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次の日、令嬢達の期待の王子は私と同じクラスにやって来ました、令嬢達は騒ぐほどの、中々の体格のよい男前な方でした。
「アサルト国から来ました、リュート・アサルトです。しばらくですが、よろしくお願いします」
なんて爽やか王子。彼は半獣の王子様なのね。もふもふな耳に尻尾だわ。
金髪に琥珀色の瞳のイケメンなトラさん。
その方は授業が終わると、なぜか私に近づいて来た。
「公爵令嬢のリリア・ナノーカ嬢。今日からあなたのお屋敷でご厄介になります」
「ええ、私の屋敷に住むの?」
声を上げて驚く私に、困惑した彼。
「あの、そのように連絡をして屋敷に荷物も送ったと、思うのですが?」
連絡? 荷物? 最近お父様から届いていた、手紙を読んでいなかったわ。
手紙の内容が、レオーン殿下とは仲良くやりなさいから、レオーン殿下と仲良くしなくても、私に会いに王城の私の所に来なさいに。なぜか、変わったのだけど。
あることにハマって、そちらが忙しくて、お父様の手紙を簡単に目を通すだけ、だったからね?
屋敷の部屋は余っているから大丈夫だけど。そこには私とメイドと従者しかいないけど、いいのかしら? 彼の従者はいらっしゃらないの?
「リリアお嬢様!」
悩んでいると学園の廊下を歩く。見知った顔がこちらにやってきましたわ。
このことを説明していただかなくては。
「セバスチャン、これはどう言うこと?」
「お嬢様が旦那様からの手紙をご覧にならないからです。直接、私が渡しに来ました」
セバスチャンから受け取り、手紙を開くと「国王陛下から直々に申し渡された。隣国の獣人の王子をリリアの邸に住まわせてやってくれ。彼はこの国に一人で来ているから、彼のことをよろしく頼む」と、書かれていた。
お父様、おっしゃりたいことはそれだけなの? もう、国王陛下から受けてしまった、後の話なのね。
受けてしまったものは、仕方がありませんわ。
「セバスチャンわかりましたと、お父様に伝えて」
「はい、畏まりました」
手紙をカバンにしまって、先程から困り顔のリュート様に声をかけた。
「話はお受けたわまりましたわ。屋敷に案内をします、一緒に馬車で帰りましょう」
「はい、リリア嬢」
彼の尻尾かフリフリと動いたわ。なんて可愛いの。でも、殿方のお尻ばっかり見ていては失礼よね。
「待て、リリア嬢」
呼び止められて振り向くと、今日はララーナさんと一緒ではなく、珍しく一人の殿下に呼び止められた。
「どうしたのですか、レオーン殿下?」
「帰るのか? 今日は前から決まっていた、父上と母上との会食の日なのだが」
あら、そうだったかしら?
「私は今から、リュート様を屋敷に案内するのでご遠慮します。殿下は愛しのララーナさんをお連れすればいいのですわ。国王陛下にもそうお伝えください」
愛しのララーナさんの名前を出せば、何も言えなくなる。一掃、このまま婚約破棄して、ララーナさんと婚約して欲しいわね。
でも、それをしないとなると。ゲーム通り、学園の卒業までは出来ない仕組みなのかしらね?
「アサルト国から来ました、リュート・アサルトです。しばらくですが、よろしくお願いします」
なんて爽やか王子。彼は半獣の王子様なのね。もふもふな耳に尻尾だわ。
金髪に琥珀色の瞳のイケメンなトラさん。
その方は授業が終わると、なぜか私に近づいて来た。
「公爵令嬢のリリア・ナノーカ嬢。今日からあなたのお屋敷でご厄介になります」
「ええ、私の屋敷に住むの?」
声を上げて驚く私に、困惑した彼。
「あの、そのように連絡をして屋敷に荷物も送ったと、思うのですが?」
連絡? 荷物? 最近お父様から届いていた、手紙を読んでいなかったわ。
手紙の内容が、レオーン殿下とは仲良くやりなさいから、レオーン殿下と仲良くしなくても、私に会いに王城の私の所に来なさいに。なぜか、変わったのだけど。
あることにハマって、そちらが忙しくて、お父様の手紙を簡単に目を通すだけ、だったからね?
屋敷の部屋は余っているから大丈夫だけど。そこには私とメイドと従者しかいないけど、いいのかしら? 彼の従者はいらっしゃらないの?
「リリアお嬢様!」
悩んでいると学園の廊下を歩く。見知った顔がこちらにやってきましたわ。
このことを説明していただかなくては。
「セバスチャン、これはどう言うこと?」
「お嬢様が旦那様からの手紙をご覧にならないからです。直接、私が渡しに来ました」
セバスチャンから受け取り、手紙を開くと「国王陛下から直々に申し渡された。隣国の獣人の王子をリリアの邸に住まわせてやってくれ。彼はこの国に一人で来ているから、彼のことをよろしく頼む」と、書かれていた。
お父様、おっしゃりたいことはそれだけなの? もう、国王陛下から受けてしまった、後の話なのね。
受けてしまったものは、仕方がありませんわ。
「セバスチャンわかりましたと、お父様に伝えて」
「はい、畏まりました」
手紙をカバンにしまって、先程から困り顔のリュート様に声をかけた。
「話はお受けたわまりましたわ。屋敷に案内をします、一緒に馬車で帰りましょう」
「はい、リリア嬢」
彼の尻尾かフリフリと動いたわ。なんて可愛いの。でも、殿方のお尻ばっかり見ていては失礼よね。
「待て、リリア嬢」
呼び止められて振り向くと、今日はララーナさんと一緒ではなく、珍しく一人の殿下に呼び止められた。
「どうしたのですか、レオーン殿下?」
「帰るのか? 今日は前から決まっていた、父上と母上との会食の日なのだが」
あら、そうだったかしら?
「私は今から、リュート様を屋敷に案内するのでご遠慮します。殿下は愛しのララーナさんをお連れすればいいのですわ。国王陛下にもそうお伝えください」
愛しのララーナさんの名前を出せば、何も言えなくなる。一掃、このまま婚約破棄して、ララーナさんと婚約して欲しいわね。
でも、それをしないとなると。ゲーム通り、学園の卒業までは出来ない仕組みなのかしらね?
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