11 / 99
十
しおりを挟む
「「うわあああっー‼︎」」
突如、尋常じゃない悲鳴が、王都まで続く一本道から聞こえてきた。耳をすますと悲鳴だけではなく、動物の雄叫びまで声も聞こえた。
「ギャァ、モンスターが出たぁ。誰か助けてくれ!」
「きゃぁー‼︎」
「……くっ」
「ひぃーっ‼︎」
(モンスター?)
私は急いで声が聞こえた方に走った。
着いた先では何人もの冒険者らしき人達が、狼型の大型モンスターに襲われていた。
他のモンスターの視野から離れ逃げ延びた冒険者達は、王都まで逃げて行く姿も見える。その達はモンスターが出たと騎士団を呼びに向かった人もいるだろう。私は気配を消して、茂みに身を潜めて様子を伺った。
詳しくモンスターを観察すると、灰色の半狼半人が冒険者達を襲っていた。
「あれはワーウルフ⁉︎」
近くの洞窟から出てきた、冒険者達を襲うニメートル以上の半狼半人のワーウルフ、奴の額には真っ黒な魔法陣が光って見えた。
誰かに召喚された……いや違う、あれは束縛の召喚術だ。
あの大型ワーウルフは無理矢理、この場に召喚されたんだ。本来、召喚は魔石と魔物の骨を使いモンスターを呼び寄せる。呼び寄せた術者はモンスターに自分の魔力が篭った物を差し出し、モンスター側がそれを受け取り契約を結ぶと習ったわ。
それともう一つは力任せに呼ぶ、禁断の召喚術。
召喚に魔石を使わず強引に魔力と魔物の骨だけで呼び寄せる。呼び寄せたモンスターを力任せに捻じ伏せて一方的に従わせる。
あのモンスターの消し方は、額に光る魔法陣を壊せばいいのだけど。
「うわぁーっ‼︎」
「助けてくれ!」
近くで召喚士がモンスターを操っているはず、先に召喚士を見つけた方がいいかな。
その時、冒険者の女剣士が叫んだ。
「みんなはここから早く先に逃げて! 私はここに残って戦う!」
「ユリ、私達にはポーションも体力も無い状態だぞ!」
女剣士はみんなを逃そうと叫んだが、仲間達は逃げなかった。彼らは見る限りモンスター駆除からの帰り、装備の鎧と剣もボロボロだ。武闘家モンクは傷だらけの拳を構えて叫んだ。
「自分はまだやれます!」
「「あなた達だけを置いてゆけない、自分もやれます!」」
魔法使いも残りの魔力を使おうと詠唱に入る。それを守るように、回復系の魔法使いは杖を構えた。
「みんな、やるのだな……ここは私が君達を守る、シールド‼︎」
壁役の人が魔力を使い盾を構えた。あの冒険者達は盾役が吹っ飛んだら終わりそうだ。盾役がワーウルフの攻撃に耐えれば、半狼半人ワーウルフ一匹なら、なんとか倒せるかもとわたしは茂みに隠れて見ていた。
「グルワァーアアン」
突如、わたしがいる反対側の真横から、もう一匹の小型ワーウルフが飛びでて、盾役が張ったシールドに体当たりをした。ワーウルフの風圧でシールドが外れて詠唱中の魔法使いと、それを守っていた魔法使いがバランスを崩して吹っ飛ばされた。
「「キリア、ラトル!」」
冒険者達の陣形が崩れてしまった。そこを狙いニ匹のワーウルフは冒険者達と陣形から離れた魔法使い達を襲う。
「ぐわぁぁー‼︎」
「ぎゃぁー」
ワーウルフの強烈な爪攻撃を喰らい、冒険者と魔法使い達の苦痛に満ちた悲鳴を聞き。わたしは我慢ができず、茂みから走り出て魔法使い達の前で、小型のワーウルフに向かい持っていた木刀を構えた。
「盾役の人、もう一度シールドを張って! 手が空いている人はニ人は、傷付いた仲間をシールドの中に運んで!」
「あ、あぁ、わかった」
盾役の人がもう一度シールドを張ったのを見て、私は目の前で睨み低く唸る、小型のワーウルフに飛びかかった。
突如、尋常じゃない悲鳴が、王都まで続く一本道から聞こえてきた。耳をすますと悲鳴だけではなく、動物の雄叫びまで声も聞こえた。
「ギャァ、モンスターが出たぁ。誰か助けてくれ!」
「きゃぁー‼︎」
「……くっ」
「ひぃーっ‼︎」
(モンスター?)
私は急いで声が聞こえた方に走った。
着いた先では何人もの冒険者らしき人達が、狼型の大型モンスターに襲われていた。
他のモンスターの視野から離れ逃げ延びた冒険者達は、王都まで逃げて行く姿も見える。その達はモンスターが出たと騎士団を呼びに向かった人もいるだろう。私は気配を消して、茂みに身を潜めて様子を伺った。
詳しくモンスターを観察すると、灰色の半狼半人が冒険者達を襲っていた。
「あれはワーウルフ⁉︎」
近くの洞窟から出てきた、冒険者達を襲うニメートル以上の半狼半人のワーウルフ、奴の額には真っ黒な魔法陣が光って見えた。
誰かに召喚された……いや違う、あれは束縛の召喚術だ。
あの大型ワーウルフは無理矢理、この場に召喚されたんだ。本来、召喚は魔石と魔物の骨を使いモンスターを呼び寄せる。呼び寄せた術者はモンスターに自分の魔力が篭った物を差し出し、モンスター側がそれを受け取り契約を結ぶと習ったわ。
それともう一つは力任せに呼ぶ、禁断の召喚術。
召喚に魔石を使わず強引に魔力と魔物の骨だけで呼び寄せる。呼び寄せたモンスターを力任せに捻じ伏せて一方的に従わせる。
あのモンスターの消し方は、額に光る魔法陣を壊せばいいのだけど。
「うわぁーっ‼︎」
「助けてくれ!」
近くで召喚士がモンスターを操っているはず、先に召喚士を見つけた方がいいかな。
その時、冒険者の女剣士が叫んだ。
「みんなはここから早く先に逃げて! 私はここに残って戦う!」
「ユリ、私達にはポーションも体力も無い状態だぞ!」
女剣士はみんなを逃そうと叫んだが、仲間達は逃げなかった。彼らは見る限りモンスター駆除からの帰り、装備の鎧と剣もボロボロだ。武闘家モンクは傷だらけの拳を構えて叫んだ。
「自分はまだやれます!」
「「あなた達だけを置いてゆけない、自分もやれます!」」
魔法使いも残りの魔力を使おうと詠唱に入る。それを守るように、回復系の魔法使いは杖を構えた。
「みんな、やるのだな……ここは私が君達を守る、シールド‼︎」
壁役の人が魔力を使い盾を構えた。あの冒険者達は盾役が吹っ飛んだら終わりそうだ。盾役がワーウルフの攻撃に耐えれば、半狼半人ワーウルフ一匹なら、なんとか倒せるかもとわたしは茂みに隠れて見ていた。
「グルワァーアアン」
突如、わたしがいる反対側の真横から、もう一匹の小型ワーウルフが飛びでて、盾役が張ったシールドに体当たりをした。ワーウルフの風圧でシールドが外れて詠唱中の魔法使いと、それを守っていた魔法使いがバランスを崩して吹っ飛ばされた。
「「キリア、ラトル!」」
冒険者達の陣形が崩れてしまった。そこを狙いニ匹のワーウルフは冒険者達と陣形から離れた魔法使い達を襲う。
「ぐわぁぁー‼︎」
「ぎゃぁー」
ワーウルフの強烈な爪攻撃を喰らい、冒険者と魔法使い達の苦痛に満ちた悲鳴を聞き。わたしは我慢ができず、茂みから走り出て魔法使い達の前で、小型のワーウルフに向かい持っていた木刀を構えた。
「盾役の人、もう一度シールドを張って! 手が空いている人はニ人は、傷付いた仲間をシールドの中に運んで!」
「あ、あぁ、わかった」
盾役の人がもう一度シールドを張ったのを見て、私は目の前で睨み低く唸る、小型のワーウルフに飛びかかった。
31
お気に入りに追加
648
あなたにおすすめの小説
前略、旦那様……幼馴染と幸せにお過ごし下さい【完結】
迷い人
恋愛
私、シア・エムリスは英知の塔で知識を蓄えた、賢者。
ある日、賢者の天敵に襲われたところを、人獣族のランディに救われ一目惚れ。
自らの有能さを盾に婚姻をしたのだけど……夫であるはずのランディは、私よりも幼馴染が大切らしい。
「だから、王様!! この婚姻無効にしてください!!」
「My天使の願いなら仕方ないなぁ~(*´ω`*)」
※表現には実際と違う場合があります。
そうして、私は婚姻が完全に成立する前に、離婚を成立させたのだったのだけど……。
私を可愛がる国王夫婦は、私を妻に迎えた者に国を譲ると言い出すのだった。
※AIイラスト、キャラ紹介、裏設定を『作品のオマケ』で掲載しています。
※私の我儘で、イチャイチャどまりのR18→R15への変更になりました。 ごめんなさい。
婚約者を想うのをやめました
かぐや
恋愛
女性を侍らしてばかりの婚約者に私は宣言した。
「もうあなたを愛するのをやめますので、どうぞご自由に」
最初は婚約者も頷くが、彼女が自分の側にいることがなくなってから初めて色々なことに気づき始める。
*書籍化しました。応援してくださった読者様、ありがとうございます。
【完結】私は死んだ。だからわたしは笑うことにした。
彩華(あやはな)
恋愛
最後に見たのは恋人の手をとる婚約者の姿。私はそれを見ながら階段から落ちた。
目を覚ましたわたしは変わった。見舞いにも来ない両親にー。婚約者にもー。わたしは私の為に彼らをやり込める。わたしは・・・私の為に、笑う。
侯爵夫人のハズですが、完全に無視されています
猫枕
恋愛
伯爵令嬢のシンディーは学園を卒業と同時にキャッシュ侯爵家に嫁がされた。
しかし婚姻から4年、旦那様に会ったのは一度きり、大きなお屋敷の端っこにある離れに住むように言われ、勝手な外出も禁じられている。
本宅にはシンディーの偽物が奥様と呼ばれて暮らしているらしい。
盛大な結婚式が行われたというがシンディーは出席していないし、今年3才になる息子がいるというが、もちろん産んだ覚えもない。
元婚約者が愛おしい
碧桜 汐香
恋愛
いつも笑顔で支えてくれた婚約者アマリルがいるのに、相談もなく海外留学を決めたフラン王子。
留学先の隣国で、平民リーシャに惹かれていく。
フラン王子の親友であり、大国の王子であるステファン王子が止めるも、アマリルを捨て、リーシャと婚約する。
リーシャの本性や様々な者の策略を知ったフラン王子。アマリルのことを思い出して後悔するが、もう遅かったのだった。
フラン王子目線の物語です。
【完結】婚約者の義妹と恋に落ちたので婚約破棄した処、「妃教育の修了」を条件に結婚が許されたが結果が芳しくない。何故だ?同じ高位貴族だろう?
つくも茄子
恋愛
国王唯一の王子エドワード。
彼は婚約者の公爵令嬢であるキャサリンを公の場所で婚約破棄を宣言した。
次の婚約者は恋人であるアリス。
アリスはキャサリンの義妹。
愛するアリスと結婚するには「妃教育を修了させること」だった。
同じ高位貴族。
少し頑張ればアリスは直ぐに妃教育を終了させると踏んでいたが散々な結果で終わる。
八番目の教育係も辞めていく。
王妃腹でないエドワードは立太子が遠のく事に困ってしまう。
だが、エドワードは知らなかった事がある。
彼が事実を知るのは何時になるのか……それは誰も知らない。
他サイトにも公開中。
あなたなんて大嫌い
みおな
恋愛
私の婚約者の侯爵子息は、義妹のことばかり優先して、私はいつも我慢ばかり強いられていました。
そんなある日、彼が幼馴染だと言い張る伯爵令嬢を抱きしめて愛を囁いているのを聞いてしまいます。
そうですか。
私の婚約者は、私以外の人ばかりが大切なのですね。
私はあなたのお財布ではありません。
あなたなんて大嫌い。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる