上 下
22 / 47
空森島

しおりを挟む
 一緒に学んだみんなは所属する騎士団に移動していった。俺――ローリスは方向音痴、ノーコンは不治の病か治らず。それなりに努力をして魔法をいくつも覚え、天才魔導師となる。

 ――なんてなぁ!

 あれから五年の時が経ち。俺の身長はかなり伸び、体つきも変わり、イケメンのまま十五歳――成人した。エルフはこの年くらいから、ほぼ見た目が変わらないらしい――ずっと、イケメンなわけだ。

 それはラッキーだ。


 まあ五年もあれば色々変わる、騎士団長のオッサンは魔物退治で、ひざを怪我して騎士団をやめて。いまは冒険者ギルドの所長に就任した。副団長が次の団長になった。

 魔女先生ほ一年の休みを最近やっともらい、バカンスにいったし、サン先生は俺のあとに連れてこられた後輩達を教えている。

 空森島に行く前にオッサンに会いにギルドにいくと。ガハハハッとあいも変わらず大声なオッサンに。

『ローリス、空森島から王都に降りるとき、手を繋いでやるよ! 一緒に酒を飲もう!』

 だって。騎士団長を辞めても元気そうでよかった。

 みんなから選別をもらい、サン先生からはテイム(モンスターを使役できる)指輪をもらった。やっぱり、異世界といえばスライムだよなって。先生に頼み、近くの森に行く許可を取ってもらい。スライムを三体ほどテイムしてきた。

 空森島での俺の癒しだ!



 空森島にいく前日の昼。サン先生、事務員さんたちと新人さんを加えて送別会をしてもらった。ナイスバディの猫族事務員さん二人と、ちいぱい竜人の新人さんに挟まれて昼食をとる俺。顔には出さなかったが内ではウヒョウ! 両手に花じゃ~と喜んでいた。

 それがサン先生にはわかったらしく。

「ローリス君、よかったですね」

「…………! はい」

 草食っぽいけどサン先生も男なんだなと、いまさがながら思った。送別会も終わり、俺は部屋の後片付けをスライム達としていた……便利だ。スライムはいらなくなったものを"ジュワッ"と酸で消化してくれた。

「ありがとう、スライム。――よし、持っていくものは全部マジックバッグに入れたな!」

 あとは明日、空森島に行くだけだ――コンコンと扉を叩かれ、扉を開けるとエンがいた。

「エン! よ、久しぶりだな!」

「明日、空森島に行くと聞いた……食べ物と酒を持ってきた、飲まないか?」

「おお、イイぜ。飲もうぜ!」

 珍しく施設を訪れたエン。彼は竜騎士団に入り、魔物討伐などで活躍して、同種の女の子にモテモテらしい。自慢かよ。――獣人隊に入ったみんな、救護隊のみんなも元気だってさ。

 グラスに注いだエールを一気飲みしたエン。

「ローリス、お互いに大変だが、頑張ろう!」

 ――エン。

 聞いた話ではあちこちにと、魔物討伐に駆り出される竜騎士団――エンも休みもなく働き、大変なんだろうな。

「ああ、頑張ろうな! 王都に空森島から降りたら、また酒でも飲もうぜ! お前の愚痴を聞いてやるよ!」

「ククッ、お前のもな」

 この夜、二人、酔っ払って雑魚寝した。




 次の日、朝練があるエンを見送り。サン先生とギルド裏に移動した。その裏にオッサンが食べ物とか衣類、その他もろもろを持って見送りに来ていた。

「ローリス、選別だ! 無理せず、頑張れよ!」

「ローリス君、何かありましたら通信機を使うんですよ」

「ありがとう、オッサン、サン先生。行ってくる!」

 俺は選別を貰い、空森島まで転移した。

 あの廃墟のような家はすべて取り壊されて、温室付きの俺専用の家が建てられ、畑、説明して作ってもらった露天風呂。いまは俺がここの管理者だから、何をしてもイイらしい。足らなくなったもの、必要なものはサン先生に頼めばいいし、魔法で作ればいいかな。

 勇者が成人するまでのんびりやるよ。…………と、言っていた俺! 空森島に着いた早々に魔王からの歓迎が飛んできた。魔導師らしく杖を構えて、俺は王都に結界を二重にして張り。真っ黒な怨念を数うちゃ当たる作戦で打ち払う。

「おい、おい、初日から激務ですなぁ!」

 盛大な独り言を喚きながら王都を守る。何発か外し、結界にあたるもの二重結界の為、びくともしない。

「フフフ、ハハハッ! ――まいったかぁ!」



 五時間後――結界維持、魔力切れを防ぐためにポーションを何本も飲み、魔王の怨念に耐えた…………お、終わったのか? 力尽きてバダッとその場に倒れる。はじめ、あんなにはしゃいでいた俺の屍が完成した。


 ――マジか、キツいぞ!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

魔境暮らしの転生予言者 ~開発に携わったゲーム世界に転生した俺、前世の知識で災いを先読みしていたら「奇跡の予言者」として英雄扱いをうける~

鈴木竜一
ファンタジー
「前世の知識で楽しく暮らそう! ……えっ? 俺が予言者? 千里眼?」  未来を見通す千里眼を持つエルカ・マクフェイルはその能力を生かして国の発展のため、長きにわたり尽力してきた。その成果は人々に認められ、エルカは「奇跡の予言者」として絶大な支持を得ることになる。だが、ある日突然、エルカは聖女カタリナから神託により追放すると告げられてしまう。それは王家をこえるほどの支持を得始めたエルカの存在を危険視する王国側の陰謀であった。  国から追いだされたエルカだったが、その心は浮かれていた。実は彼の持つ予言の力の正体は前世の記憶であった。この世界の元ネタになっているゲームの開発メンバーだった頃の記憶がよみがえったことで、これから起こる出来事=イベントが分かり、それによって生じる被害を最小限に抑える方法を伝えていたのである。  追放先である魔境には強大なモンスターも生息しているが、同時にとんでもないお宝アイテムが眠っている場所でもあった。それを知るエルカはアイテムを回収しつつ、知性のあるモンスターたちと友好関係を築いてのんびりとした生活を送ろうと思っていたのだが、なんと彼の追放を受け入れられない王国の有力者たちが続々と魔境へとやってきて――果たして、エルカは自身が望むようなのんびりスローライフを送れるのか!?

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

異世界でネットショッピングをして商いをしました。

ss
ファンタジー
異世界に飛ばされた主人公、アキラが使えたスキルは「ネットショッピング」だった。 それは、地球の物を買えるというスキルだった。アキラはこれを駆使して異世界で荒稼ぎする。 これはそんなアキラの爽快で時には苦難ありの異世界生活の一端である。(ハーレムはないよ) よければお気に入り、感想よろしくお願いしますm(_ _)m hotランキング23位(18日11時時点) 本当にありがとうございます 誤字指摘などありがとうございます!スキルの「作者の権限」で直していこうと思いますが、発動条件がたくさんあるので直すのに時間がかかりますので気長にお待ちください。

ブラック企業「勇者パーティ」をクビになったら、魔王四天王が嫁になりました。~転職先はホワイト企業な魔王軍〜

歩く、歩く。
ファンタジー
※第12回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。応援ありがとうございました!  勇者に裏切られ、剣士ディックは魔王軍に捕まった。  勇者パーティで劣悪な環境にて酷使された挙句、勇者の保身のために切り捨てられたのだ。  そんな彼の前に現れたのは、亡き母に瓜二つの魔王四天王、炎を操るサキュバス、シラヌイだった。  ディックは母親から深い愛情を受けて育った男である。彼にとって母親は全てであり、一目見た時からシラヌイに母親の影を重ねていた。  シラヌイは愛情を知らないサキュバスである。落ちこぼれ淫魔だった彼女は、死に物狂いの努力によって四天王になったが、反動で自分を傷つける事でしか存在を示せなくなっていた。  スカウトを受け魔王軍に入ったディックは、シラヌイの副官として働く事に。  魔王軍は人間関係良好、福利厚生の整ったホワイトであり、ディックは暖かく迎えられた。  そんな中で彼に支えられ、少しずつ愛情を知るシラヌイ。やがて2人は種族を超えた恋人同士になる。  ただ、一つ問題があるとすれば……  サキュバスなのに、シラヌイは手を触れただけでも狼狽える、ウブな恋愛初心者である事だった。  連載状況 【第一部】いちゃいちゃラブコメ編 完結 【第二部】結ばれる恋人編 完結 【第三部】二人の休息編 完結 【第四部】愛のエルフと力のドラゴン編 完結 【第五部】魔女の監獄編 完結 【第六部】最終章 完結

キャンピングカーで往く異世界徒然紀行

タジリユウ
ファンタジー
《第4回次世代ファンタジーカップ 面白スキル賞》 【書籍化!】 コツコツとお金を貯めて念願のキャンピングカーを手に入れた主人公。 早速キャンピングカーで初めてのキャンプをしたのだが、次の日目が覚めるとそこは異世界であった。 そしていつの間にかキャンピングカーにはナビゲーション機能、自動修復機能、燃料補給機能など様々な機能を拡張できるようになっていた。 道中で出会ったもふもふの魔物やちょっと残念なエルフを仲間に加えて、キャンピングカーで異世界をのんびりと旅したいのだが… ※旧題)チートなキャンピングカーで旅する異世界徒然紀行〜もふもふと愉快な仲間を添えて〜 ※カクヨム様でも投稿をしております

魔女はパン屋になりました。

月丘マルリ(12:28)
ファンタジー
異世界に魔女として転生してしまったアーヤ。その力を使えば世界征服も夢じゃないけれど、そんなつもりはまったくない。昔は色々やらかしてしまったものの、今は正体を隠し、王都の片隅で小さなパン屋を営んでいる。ふわふわロールパンに、卵とハムのサンドイッチ……。アーヤが作る地球のパンは、異世界でも大人気! でもある日、元・下僕のグランシオが現れたことをきっかけに、パン屋の周りがどんどん騒がしくなってきて――。平和なパン屋ライフに黄信号!? 小心者の魔女とヤンデレ下僕たちの、おかしなパン屋、開店!

神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移

龍央
ファンタジー
高校生紺野陸はある日の登校中、車に轢かれそうな女の子を助ける。 え?助けた女の子が神様? しかもその神様に俺が助けられたの? 助かったのはいいけど、異世界に行く事になったって? これが話に聞く異世界転移ってやつなの? 異世界生活……なんとか、なるのかなあ……? なんとか異世界で生活してたら、今度は犬を助けたと思ったらドラゴン? 契約したらチート能力? 異世界で俺は何かをしたいとは思っていたけど、色々と盛り過ぎじゃないかな? ちょっと待って、このドラゴン凄いモフモフじゃない? 平凡で何となく生きていたモフモフ好きな学生が異世界転移でドラゴンや神様とあれやこれやしていくお話し。 基本シリアス少な目、モフモフ成分有りで書いていこうと思います。 女性キャラが多いため、様々なご指摘があったので念のため、タグに【ハーレム?】を追加致しました。 9/18よりエルフの出るお話になりましたのでタグにエルフを追加致しました。 1話2800文字~3500文字以内で投稿させていただきます。 ※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載させて頂いております。

チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!

芽狐
ファンタジー
⭐️チート薬学3巻発売中⭐️ ブラック企業勤めの37歳の高橋 渉(わたる)は、過労で倒れ会社をクビになる。  嫌なことを忘れようと、異世界のアニメを見ていて、ふと「異世界に行きたい」と口に出したことが、始まりで女神によって死にかけている体に転生させられる! 転生先は、スキルないも魔法も使えないアレクを家族は他人のように扱い、使用人すらも見下した態度で接する伯爵家だった。 新しく生まれ変わったアレク(渉)は、この最悪な現状をどう打破して幸せになっていくのか?? 更新予定:なるべく毎日19時にアップします! アップされなければ、多忙とお考え下さい!

処理中です...