうやらミルミル亭で食事をとっていた、大半の客が店に入れなくなって、こっちの店に回ってきたみたいだ。
「みんな、ボクたちと同じみたいだね」
「そうだね」
「シャル! コロッケ屋と串屋にも言って、もう少し食べ物を買おう」
「私、トカゲ肉を食べたい」
ボクと、元気が戻ったシャルは目についた店で買い物をして、両手いっぱいな袋を持って家へと戻った。
いつもの食卓に並べて、いつものように食事を始めた。シャルはいつもの様に食べず、買い物の時よりおとなしい。どうしたのかと気になって聞く前に、ポロポロ涙を流した。
「チロ、ごめん。シャルのせいでミルミル亭に入れなかったのも……シャルのせいで鉱石の採掘場所がバレたのも、みんな、みんな、シャルがチロの側にいるせい」
「シャルのせい? その訳を聞いてもいい?」
頷くと話し出した、大昔おばあちゃんにシャルの村は助けられた。それでシャルが恩返しにきたのはあっていると……しかし、今年になってから作物の育ちが悪く、食料の主体となる狩の量が減った。
このままだと食糧不足になって、後3ヶ月後にくる冬が越せない。シャルの村の村長は人間に助けを求めた。
シャル達獣人は人間のことをよく知らず、おばあちゃんの様に優しい存在と思っている。
だが、借りる相手が悪かったのだ。
先月になって村からシャルに手紙が来た、村のお金が足らない……どうにかならないかと。シャルはボクの話であの商会は悪いことばかりする、悪徳商会だと知っている。
だが、村のために話をつけに向かうと
「お前は、チロとか言うガキの側にいるオオカミだな」
「おい、チロの採掘場所を俺達に教えろ。そうすれば、お前の村の借金はチャラにしてやる」
「お前にとってもいい話じゃないか?」と言ってきた。
まあ、やらないなら全額一気に返して貰うだけだ。シャルには払えない額を請求された――と話した。
シャルは今、出身の村と悪徳商会の板挟みか。
ボクはシャルに払わなくてはならない、借金の額を聞いた。
「300万ロン……」
「300万ロンか……わかった、ボクが立て替えよう。そしてシャルはスロルー森の奥地にある、洞窟で採れるゴロゴロ鉱石の採掘場所も教えてきて」
「え? チロ、いいの?」
「いいよ、あの鉱石が掘れるかどうかは、アイツらの腕次第だから……でも、装備はしっかりしないと危ないとも教えてくれる? あと借用書? 何か契約書があったらサインを貰ってきてね」
と伝えてると。
わかったと、頷いた。
直ぐ、ソイツらに『お金が入ったから明日届ける』と伝えてもらい。翌日、シャルはお金を返しに向かった。
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