上 下
34 / 47
空森島

十三

しおりを挟む
「また明日来るから、よんで」と、サン先生は仕事に戻った。
 ひと晩は彼女にベッドを貸して、俺は外で寝ることにした。

 先生に彼女を一週間、ここにおいてくれと頼まれたが、訳は? と聞いても教えてくれず。まあ、時期にわかりますよと、先生は手を振り帰っていった。

(一週間も好みの女性とすごす……過ごせる。寝顔をくらい見ても怒られないかな?)

 ――落ち着けオレ!

 
 
 空森島は今日もいい天気。
 早朝――俺は畑でスス、スラ、スム――スライムをだした。俺は水魔法で野菜たちに水を撒き、仕事をおぼえたスライム達はヌルヌルうごき、畑の雑草、虫、石などを酸で溶かしてくれる。

「いつもありがとう、頼もしいな」

「「ニュ!」」

 触覚?を伸ばして返事する、スライム好きな俺としては癒しのひとときだ。しごと終わりに朝食用のレタスとトマト、キュウリをもいだ。

「いこうか、彼女が目を覚ましてるかも」

 朝食をつくりに家に向かう、寝室は別室なので安心……じゃなかったぁ。俺シャツをきた寝起きの彼女がリビングにいた。

「おはよう、洗面所にタオルがあるから使って」

「……はい、おはようございます」

 朝は苦手なのかポーッとしていた……フリフリ動く尻尾、可愛いなぁ…………いや、待てぇーい。彼女の尻尾が上がって、俺シャツから下着がみえた。
 
 ――紐の白パン。純白……
 

「タオル、ありがとう」

「お、おう、朝食を作るからゆっくりしてて」

「うん」

 俺の目の前をチラチラ白パンが通る。目線が追う……目線が、うおっ、落ちたタオルを取るなぁ。

「あの? どうかしました?」
「いいや、別に……」
 
 後で、別の俺シャツに尻尾穴を作ろうと決めた。



 採れたて野菜でサンドイッチつくり、目玉焼きとベーコンを焼いた。食卓に並ぶできたての朝食をゆったり食べれなかった。

 魔王の魔力を感じたのだ。

「来たな……ススス達はポーションを奥から持ってきて。君はここにいて……朝食はたべちゃっていいから!」

「「ニューニュー!」」
 
「あっ」

 バタバタと慌ただしくな。

 スライム達にポーションを取りに行かせて。
 俺は外で杖を握り結界魔法を唱え、王都に三重の結界を張った。つぎに怨念攻撃を防ぐために雷魔法を発動する。二、三発外してようやく当てた。

「フウッ、次がくるか……」

 次の攻撃備えようとした、そこに彼女が走ってきて俺の前にひざまづき。

「【サーチ】北東、二百メートル先に反応あり」


 ――サーチ魔法?


「に、二百メートル?」

 驚く俺と、耳を立てて音を聞く彼女。
 目の前に彼女の魔道が見えた、なんて範囲の広いサーチ魔法だ。

「来ます! はやく、狙って攻撃してください!」

 狙う場所にピコンと赤く印がつく。
 あとはそこに雷撃を落とせばいい。

「わかった!」

 俺の雷撃が外すことなく一発で命中した。もう一発と命中する。俺はスライムたちが持ってきたポーションを飲み干して、彼女の指示を待つ。

「南東、百メートル」

 またピコンと赤い印がついた。

「雷撃!」

 三時間の間、彼女のサーチ魔法に頼り雷撃を命中させた。いつもなら倒れるところが、今日は余力を残せた。

 ――まあ、疲れて尻餅はついたが。

「ハァ――疲れた。ヌヌさんだったよな、ありがとう。狙うところがわかって、やりやすかった」

「いいえ、お役に立ててよかった」

 うわぁ、笑った顔が女神だ。
 ズッと見えていた、白パンもよ――最高。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【修正中】ハズレ勇者の鬼畜スキル 〜ハズレだからと問答無用で追い出されたが、実は規格外の歴代最強勇者だった?〜

水先 冬菜
ファンタジー
「こんなハズレ勇者など、即刻摘み出せ!!!」  某大学に通う俺、如月湊(きさらぎみなと)は漫画や小説とかで言う【勇者召喚】とやらで、異世界に召喚されたらしい。  お約束な感じに【勇者様】とか、【魔王を倒して欲しい】だとか、言われたが--------  ステータスを開いた瞬間、この国の王様っぽい奴がいきなり叫び出したかと思えば、いきなり王宮を摘み出され-------------魔物が多く生息する危険な森の中へと捨てられてしまった。  後で分かった事だが、どうやら俺は【生産系のスキル】を持った勇者らしく。  この世界では、最下級で役に立たないスキルらしい。    えっ? でも、このスキルって普通に最強じゃね?  試しに使ってみると、あまりにも規格外過ぎて、目立ってしまい-------------  いつしか、女神やら、王女やらに求婚されるようになっていき…………。 ※前の作品の修正中のものです。 ※下記リンクでも投稿中  アルファで見れない方など、宜しければ、そちらでご覧下さい。 https://ncode.syosetu.com/n1040gl/

用済み勇者、捨てられたのでスローライフな旅に出る ~勇者はやめても善行はやめられないみたいです~【第二章開始】

日之影ソラ
ファンタジー
勇者パーティーは魔王を倒し、人類の未来を守った。役目を終えた勇者たちは王都へ帰還し、称賛の声と浴びながらそれぞれの故郷へと帰っていく。そんな中、一人王都に残った勇者が王城の一室で眠っていると、窓から見知らぬ者たちが侵入してくる。 彼らが自身の命を狙う暗殺者であることに気付いた勇者だったが、彼は抵抗しなかった。なぜなら彼は知っていたから。自らの役目は魔王を倒すこと。それが終われは用済みになることを。 そして、勇者は殺された。 王国の人々は勇者の死を悲しみ、信じないと強く主張する者もいた。勇者が、人々の英雄が死ぬはずがないと。きっと生きているのだと。 事実、彼は生きていた。殺された勇者の遺体は、魔王だった少女が作り出した偽者だったのだ。こうして勇者という肩書から解放された青年は、新たな旅に出る。 元勇者と元魔王のコンビが、世界中を旅していろんなことを体験したり、時に人助けをしたりするお話。 男性向けHOTランキング1位&ファンタジー2位【07/20】

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~

イノナかノかワズ
ファンタジー
 助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。  *話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。  *他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。  *頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。  *無断転載、無断翻訳を禁止します。   小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。 カクヨムにても公開しています。 更新は不定期です。

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

特殊スキル持ちの低ランク冒険者の少年は、勇者パーティーから追い出される際に散々罵しった癖に能力が惜しくなって戻れって…頭は大丈夫か?

アノマロカリス
ファンタジー
少年テイトは特殊スキルの持ち主だった。 どんなスキルかというと…? 本人でも把握出来ない程に多いスキルなのだが、パーティーでは大して役には立たなかった。 パーティーで役立つスキルといえば、【獲得経験値数○倍】という物だった。 だが、このスキルには欠点が有り…テイトに経験値がほとんど入らない代わりに、メンバーには大量に作用するという物だった。 テイトの村で育った子供達で冒険者になり、パーティーを組んで活躍し、更にはリーダーが国王陛下に認められて勇者の称号を得た。 勇者パーティーは、活躍の場を広げて有名になる一方…レベルやランクがいつまでも低いテイトを疎ましく思っていた。 そしてリーダーは、テイトをパーティーから追い出した。 ところが…勇者パーティーはのちに後悔する事になる。 テイトのスキルの【獲得経験値数○倍】の本当の効果を… 8月5日0:30… HOTランキング3位に浮上しました。 8月5日5:00… HOTランキング2位になりました! 8月5日13:00… HOTランキング1位になりました(๑╹ω╹๑ ) 皆様の応援のおかげです(つД`)ノ

クラス転移したひきこもり、僕だけシステムがゲームと同じなんですが・・・ログアウトしたら地球に帰れるみたいです

こたろう文庫
ファンタジー
学校をズル休みしてオンラインゲームをプレイするクオンこと斉藤悠人は、登校していなかったのにも関わらずクラス転移させられた。 異世界に来たはずなのに、ステータス画面はさっきやっていたゲームそのもので…。

自衛官、異世界に墜落する

フレカレディカ
ファンタジー
ある日、航空自衛隊特殊任務部隊所属の元陸上自衛隊特殊作戦部隊所属の『暁神楽(あかつきかぐら)』が、乗っていた輸送機にどこからか飛んできたミサイルが当たり墜落してしまった。だが、墜落した先は異世界だった!暁はそこから新しくできた仲間と共に生活していくこととなった・・・ 現代軍隊×異世界ファンタジー!!! ※この作品は、長年デスクワークの私が現役の頃の記憶をひねり、思い出して趣味で制作しております。至らない点などがございましたら、教えて頂ければ嬉しいです。

ネコ科に愛される加護を貰って侯爵令嬢に転生しましたが、獣人も魔物も聖獣もまとめてネコ科らしいです。

ゴルゴンゾーラ三国
ファンタジー
 猫アレルギーながらも猫が大好きだった主人公は、猫を助けたことにより命を落とし、異世界の侯爵令嬢・ルティシャとして生まれ変わる。しかし、生まれ変わった国では猫は忌み嫌われる存在で、ルティシャは実家を追い出されてしまう。  しぶしぶ隣国で暮らすことになったルティシャは、自分にネコ科の生物に愛される加護があることを知る。  その加護を使って、ルティシャは愛する猫に囲まれ、もふもふ異世界生活を堪能する!

処理中です...