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ご熊 リチャの住む村
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「ヒジリ、ここが僕が住む村だよ」
リチャに案内された村は思っていたよりも貧相だった「この村はね、亜人と人が一緒に住む村だよ」と、リチャは教えてくれた。リチャの言う通り耳と尻尾が揺れていた。
(可愛い)
村のみんなはリチャの帰りを待っていたのか、リチャの周りに集まってきた。
「リチャ、おかえり」
「リチャ、モンスターと戦ったのかい? 怪我はしていないか?」
「リチャ、いつもモンスターを退治してくれて、ありがとうよ」
「平気だよ。僕は強いからね、簡単にはやられないよ」
「リチャ!」
「リチャ!」
子供達も集まり、みんなと和気藹々しているけど、年配の方と子供ばかり、この村に若い人がいないみたい?
1人の耳と尻尾付きのおばちゃんが私に気付き、微笑んだ。
「おや? 隣にいるこの子は誰だい? リチャのお嫁さんかい?」
「リチャに嫁!」
村の人たちが、ざわめき始めた。
「残念だけど、この子は僕の嫁じゃないんだ。この子はザザンの森で見つけた、ヒジリって言うだ……誰かに召喚されたみたいなんだよね」
召喚されたと聞き、村の表情が変わり聞こえてくる「またか」と口々に言い始めた。私の他にも召喚された子がいるんだ。
「歴代の国王は何度も何度も異世界の人を呼ぶ。自分達では出来ないからと、今度はこんなに若い子を呼ぶとは」
こんな若い子? に引っかかる。私は若いっちゃ若いけど。もしかして私は年齢よりも若く見られてる? 150センチの身長と普通盛りの胸、でもスーツ着てるんだけど。
隣のリチャに聞いてみた。
「リチャ、リチャ、私っていくつに見えているの?」
「うん? ヒジリの歳かぁ、14くらい?」
なぬ?
「14歳? 違う……わ、私、21歳なんだけど」
えっ! と村のみんながびっくりした。
+
それはもう、ぷっくり膨れたさ。
「ごめんね、ヒジリ」
村のみんなも「ごめん」と謝った。やっぱり異世界でも、日本人って若くみられるんだ、と……実感。
「もういいよ、リチャも、村の皆さんも。しばらくリチャの家に住ませてもらうので、よろしくお願いします」
頭を下げるとみんなは喜んで迎えてくれた。よかった、国のこと魔法のことを知るまでは、しばらくこの村に置いてもらおう。
村の人たちも何かあったら「聞きにおいで」と言ってくれた。
「さてと、僕たちも帰ろう。お腹すいたよね、家で食事にしよう」
「うん」
リチャがこっちだと家に呼んでくれた。木造の煙突付きの可愛いお家。入ってと言ったリチャの家の中はなんか臭い。強烈な薬品臭いに思わず鼻を摘んだ。
「す、凄い薬品の匂いだね」
「そうかな? そうかいま、ギルドに下ろすポーション作っているからかな? このポーションをギルドに納品すれば、かなりの額が手に入るから頑張らないと」
火にかけたままの壺の中身を棒でかき混ぜた。そして、ごめんね。いまはこれしかないんだ、と丸いパンと牛乳をテーブルに出してくれる。
「ありがとう、いただきます」
「たくさんもないけど、食べて」
リチャも反対側に座り、食事をしようとした時。ドンドンと激しく扉を叩く音が聞こえて入ってきた。
「リチャいる? 森から村に戻ってきたって?」
その人は「はぁ、はぁ」息を切らしていた。リチャはテーブルから立ち上がりると女性を支えて。
「どうしたの? リリおばさん」
「旦那がまた胸を押さえて苦しみ出したんだ、頼む、リチャ、旦那を見てやって!」
「分かった。直ぐに見に行くから、リリおばさんはここで、ゆっくり休んでから来るんだよ」
おばさんをテーブルに座らせて、リチャは家にあるクスリを革製の鞄に詰め始めた。
「リチャ?」
「ごめんね。直ぐに戻ってくるから……ヒジリはゆっくり、この家で寛いでいていいからね、リリおばちゃんもだよ!」
「分かった」
「リチャ、頼むよ」
そう言い残して、リチャは革製の鞄を持ち、外に走っていった。
リチャに案内された村は思っていたよりも貧相だった「この村はね、亜人と人が一緒に住む村だよ」と、リチャは教えてくれた。リチャの言う通り耳と尻尾が揺れていた。
(可愛い)
村のみんなはリチャの帰りを待っていたのか、リチャの周りに集まってきた。
「リチャ、おかえり」
「リチャ、モンスターと戦ったのかい? 怪我はしていないか?」
「リチャ、いつもモンスターを退治してくれて、ありがとうよ」
「平気だよ。僕は強いからね、簡単にはやられないよ」
「リチャ!」
「リチャ!」
子供達も集まり、みんなと和気藹々しているけど、年配の方と子供ばかり、この村に若い人がいないみたい?
1人の耳と尻尾付きのおばちゃんが私に気付き、微笑んだ。
「おや? 隣にいるこの子は誰だい? リチャのお嫁さんかい?」
「リチャに嫁!」
村の人たちが、ざわめき始めた。
「残念だけど、この子は僕の嫁じゃないんだ。この子はザザンの森で見つけた、ヒジリって言うだ……誰かに召喚されたみたいなんだよね」
召喚されたと聞き、村の表情が変わり聞こえてくる「またか」と口々に言い始めた。私の他にも召喚された子がいるんだ。
「歴代の国王は何度も何度も異世界の人を呼ぶ。自分達では出来ないからと、今度はこんなに若い子を呼ぶとは」
こんな若い子? に引っかかる。私は若いっちゃ若いけど。もしかして私は年齢よりも若く見られてる? 150センチの身長と普通盛りの胸、でもスーツ着てるんだけど。
隣のリチャに聞いてみた。
「リチャ、リチャ、私っていくつに見えているの?」
「うん? ヒジリの歳かぁ、14くらい?」
なぬ?
「14歳? 違う……わ、私、21歳なんだけど」
えっ! と村のみんながびっくりした。
+
それはもう、ぷっくり膨れたさ。
「ごめんね、ヒジリ」
村のみんなも「ごめん」と謝った。やっぱり異世界でも、日本人って若くみられるんだ、と……実感。
「もういいよ、リチャも、村の皆さんも。しばらくリチャの家に住ませてもらうので、よろしくお願いします」
頭を下げるとみんなは喜んで迎えてくれた。よかった、国のこと魔法のことを知るまでは、しばらくこの村に置いてもらおう。
村の人たちも何かあったら「聞きにおいで」と言ってくれた。
「さてと、僕たちも帰ろう。お腹すいたよね、家で食事にしよう」
「うん」
リチャがこっちだと家に呼んでくれた。木造の煙突付きの可愛いお家。入ってと言ったリチャの家の中はなんか臭い。強烈な薬品臭いに思わず鼻を摘んだ。
「す、凄い薬品の匂いだね」
「そうかな? そうかいま、ギルドに下ろすポーション作っているからかな? このポーションをギルドに納品すれば、かなりの額が手に入るから頑張らないと」
火にかけたままの壺の中身を棒でかき混ぜた。そして、ごめんね。いまはこれしかないんだ、と丸いパンと牛乳をテーブルに出してくれる。
「ありがとう、いただきます」
「たくさんもないけど、食べて」
リチャも反対側に座り、食事をしようとした時。ドンドンと激しく扉を叩く音が聞こえて入ってきた。
「リチャいる? 森から村に戻ってきたって?」
その人は「はぁ、はぁ」息を切らしていた。リチャはテーブルから立ち上がりると女性を支えて。
「どうしたの? リリおばさん」
「旦那がまた胸を押さえて苦しみ出したんだ、頼む、リチャ、旦那を見てやって!」
「分かった。直ぐに見に行くから、リリおばさんはここで、ゆっくり休んでから来るんだよ」
おばさんをテーブルに座らせて、リチャは家にあるクスリを革製の鞄に詰め始めた。
「リチャ?」
「ごめんね。直ぐに戻ってくるから……ヒジリはゆっくり、この家で寛いでいていいからね、リリおばちゃんもだよ!」
「分かった」
「リチャ、頼むよ」
そう言い残して、リチャは革製の鞄を持ち、外に走っていった。
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