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別荘に行こう 6

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公爵モードラー当主マーレは転生者。前世の記憶を元にチート魔力で、魔導具をいくつも発明していた。


(ふふ、ふ~ん! 学園物のテンプレは書いていて楽しいわ。腐男子君総受け!)


こんにち、バルバロッサ国が幸せなのは公爵マーレのおかげでもある。戦争を引き起こさず、食糧難にもならず、経済も豊かなで笑顔が溢れた国。


(しかし、元が乙女ゲーム+BLゲームだからか……学園で勤める者に話を聞くと、貴族の中でも男同士のカップルが多い)


でも、良かった。前世であらゆるジャンルの本を読んできて、それを元に本を書けば売れる。小説、漫画も何百年と描いてきて上手くなったと思う。


(最初のは黒歴史だけど……)


また、ぬるぬる液、薬草湯、ビンビンドリンク、ラブクッキー、エロ魔導具は国内、隣国でも売れに売れている。食だって唐揚げ、ポテチ、パンケーキ、ライトノベルのテンプレものは抑えた。

たこ焼き、お好み焼き、ピザだってある。


(そして、この乙女ゲームのヒロインちゃんが前世持ちだった……それも、あの子は元BL同人作家だったなんて最高だ! 即スカウトしたらOKをもらった)


ヒロインちゃんに描いてもらう、オメガバースは泣ける。獣人の話もいい。あの子は鬼才だ。いまは学園の合間に別室で黙々描いてもらっている。ちょうど学園が夏季休暇から原稿がはかどる。

当主マーレは執務室で1人ーー描いていた原稿のペンを置き時計を見上げた。


「そろそろ別荘に着く頃かしら? ふふっ、みんな今回の別荘に着いたら、きっと驚くわ!」


マーレは王太子が別荘に行くと聞き、また色々と別荘に工夫をしていたのだった。

1番は推しのセバスの為、みんなが楽しめる別荘を作りたかったのもある。


(セバス、別荘でレオール王太子にたっぷり愛されてねぇ!)



コンコン

「は~い!」

「紅茶が入ったぞ」

「ありがとう、ルト」

 
彼が何か言いたげに僕を見据える。僕は分かっていても知らんぷりをする。


「何か言いたいことがあれば言って」

「マーレ……この後、ベッドに誘ってもいい?」


言わないならこっちから誘うのだけど、珍しく彼にしては積極的だ。

 
「喜ばしいお誘いだね、いいよ」

来客とかあって少し後になるけど、久しぶりに僕は彼に甘えた。










(ふうっ、もうすぐ別荘に着くか……)


俺は窓を開けて外の景色をソファーで、セバスと楽しんでいた。

「なぁセバス、ここルート地方は穀物を作るのには不向きな土地だったが、薬草、ハーブを植えて正解だったな」


(いまや名産か)


「えぇ、国王陛下とモードラー当主が何度も話し合いましたからね」

「そうだな。いまでは隣国に輸出できる量を収穫できている。その話し合いに参加させてもらって勉強になった。ほんとモードラー公爵には頭が上がらない、セバスという良い側近にも会えたからな」


モードラー公爵が俺たち王族を役員会で蹴落として、新しい国王となってもおかしくない。モードラー家はそれだけ力を持っている。


(会議は全て音声だけで、俺はお会いしたことがないがきっと凄い人物なのだろう)


俺がーーみんなが生活をしていく上で、モードラー家の名前を聞かない日はない。


「レオール様、いまがあるのは初代モードラー様を助けたこの国の国王陛下です。そこから繋がった縁が、いまでも根強く続いているのです」

「そうだな、俺たちは良い縁に恵まれたな」

「はい」


夏の良い風が吹く、畑の薬草、ハーブが揺れていた。











俺たちは別荘を見上げた。


「セバス、前回とはかなり別荘が変わっているな……土地も広がった」

「えぇ相当、力が入っていますね」


馬車が着き降りた俺たちを待っていたのは、俺専用の別荘、アーサー、ミッシェルの別荘。その各別荘から通路を渡り奥に行けば食堂があるらしい。

従者から別荘の地図が渡された。では私たちは失礼しますと、これらが言った先に従者用の家もあった。


(地図か……)


「これが、俺の別荘か!」

「ここが、私の別荘!」


2人は目を輝かせて、自分専用の別荘に大はしゃぎだ。地図を確かめると屋敷の中は執務室、映写室、書庫、談話室、キッチンと食堂、露天風呂、内風呂、寝室。そとは訓練場、乗馬場、プール、海岸が近くにあり森があった。


「この映写室とは何だ?」

「私も初めて聞きますね」

「セバス、行ってみるか」

「はい、レオール様」


屋敷を入ったすぐの壁に、8月17日に敷地内で縁日があると、描かれたポスターが貼ってあった。
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