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じゅっいち熊 ダメ、ダメ王国。

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 夕飯の後に話すよ。

 リチャが狩った大猪の分厚いステーキを、夕飯にいただき「おゆがわぁーく」「よごれにくくなぁーる」と付与されたお風呂に入り。

 リビングで、リチャがギルドで聞いた話を聞いた。
 王城の召喚の間に女性が2人異世界から召喚された。1人は薫という女性、もう1人は気絶した黒髪のショート少女。

(少女? これでも21歳なのに……)

 薫と言った女性はこの子(私)が魔法陣に勝手に入ってきたと、召喚の儀を行った魔術師たちに説明したという。

(おいおい、そっちが勝手に入ってきたくせに)

 それならと、魔術師たちは気絶した女の子(私の)魔力鑑定をしたところ気絶した子(私)に魔力はなく普通の子だった。  

 王城での鑑定ではそうでたらしい。

 魔術師たちは2人も召喚してしまったことを、国王陛下と王子に隠ぺいする為。魔力の無い少女(私)を国から離れた森に捨てたというわけさ。

「酷い……普通は目覚めるまで待って、勝手に召喚したことを誤ってから、追放してくれれば良かったのに。リチャに合わなかったら、モンスターに食べられちゃうところだった」


「普通はそれが当たり前なんだけど。このアバール国の国王陛下と王子は人を人と見ていない……あいつらは処刑を簡単に決める……要らない者は消せ、刃向かう者は消せ、あのまま城にいたらいたで、魔力の無いヒジリの命が危なかったかも」

 リチャの言う通りだ、城にいた方が命が危なかった!

「なんて凶悪な国王と王子だね。森に捨てられて良かって、リチャに会えて良かった」

「そうかも、ヒジリは僕が守るから安心してね。でも、聖女にしか作れない、ハニーポーションがバレると危ないね」

 ほんとそうだ。

「あ、そのハニーポーションなんだけど、料理に使えないかな?」

「料理?」

「うん、私……料理は余り上手く無いから……これっていう料理は言えないんだけど。リチャに貰った硬いパンあったよね。それを卵と牛乳に浸して、バターを引いたフライパンで焼いて、その上にハニーポーションをかけたらどうかな?」

(ハニーポーションは名前の通り、蜂蜜のように甘かったから)

 リチャに説明すると、彼はあっとアイテムボックスを開いて、中から古びたノートを数冊テーブルの上に出した。

「ここに書いてある文字は読めないんだけど。ノートの中に、いまヒジリが説明した料理がイラストで載っていと思う」

「お料理ノート? これって日本語だ!」

「日本語?」

「私たちの国で使う母国語だわ。だとするとこれを書いたのって召喚された人? それとも転移した人かな?」

「これを書いた人は、ヒジリと同じく聖女として召喚された人だよ。その人は2代目聖女でーー僕を拾って育てくれたお師匠様なんだ……彼女は聖女の仕事が終わった途端に、王子――いまの国王に捨てられたんだ」

(えっ? 王子? 国王? に捨てられた!)

「王子は彼女に甘い言葉を囁き、その気にさせていいだけ使い。魔素が払われた後、その王子はさっさと隣国の皇女と結婚して、勝手に呼び寄せた聖女の責任を取らなかった」 

 えぇ!

「責任を取らないなんて、そんな酷いよ!」

「ほんとうなら初代聖女の様に王子結ばれて、その聖女の子供が次の聖女、神官となり魔素を抑える役目をするはずだった。師匠は王子に裏切られても、この世界を守ろうと。聖女として残ろうとしていたんだけど、王子が自分のお妃を聖女にする為。この世界に聖女は2人もいらんと、彼女を元の世界に送り返したんだ」

 もう、言葉にならない。

「どこまで自分勝手なの!」

「300年以上は抑えれるといっていた魔素が、100年を過ぎた辺りに聖女の力が消えてしまい。その魔素を消すために、また召喚の儀を行い聖女を呼んだというわけさ」

 あったまにきて、怒りにテーブルを叩いた!

「はぁ? 意味がわからない。勝手な思考の、勝手な召喚で普通に暮らしていた日常がなくなったんだよ。私はコンビニ寄ってビール、唐揚げ、ポテチが食べたかったのに! 撮り溜めしたアニメだって、小説だって読みたかったのに!」

 怒りてバンバン、テーブルを叩いた。

「ヒジリが怒る理由はわかるけど、初めて聞く言葉ばかりだね。でも唐揚げは分かるかな、僕が子供の頃に作ってもらって食べたことあるよ。どのレシピノートに載っていたかなぁ?」

 私の怒りを鎮めようとしたのか、リチャはノートの一つを取り開いた。
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