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十五

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 魔女とサン先生、オッサン、俺をめぐっての三つ巴。

 俺の頭の中に「私のために争わないでぇ!」どこかの、イタイ系ヒロインのセリフがよぎったが――男の俺にはありえん。魔女は子種と護衛を兼ねているオッサンは俺の警護……サン先生は何の為に戦ってる?

「魔女にローリス君は渡さない。私はあんな何もない…………空森島になんかに行きたくない!」

 ――はい、先生の理由わかりましたぁ!

(先生は自分が空森島に行きたくなくて、俺に行かせてようとしているのか。となると。オッサン達が俺に親切なのは……何年後かに俺は空森島にいき。さっきの天使が成人するまでの間、この王都を守る存在になるからか)

 ――寂しいが、わからんでもない。

 騎士団長、副団長、上から頼まれればやらなくてはならない、まあ仕事だから仕方のないことだし。サン先生の意思もわかった――魔女は俺と子作りしてなにがしたい?

「魔女ニャーム、諦めろ!」

「諦めない! ……私はもう働きたくないよ。薬を連れ、薬草を採ってこい! 魔法で調査してこい? もう、何十年、何百年といくら寿命が長いからといって、休みなく働かせるのはどうかと思うわ! 私の後釜を作りたいのぉ! もう、一年くらい休みたいの!」

 魔女泣いちゃってるじゃん。おい、おい、ブラック企業かここは! でも俺は子供だからなぁ、後五年は待たないといけない、だったら、いるじゃん魔力も強くて大人なの人が近くに!

 俺は魔女の胸に抱かれたまま。

「あの魔女さん。能力の高く、後釜になれる子供が欲しいのなら。サン先生と子作りすればぁ? 俺だと後五年くらいは待たないといけないよ」

「……ウッ」

 魔女は綺麗な顔を歪めた。

「あの男は絶対にいやぁ……長い付き合いで、お互いの年も知っているの。私にだって選ぶ権利はあるわ! どうせ子種を貰うなら、可愛くって、若い子がいいじゃない!」


 ――ごもっともな意見、キタァ!


「私だってニャームは部屋が汚いから嫌です! あれほど施設の部屋を掃除しろと言っても掃除しないから……私が一週間に一度掃除してるんですよ!」

 え、施設に魔女の部屋もあるの? 
 全然、施設内で会わないから知らなかった。

「うるさぁい、コッチは徹夜で仕事ばかりなの! 家に帰れないの! なにが、ポーション飲んで働けぇ? 自分達は定時に帰っているくせに……私は働きすぎなの! 疲れていて、何もできないわ!」

 疲れていてできない、それわかる――俺も仕事に行って遅く帰って寝て、また仕事。忙しいときって何もしなく無くなる。そんな時によく友は掃除とごはん作ってくれたなぁ……懐かしい。

「魔女ニャーム、わかった。俺から上に言っておくからローリスを離せ。彼はまだ子供だから子種は貰えないと思うぞ」

 あまりの魔女の不憫さに――オッサンが魔法省の偉いさんに伝えると言うと、魔女はシブシブ俺を離した。――そこにみんなが駆け寄る。

「ローリス、大事か?」
「ローリス?」

「オッサン、サン先生、俺は大丈夫です……フフッ」


「「ロ――リス!!」」


 ――フワフワなマシュマロ、柔らかな胸だった。前世、アレの俺には衝撃すぎて、大量の鼻血を吹いて気絶した。

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