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46話

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「それはな……恋文? 恋を語っているんだ」


「「えぇ恋文ですか⁉︎」」


「恋を語っている⁉︎」

 お祖母様が言った言葉にカサンドラ達は驚いた。確か、古竜語で「クグル――助けて」と。カーシン国の何処かで、古竜語を話す誰かが助けを求めているのだと、カサンドラは思っていた。

 その話と、違うのなら気になる。
 その恋文、恋は誰宛なのか? と。

「まぁ、ギンは弟が話しても……2人には分からない言葉だから、まったく気にしなくていい。魔力酔いも魔力を吸う魔導具を付ければ、魔力が安定して、何も話さなくなる。その魔導具は明日の午後に持ってくるよ……さて、カサンドラ、シュシュ、アオ帰るよ」

 カサンドラはギンの弟――ラハの治療が終わり、サッサと話を切り上げて帰ろうとする、お祖母様に話しかけた。

「あのよろしいですか? お祖母様は先程から困惑した表情しておりますわ。もしかしたら、お祖母様にも関係があるのでしょうか?」

「……うっ、あ? そ、そうだね」

「では誰が、誰に思いの丈を伝えているのですか? 誰ですか? 想いを伝えてあげたいですわ」

「思いの丈? 想いを伝える⁉︎ ハァ……恋を伝えている奴は知っている……カーシン国のヤカル山の奥に住む古竜のドラゴンだ。わたしの患者だな」

 お祖母様の患者……だとすると。

「まさか、恋文は魔女様宛か⁉︎」

 カサンドラよりも、早くアオが気付き声を上げた。
 お祖母様はハハッと苦笑いを浮かべるが、恋文だと聞いたカサンドラとシュシュは期待した。

「シュシュ聞きました? お祖母様宛ですって、どんな恋文を読まれているのですか?」
 
「はい、ぜひ、知りたいです」

「……カサンドラ、シュシュ、そんな期待した表情でわたしを見るな! ……あぁ、わかった。そんなに内容が気になるなら教えてやる!『来月までなんて待てない……君に会いたい。会えなくて心が苦しい、助けてくれ……会いたいセリィーヌ』だ」

「まあ、セリィーヌはお祖母様の名前ですわ」
「はい、セリィーヌ様です!」
 

「「きゃーっ!!」」
 

 カサンドラとシュシュは手を取り合い、ドラゴンの恋文に大喜びだが。アオ、ギン、ラハの男性陣はヤカル山に住む古竜ドラゴンの事を知っているのか、微妙な反応を返す。

「マジか……竜人族の守り神のシャルル様が、その様な恋文――恋を語るのか」

「語るんだな……」
 
「お兄ちゃん、アオ君、ボクはシャルル様の言葉はわからなかったけど……そんなことをおっしゃっていたんだね」

 3人は――あの渋い、シャルル様がね。と言った。

 

「さあ、わかったろ……帰るよ」

「魔女様、今日は弟を診ていただき、ありがとうございました」
 
「本当に、ありがとうございました」

「ああ、魔導具は明日の午後だからね。ほら、呆けていないで、さっさと帰るよ」

 まだ、頬を染めて喜ぶカサンドラとシュシュを連れて、お祖母様とアオはギンの家を出る。3限隣のアオの家に戻る途中、別荘に届いた手紙のことを思い出した。

「そうだ、カサンドラに手紙が届いたよ」
「え、私に手紙ですか?」

「あぁ、妹のシャリィからの手紙だ」

 お祖母様がカサンドラに届いた手紙を渡す。

「ありがとうございます」
 
 手紙を受け取ったカサンドラは内容を読まなくても……書いてある内容がわかるような気がした。
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