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魔王様の一張羅
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恥ずかしい呪文を唱えた後から、ジュリオン、ナナカ達がいる執務室で私に抱きつくラン。
「可愛い、キャロは可愛い、早くお前と結婚したい!」
私もランと結婚したいけど。
「ちょっと、ラン、みんなが見てるって」
「見てるじゃない、見せ付けているんだ!」
「もう、恥ずかしいって」
「恥ずかしがる、キャロは可愛い……。浮気者のジュリオンにキャロの可愛い顔は見せたくない、馬車に戻ろう、すぐ戻って、……あ、ああ――っ! キャロ、今どこかに親父が来たようだ」
――ええ、魔王様がこの王城に来たの?
「だからか。昨日用事で魔王城に寄ったとき、お袋がウキウキしながら親父の服を選んでいたのだな……人が恐れる、恐怖する、格好にしなくちゃね、って、楽しそうにしていた」
なんて、可愛い魔王様の王妃だ。
「ちょっと! あなた達、このゲームのヒロインのわたしを放置して、いつまでイチャイチャしている、つもりなの!」
「ずっとだ! キャロ、父上のところに行くぞ」
「え、ええ、行きましょう」
そばでキャンキャン喚くナナカを無視して、私たちはランに言い負かされた、ジュリオンの執務室を後にした。
「コッチから親父の魔力を感じるな」
城内を走り、ランはわたしを横抱きにかかえたまま、魔王様が放つ魔力を辿り。
王との謁見、王族開催の舞踏会などが開かれる王の間についた。
何故か、扉の前にいる警備騎士は二人とも、白目をむいて気絶している。
「親父のやつ。王の間で闇の魔力を放ったな……何してるんだ!」
「闇の魔力? お父様とお母様、お兄様と弟君は平気なのかしら?」
『心配だな、行くぞ!』っと、ランは王の間の扉を開ける。
「あ!」
扉の先で私達が見たものは王座にドカッと魔王様が座り、泡を吹いて気絶した国王陛下、騎士、側近を不機嫌に見下ろしていた。
私の家族は弟君が作った魔導具、ドーム型バリアの中で魔王が放つ闇の魔力から守られている。
「つまらん。せっかく妻が選んだ一張羅を着ていたのに、私を見ずに倒れるとは――なんと人とはか弱いな」
「親父、そんなことで拗ねんなよ」
「ん? ランスロットか……そっちは終わったのか? こっちは私が現れたと同時に王が気絶したのだが……」
「そりゃそうだよ。人と俺達は根本的に違うと、昨日教えただろう!」
「……そうだったかな?」
ランがそう言っても、わからないとばかりに首を傾げる魔王。
(一応、安全を考慮して魔導具を使ったけど)
普段は側近としてそばにいるお父様と、薬師のお母様、お兄様と弟君、私は平気なのに、
ここにいる奴らは弱すぎる、と言いたいみたい。
「私の一張羅……見て欲しかった」
「可愛い、キャロは可愛い、早くお前と結婚したい!」
私もランと結婚したいけど。
「ちょっと、ラン、みんなが見てるって」
「見てるじゃない、見せ付けているんだ!」
「もう、恥ずかしいって」
「恥ずかしがる、キャロは可愛い……。浮気者のジュリオンにキャロの可愛い顔は見せたくない、馬車に戻ろう、すぐ戻って、……あ、ああ――っ! キャロ、今どこかに親父が来たようだ」
――ええ、魔王様がこの王城に来たの?
「だからか。昨日用事で魔王城に寄ったとき、お袋がウキウキしながら親父の服を選んでいたのだな……人が恐れる、恐怖する、格好にしなくちゃね、って、楽しそうにしていた」
なんて、可愛い魔王様の王妃だ。
「ちょっと! あなた達、このゲームのヒロインのわたしを放置して、いつまでイチャイチャしている、つもりなの!」
「ずっとだ! キャロ、父上のところに行くぞ」
「え、ええ、行きましょう」
そばでキャンキャン喚くナナカを無視して、私たちはランに言い負かされた、ジュリオンの執務室を後にした。
「コッチから親父の魔力を感じるな」
城内を走り、ランはわたしを横抱きにかかえたまま、魔王様が放つ魔力を辿り。
王との謁見、王族開催の舞踏会などが開かれる王の間についた。
何故か、扉の前にいる警備騎士は二人とも、白目をむいて気絶している。
「親父のやつ。王の間で闇の魔力を放ったな……何してるんだ!」
「闇の魔力? お父様とお母様、お兄様と弟君は平気なのかしら?」
『心配だな、行くぞ!』っと、ランは王の間の扉を開ける。
「あ!」
扉の先で私達が見たものは王座にドカッと魔王様が座り、泡を吹いて気絶した国王陛下、騎士、側近を不機嫌に見下ろしていた。
私の家族は弟君が作った魔導具、ドーム型バリアの中で魔王が放つ闇の魔力から守られている。
「つまらん。せっかく妻が選んだ一張羅を着ていたのに、私を見ずに倒れるとは――なんと人とはか弱いな」
「親父、そんなことで拗ねんなよ」
「ん? ランスロットか……そっちは終わったのか? こっちは私が現れたと同時に王が気絶したのだが……」
「そりゃそうだよ。人と俺達は根本的に違うと、昨日教えただろう!」
「……そうだったかな?」
ランがそう言っても、わからないとばかりに首を傾げる魔王。
(一応、安全を考慮して魔導具を使ったけど)
普段は側近としてそばにいるお父様と、薬師のお母様、お兄様と弟君、私は平気なのに、
ここにいる奴らは弱すぎる、と言いたいみたい。
「私の一張羅……見て欲しかった」
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