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 そしてカルランお義母様は前妻似のリリが目障りなのか、彼女はリリを娘として扱わず、メイドの様にこき使うようになる。

 そして『あなたのその黒髪が目障りなの!』お母様譲りの黒髪が目障りだと言い。使われていない離れにリリを追いやった。
  
 嫌なあの人たちと顔を合わせなくて、済むから良かったけど……しばらくして、この離れの部屋を義妹ミサエラの衣装部屋に改装するからと、リリは使用人たちが使用する部屋に追いやられたのだった。

 小さい頃から顔見知りの使用人達は、使用人の所にリリが来たことに驚いていた。
 
『リリアムお嬢様がどうして? こんな使用人のところに来られるのですか?』

『カルランお義母様に邪魔だからって、離れからも追い出されちゃった……これから仲良くしてね』

『奥様は、リリアムお嬢様になんて酷いことをされる』

『私たちはリリアムお嬢様の味方です』

『リリアムお嬢様、私の部屋で一緒に寝ましょう』


 お母様の代から働く使用人たち、みんなはリリに優しくしてくれた。それを後から入ってきた事情を知らない、メイドたちはカルラン義母に告げ口をして、みんなは次々と辞めさせられてしまった。


 お父様に文句を言いに書斎室で、

『お父様、またカルランお義母様がメイドを辞めさせたわ』

『ちょうど、新しい使用人に変えようと思っていた所だ、そんなことを言いにワザワザ書斎まで来たのか!』

 と叫んだお父様の隣に、長年お父様を支えていたベテラン執事が若い執事に変わっていた。


『お父様、執事のロバートさんは?』 

『彼も歳だからね、辞めてもらったよ』

『そんな、彼は長年、お父様の右腕として勤めてきたのに、こうも簡単に辞めさてしまうなんて……』  

『私の執事のことだ、お前に言われる筋合いはない』


 マーベラスお父様はカルランの娘ミサエラの話だけを聞き、実娘のリリの話は聞いてくれない。リリの手元に残ったのはお母様の写真と、取られないように隠したシルバーの髪飾りだけ……。

 大切なお母様の品物、仲の良かったメイド、優しい従者、庭師、お父様の執事――みんな、リリの側からいなくなってしまった。

(お母様……みんな……)

 あの人達は何も持たない、リリからまだ何を奪うというの。
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