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十四

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 変な香りの魔法省――その奥から、ウェーブした長い黒髪、右の目尻のホクロ。黒いロングコートから覗く左の胸の谷間のホクロ。アメジスト色の瞳、ナイスバディな女性が――コツコツヒールを鳴らしてあらわれた。


 ――峰…………子!


 彼女は俺たちの前で足を止めて、微笑み、

「魔法省へ、いらっしゃい。魔法検査に来た子達よね」

(ウハッ、見た目じゃなく、声までエロい!)

 前世、豊満でも、ちいぱいでも好きだった俺は彼女の胸に釘付けだ! ――しかし、この状況を喜んでいるのは俺だけで。彼女のただならぬ力を感じたのか、他のみんなは一歩下がり、オッサン、副団長、サン先生――大人たちはその女性にたじろいていた。

 ――美人で、胸が豊満で、エロいんだぞ。なぜ? たじろぐ?

「あら、みなさん、どうなさったの? 私だけでは不満かしら? ……他の魔法省の役員は用事で別室で作業中ですわ」

 フフッと微笑む女性に、オッサンが深く息を吐く。

「そうか、魔女ニャーム。今日は君が……この子達の魔力検査をしてくれるんだな」

 ――この綺麗な人が魔女! スゲェ、ニヤける。

 彼女は妖艶に笑い。

「ええ、所長に私と"互角? それ以上の魔力を持つ面白い子が来る"と聞いたので――興味を持ちましたの」

 ニャームと呼ばれた魔女は俺達を見まわした。それにすら圧倒されるみんなと、ニヤつきそうな顔を抑える俺!

「そこまでにしろ! 魔女ニャーム、絶対に子供達には手を出すなよ」

「ええ、私からは手を出さないわ」

 彼女は首につける"首輪"をオッサンに見せつけた。魔女もまた、俺たちと同じでここに囚われているのか。




 さあ、始めるわよと魔女の合図で。オッサン、副団長、サン先生に見守られながら魔力検査は始まった。

「はい、一人ずつ並んで私の両手を握ってね」

 なんだかドキドキする。最初はタジタジな獣人チャ、ラム、ナエから始まる。魔女は一人ずつ手を握り、ウンと頷きサラサラ報告書に書いていく。次はエルフのカンとヤヤだから、俺も行こうとしたがサン先生に「ローリス君は最後ね」だと止められた。

 ――俺もエルフだけど?

 竜人のエン、そして――俺の番が回ってくる。ニギニギ「ンッ」魔女の手は柔らかくて、部屋の匂いを忘れるくらい――いい香りがした。エンの時も少し長く感じたが、俺のときは指と指を絡め、魔女ニャームは頬を染めて、熱っぽく俺をみつめた。

 ――なんだ? 魔女が急に色気をだしたが?

「ハァ……私よりも、なんて凄い魔力量なの……アッ、ローリスくん……強い、あなたの子種が欲しい!」

 うへっ、子種! 強引に手を引き寄せられて、魔女の柔らかくて、いい匂いの胸に顔がポプンと埋まった。

 や、やわらけぇ! 胸ってこんなにフワフワで、マシュマロみたいに柔らかいのか……はぅ。

 魔女は俺に吐息を吐くように。

「ローリス、私の寝室に行って、たくさん私の中にそそいで」

「中? へっ?」

 俺を掴んだまま魔女の周りに魔力が徐々に集まる――どうやら彼女は俺を連れて転移しようとしているようだ。ウホッ、魔女ニャームにさらわれる! と思ったが。

「魔女ニャーム、連れ去りは犯罪ですよ。ローリス君を離しなさい!」

 サン先生が杖を構えて、魔女の転移魔法を阻止した。しかし、諦めない魔女は違う魔法の詠唱にはいる。オッサンと副団長は腰の剣を抜いた。

「この子達には手を出さない約束だ!」

「約束を守りなさい!」

「人間の分際でうるさい! サン、貴方もよ。私の邪魔をしないで……!」

「彼は渡さない!」

 ウヒョオ、俺をめぐってサン先生、オッサン、副団長と魔女ニャームが睨みあう。


 ――やめて! 俺のために争わないでぇ!!

 

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