44 / 75
44話
しおりを挟む
「カサンドラ、シュシュ、いい加減に起きなさい」
「はい? ……あ、お、お祖母様おはようございます。こちらに来てくださったのですね……ありがとうございますぅ」
まだ起き抜けで眠そうなカサンドラと、隣のシュシュは起きたものの、体を動かすのが辛そうだ。
「イッ⁉︎ ……おはようございます。イテテ……昨日、冒険で筋肉痛です――クゥ!」
昨日。森の中を逃げるスライムを追っかけ、倒しながら動き回り、普段使わない筋肉を使ったからか。カサンドラとシュシュは翌日、筋肉痛になっていた。
「「痛いです」」
「そうだろうね。討伐クエストは魔物を倒すために気も張るし、体も余計に動かすから、慣れていないとしんどくなる」
「はい……お祖母様のいう通りです。でも、昨夜ギンさんと約束したので彼の家に向かいます。いま着替えますのでお待ちください」
ベッドを抜け出して、カサンドラは服に手をかける。
ガタッと、テーブルに座っていたアオはタヌキの姿のまま、慌てて背を向けた。その慌てたアオの姿がモフモフと可愛くて、カサンドラは笑ってしまった。
「笑うなよ」
「だって可愛から……アオ君、一緒に眠ってくれてありがとう。怖い夢も見ず、ぐっすり眠れました」
アオの体温は温かくて、モフモフが気持ちよかった。背を向けたままアオは首を振った。
「いいって、オレも爆睡したから」
「はい、私も爆睡しましたぁ~ドラ様、髪型はどうしますか?」
「そうね、昨日と同じで動きやすい髪型がいいわ」
「かしこまりました」
シュシュに髪を上げてもらい、昨日着ていた動きやすい服に着替え、生活魔法のクリーンをかけて服と体を一度に浄化した。
「アオ君も、クリーンの魔法をかけます?」
「おう、かけて欲しい。隣の部屋で着替えてくる」
自分の服を口に咥えて、部屋に入っていった。
しばらくして人型になったアオが出てくると、カサンドラはクリーンの魔法をかけた。
アオの服の汚れが消えて、どことなしか体もスッキリしたのだろう、自分の体を仕切りに見ている。
「へぇ、これ便利な魔法だな。オレでも覚えられるかな?」
「ええ、生活魔法は魔力量が少なくても使えますから……アオ君にも使えますわ」
「ああ、使えるね。帰ったら、タヌっころにコツを教えてあげよう」
「本当ですか! 魔女様、お願いします」
アオが嬉しそうで、カサンドラとシュシュも見ていてうれしくなった。
お祖母様とギンの家に向かうため、朝食をさっと済ませて、カサンドラ達は彼の家に向かった。3限隣の彼の家の前ではソワソワしながら、ギンがカサンドラ達の到着を待っていた。
♱♱♱
近付く足音が聞こえたのか、ギンがこちらを向いた。アオは「よっ」と手をあげて、カサンドラ達は頭を下げる。
「お、おはよう……ございます」
「おはようございます、ギンさん。あの後、弟さんの体調はどうでしたか?」
カサンドラの質問に、ギンは目を見開き。
「聞いてくれよ、スゲェ……不思議なことが起こったんだ! アオとカサンドラ様が帰ったあと、ラハに何もなくてさ……久しぶりに眠れたみたいなんだ」
嬉しそうに笑いながら、ギンは話した。
「はい? ……あ、お、お祖母様おはようございます。こちらに来てくださったのですね……ありがとうございますぅ」
まだ起き抜けで眠そうなカサンドラと、隣のシュシュは起きたものの、体を動かすのが辛そうだ。
「イッ⁉︎ ……おはようございます。イテテ……昨日、冒険で筋肉痛です――クゥ!」
昨日。森の中を逃げるスライムを追っかけ、倒しながら動き回り、普段使わない筋肉を使ったからか。カサンドラとシュシュは翌日、筋肉痛になっていた。
「「痛いです」」
「そうだろうね。討伐クエストは魔物を倒すために気も張るし、体も余計に動かすから、慣れていないとしんどくなる」
「はい……お祖母様のいう通りです。でも、昨夜ギンさんと約束したので彼の家に向かいます。いま着替えますのでお待ちください」
ベッドを抜け出して、カサンドラは服に手をかける。
ガタッと、テーブルに座っていたアオはタヌキの姿のまま、慌てて背を向けた。その慌てたアオの姿がモフモフと可愛くて、カサンドラは笑ってしまった。
「笑うなよ」
「だって可愛から……アオ君、一緒に眠ってくれてありがとう。怖い夢も見ず、ぐっすり眠れました」
アオの体温は温かくて、モフモフが気持ちよかった。背を向けたままアオは首を振った。
「いいって、オレも爆睡したから」
「はい、私も爆睡しましたぁ~ドラ様、髪型はどうしますか?」
「そうね、昨日と同じで動きやすい髪型がいいわ」
「かしこまりました」
シュシュに髪を上げてもらい、昨日着ていた動きやすい服に着替え、生活魔法のクリーンをかけて服と体を一度に浄化した。
「アオ君も、クリーンの魔法をかけます?」
「おう、かけて欲しい。隣の部屋で着替えてくる」
自分の服を口に咥えて、部屋に入っていった。
しばらくして人型になったアオが出てくると、カサンドラはクリーンの魔法をかけた。
アオの服の汚れが消えて、どことなしか体もスッキリしたのだろう、自分の体を仕切りに見ている。
「へぇ、これ便利な魔法だな。オレでも覚えられるかな?」
「ええ、生活魔法は魔力量が少なくても使えますから……アオ君にも使えますわ」
「ああ、使えるね。帰ったら、タヌっころにコツを教えてあげよう」
「本当ですか! 魔女様、お願いします」
アオが嬉しそうで、カサンドラとシュシュも見ていてうれしくなった。
お祖母様とギンの家に向かうため、朝食をさっと済ませて、カサンドラ達は彼の家に向かった。3限隣の彼の家の前ではソワソワしながら、ギンがカサンドラ達の到着を待っていた。
♱♱♱
近付く足音が聞こえたのか、ギンがこちらを向いた。アオは「よっ」と手をあげて、カサンドラ達は頭を下げる。
「お、おはよう……ございます」
「おはようございます、ギンさん。あの後、弟さんの体調はどうでしたか?」
カサンドラの質問に、ギンは目を見開き。
「聞いてくれよ、スゲェ……不思議なことが起こったんだ! アオとカサンドラ様が帰ったあと、ラハに何もなくてさ……久しぶりに眠れたみたいなんだ」
嬉しそうに笑いながら、ギンは話した。
15
お気に入りに追加
355
あなたにおすすめの小説
婚約破棄ですか。お好きにどうぞ
神崎葵
恋愛
シェリル・アンダーソンは侯爵家の一人娘として育った。だが十歳のある日、病弱だった母が息を引き取り――その一年後、父親が新しい妻と、そしてシェリルと一歳しか違わない娘を家に連れてきた。
これまで苦労させたから、と継母と妹を甘やかす父。これまで贅沢してきたのでしょう、とシェリルのものを妹に与える継母。あれが欲しいこれが欲しい、と我侭ばかりの妹。
シェリルが十六を迎える頃には、自分の訴えが通らないことに慣れ切ってしまっていた。
そうしたある日、婚約者である公爵令息サイラスが婚約を破棄したいとシェリルに訴えた。
シェリルの頭に浮かんだのは、数日前に見た――二人で歩く妹とサイラスの姿。
またか、と思ったシェリルはサイラスの訴えに応じることにした。
――はずなのに、何故かそれ以来サイラスがよく絡んでくるようになった。
婚約破棄をしてくれた王太子殿下、ありがとうございました
hikari
恋愛
オイフィア王国の王太子グラニオン4世に婚約破棄された公爵令嬢アーデルヘイトは王国の聖女の任務も解かれる。
家に戻るも、父であり、オルウェン公爵家当主のカリオンに勘当され家から追い出される。行き場の無い中、豪商に助けられ、聖女として平民の生活を送る。
ざまぁ要素あり。
陰謀は、婚約破棄のその後で
秋津冴
恋愛
王国における辺境の盾として国境を守る、グレイスター辺境伯アレクセイ。
いつも眠たそうにしている彼のことを、人は昼行灯とか怠け者とか田舎者と呼ぶ。
しかし、この王国は彼のおかげで平穏を保てるのだと中央の貴族たちは知らなかった。
いつものように、王都への定例報告に赴いたアレクセイ。
彼は、王宮の端でとんでもないことを耳にしてしまう。
それは、王太子ラスティオルによる、婚約破棄宣言。
相手は、この国が崇めている女神の聖女マルゴットだった。
一連の騒動を見届けたアレクセイは、このままでは聖女が謀殺されてしまうと予測する。
いつもの彼ならば関わりたくないとさっさと辺境に戻るのだが、今回は話しが違った。
聖女マルゴットは彼にとって一目惚れした相手だったのだ。
無能と蔑まれていた辺境伯が、聖女を助けるために陰謀を企てる――。
他の投稿サイトにも別名義で掲載しております。
この話は「本日は、絶好の婚約破棄日和です。」と「王太子妃教育を受けた私が、婚約破棄相手に復讐を果たすまで。」の二話の合間を描いた作品になります。
宜しくお願い致します。
熱烈な恋がしたいなら、勝手にしてください。私は、堅実に生きさせてもらいますので。
木山楽斗
恋愛
侯爵令嬢であるアルネアには、婚約者がいた。
しかし、ある日その彼から婚約破棄を告げられてしまう。なんでも、アルネアの妹と婚約したいらしいのだ。
「熱烈な恋がしたいなら、勝手にしてください」
身勝手な恋愛をする二人に対して、アルネアは呆れていた。
堅実に生きたい彼女にとって、二人の行いは信じられないものだったのである。
数日後、アルネアの元にある知らせが届いた。
妹と元婚約者の間で、何か事件が起こったらしいのだ。
婚約者に嫌われた伯爵令嬢は努力を怠らなかった
有川カナデ
恋愛
オリヴィア・ブレイジャー伯爵令嬢は、未来の公爵夫人を夢見て日々努力を重ねていた。その努力の方向が若干捻れていた頃、最愛の婚約者の口から拒絶の言葉を聞く。
何もかもが無駄だったと嘆く彼女の前に現れた、平民のルーカス。彼の助言のもと、彼女は変わる決意をする。
諸々ご都合主義、気軽に読んでください。数話で完結予定です。
天才少女は旅に出る~婚約破棄されて、色々と面倒そうなので逃げることにします~
キョウキョウ
恋愛
ユリアンカは第一王子アーベルトに婚約破棄を告げられた。理由はイジメを行ったから。
事実を確認するためにユリアンカは質問を繰り返すが、イジメられたと証言するニアミーナの言葉だけ信じるアーベルト。
イジメは事実だとして、ユリアンカは捕まりそうになる
どうやら、問答無用で処刑するつもりのようだ。
当然、ユリアンカは逃げ出す。そして彼女は、急いで創造主のもとへ向かった。
どうやら私は、婚約破棄を告げられたらしい。しかも、婚約相手の愛人をイジメていたそうだ。
そんな嘘で貶めようとしてくる彼ら。
報告を聞いた私は、王国から出ていくことに決めた。
こんな時のために用意しておいた天空の楽園を動かして、好き勝手に生きる。
前世軍医だった傷物令嬢は、幸せな花嫁を夢見る
花雨宮琵
恋愛
侯爵令嬢のローズは、10歳のある日、背中に刀傷を負い生死の境をさまよう。
その時に見た夢で、軍医として生き、結婚式の直前に婚約者を亡くした前世が蘇る。
何とか一命を取り留めたものの、ローズの背中には大きな傷が残った。
“傷物令嬢”として揶揄される中、ローズは早々に貴族女性として生きることを諦め、隣国の帝国医学校へ入学する。
背中の傷を理由に六回も婚約を破棄されるも、18歳で隣国の医師資格を取得。自立しようとした矢先に王命による7回目の婚約が結ばれ、帰国を余儀なくされる。
7人目となる婚約者は、弱冠25歳で東の将軍となった、ヴァンドゥール公爵家次男のフェルディナンだった。
長年行方不明の想い人がいるフェルディナンと、義務ではなく愛ある結婚を夢見るローズ。そんな二人は、期間限定の条件付き婚約関係を結ぶことに同意する。
守られるだけの存在でいたくない! と思うローズは、一人の医師として自立し、同時に、今世こそは愛する人と結ばれて幸せな家庭を築きたいと願うのであったが――。
この小説は、人生の理不尽さ・不条理さに傷つき悩みながらも、幸せを求めて奮闘する女性の物語です。
※この作品は2年前に掲載していたものを大幅に改稿したものです。
(C)Elegance 2025 All Rights Reserved.無断転載・無断翻訳を固く禁じます。
令嬢は魅了魔法を強請る
基本二度寝
恋愛
「お願いします!私に魅了魔法をかけてください」
今にも泣きそうな声で取り縋る令嬢に、魔法師団の師長を務める父を持つ子爵家の子息、アトラクトは慌てた。
魅了魔法などと叫ばれ周囲を見回した。
大昔、王室を巻き込んで事件の元となった『魅了魔法』は禁術となり、すでに廃術扱いの代物だった。
「もう、あの方の心には私が居ないのです。だから…」
「待て待て、話をすすめるな」
もう失われている魔法なのだと、何度説明しても令嬢は理解しない。
「私の恋を終わらせてください」
顔を上げた令嬢に、アトラクトは瞳を奪われた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる