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セバスの1日 (前)

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毎朝、朝5時に起床して、下半身、締まりをよくする、母さん直伝の柔軟体操を毎日30分かけて行う。

挿入時に『セバスの締まりが良いな』レオール様の掠れた声で、そう言っていただけるのが私に取って最高の褒め言葉。

(レオール様の為、レオール様に気持ちよくなってもう為)

それが終わり部屋についている風呂で汗を流す。このバルバロッサ城はマーレ母さんが強化している。ライト、キッチン、調理場、お風呂、魔法陣に手を翳せばランプに灯がつき、コンロに火がともり、適温なお湯が出る。トイレ、洗濯場も同じ。

私たち魔法が使えるものが1ヶ月に一度、魔石の交換をすれば半永久的に使えると、母さんは言っていた。

何よりすごいのが冷やし庫、食べ物を冷やす箱。これにも魔石が使用されている。各部屋に置かれていて、私は主にぬるぬる液とビンビン液、果実水、果物を冷やしている。

汗を流した後、朝食に果物をとり着替えてレオール様を起こす。本当ならメイドたちの仕事なのですが、彼が16歳になられた時に命じられて、それから毎日行っている。

レオール様が起きるのは大抵6時。繋がった部屋から入り彼を起こす。彼が目を覚まされたらカーテンを開けて空気の入れ替え、冷やし庫の果実水をお出しする。中身は朝食用の果物と果実水、ぬるぬる液。

(おや、ぬるぬる液が減っておりますね、新しいのに交換いたしますか)

「レオール様、今日の果実水はオレンジ水に致しました」

「ありがとう、セバス」

その間に私は着替えをお出しする。

(そうだ、ぬるぬる液を部屋に取りに行かねば)

部屋から交換用の液を持ってくると、レオール様は焦った様子。

「セバス?」

「減っておりましたので交換いたします。もし、夜のお相手も必要でしたら遠慮なく私をお呼びください」

「あぁ、いや、昨日寝る前に読んだ本が過激過ぎてな、深夜だったからそれを使い1人いたした」

「そうでしたか、それで終わった後の下着はどうされましたか?」

そう聞けば、飲んでいた果実水を「うぐっ」とむせるレオール様。

まさかと思い「失礼します」と彼のいる布団を巡った、下は寝巻きをお履きになられず、汚された下着と寝巻きは布団の中に丸められていた。

「……セバス、出した後に眠くなって下着で拭いて、そのまま寝てしまった」

(レオール様が照れてる姿は珍しいですね)

「ではクリーンをかけた後に洗濯に出しておきますね。そろそろ訓練のお時間です」

「ありがとう、セバス」

レオール様は着替えて騎士団の訓練に向かった。

(お戻りになるのは1時間半後ですね)

残った私はシーツを取りカピカピな下着などにクレーンをかけて、今日メイドに渡す洗濯物を集めた。先程、ベッドのシーツを取った時に読んでいたであろう本が転がった、それを見て私はすぐに紙を取り出してハサハに連絡した。

『ハサハ ミッシェル王女様はレオール様に男性同士の本をお渡ししておりませんか。』

書いた文字がすぐに消えた。

(ハサハの持つ紙に届きまたのでしょうか?)


この紙は昨日、母さんからいただいたもの。
私たちの乗る馬車が近くの村に差し掛かった頃。

『そこのモードラー家の馬車待て!』

箒に乗った母さんが馬車を追って飛んできた。従者は気付き手綱を引き馬車を止めた。

母さんは馬車に乗り込み、入り口近くに座る私の膝の上に座り、胸元から紙を取り出して私たちに見せた。

『いやー歳かな? 来たすぐに渡そうと思っていたんだけど、あなた達との会話が楽しくて忘れてしまったよ』

私の膝の上で笑う母さん。

『それで、その紙は何に使うのですか?』

クリス兄が聞くと、母さんは紙を私たちに見せながら。

『この紙はね、あなた達が先月の末にも城で余り兄弟で会わないと言っていたから、会わなくても連絡できる紙を作ってみた』

前に座るリュートとハサハが、その紙に興味を持ち体を乗り出す。

『会わずに連絡できるなんて、すげぇ~母さん!』

『これで何があっ時にリュー兄に直接、文句が言えるわね!』

『文句かよ~!』

『リュー兄にはそれしかないでしょう!』

『ははっ、2人は元気だな!』

言い合いをまた始めた2人を見て笑う母さん。兄弟と会わなくても連絡が取れるって、母さんは私たちの会話を覚えていてくれたのですね。
 
その紙にクリス兄も興味があるらしく。

『母さん、どうやって使うです?』

『そうだね。試しにやってみようか』

みんながわくわくドキドキ見守るなか、母さんは紙の説明を始めた。

『ここに連絡したい相手の名前を書き、その下に伝えることを書く。例えばセバスの名前を書き「こんにちは、話したいことがあります。」と書いて、文字の終わりに句点(。)を付けるとセバスの紙に飛んでいく、みんなに伝えたい時は文字だけでいいから』

母さんが持つ紙から文字が消えて、私が持つ紙に文字が浮かんだ。

『あっ、私の紙にクリス兄から「こんにちは、話したいことがあります。」の文字が浮かびました』

『本当だ!』

『すごいわ!』

『じゃ、使ってみて。来月の末にどうだっか教えて! 私は帰るからみんなも気を付けて帰るんだよ!』

紙を渡して伝えることを伝えて、母さんは来た時と同じく、箒に乗って帰っていった。


(本当に、いつも慌ただしい母さんですね)

しばらく部屋を掃除をして待っていると、ハサハから返信が返って来た。

「『セバス兄からの手紙読みました ミッシェル様はレオール王太子殿下に相当濃厚な本をお渡したと思うわ 夕食後に嬉しそうに話していたもの。』」

(濃厚な本ですか……)

「『分かりました、ハサハ、何か変わったこと報告したいことはありますか。』」

その後の妹の返信には、満月の夜に見たアーサー弟殿下とリュートの夜のことがびっしり書かれいた。リュートはことを始める前に周りを注意して見ないといけませんね。よりにもよって王女様のバルコニーの近くでするなんて……

「『私からも注意しますね。』」

ハサハとのやり取りを終えた。

(レオール様がお読みになったこの本は、いま巷で人気な濃厚な男性同士の恋愛を描かれた本。私も持っておりますが……レオール様が読みになって、お立ちになったのも分かります)
 
この本「少年は王子の腕の中に囚われる」主人公は王子にお金で買われた美少年の話。

『脱げ! 俺に尻を向けよ!』

『お前の尻蕾はヒクヒクと涎を垂らし、この俺を求めているな』

私は王子の少年を責める時のセリフが好きです。

(……交接のとき、レオール様も似た様なことおっしゃられますがね)

本をベッドに戻して、私はメイドを呼ぶ鈴を鳴らした。部屋に来たメイドにレオール様の洗濯物を渡しして。次に新しいシーツを用意してもらっい、レオール様のベッドのメイキングを終えた。

(ふぅ、彼女達は滅多にレオール様の部屋には来れませんから嬉しそうでしたね)

彼女たちーー貴族から来た令嬢メイドは、レオール様に気に入られたくて仕方がない。婚約者がいても虎視眈々と彼の隣を狙っている。それが分かりレオール様は、自分のテリトリーに彼女たちを入れるのを嫌った。





1時間半後訓練を終えた、レオール様が部屋にお戻りになった。

「セバス、戻った」

「おかえりなさいませ、レオール様。お風呂の準備は終わっております。朝食はどうされますか?」

「そうだな……今日は果物を何個か食べる」

「かしこまりました」

(毎日、騎士団と訓練をされて鍛え抜かれた体。引き締まった筋肉に女性陣が喜ぶのも分かります)

レオール様がお風呂で汗を流される間にリュートに連絡した。内容は満月の夜のこと。ハサハの時とは違いすリュートからの返信はすぐに返ってかない。

(まだ寝ているのですかね)

もしかすると一晩中、弟殿下のお相手をしたのでしょう。カタッと脱衣所の音がした。私は冷やし庫から、冷やされた果物を数個出して食べやすくカットした。

「ふぅ、さっぱりした」

部屋に私しかいないことがわかっているからか、レオール様はタオルで拭き裸のまま部屋を歩く。

「レオール様、着替えと果物をご用意いたしました。私は部屋に居ますので、御用がありましたらお呼びください」

「んっ、分かった」

自分の部屋で朝食を取り、執務が始まる10分前まで休憩した。





9時ごろ、執務室での仕事が始まる。その前にレオール様の衣類とタオルを洗濯室に運び。その足で調理場に行き、昼食用のパンと卵、お肉、野菜、茶菓子など必要な物を貰い、執務室に向かった。ノックをして部屋に入り冷やし庫の中に調理場で貰った食べ物のをしまい、自分の仕事を始めた。

紙を確認しても、リュートからの返信はない。

(まだ寝ているのでしょうか? のんびりですね)

静かな執務室、カリカリとペンを走らせる音だけが響く。しばらくしてレオール様の手が止まった。

「セバス、お茶をいいか?」

「はい、ただいまご用意いたします。今日のお昼はどちらで食べますか?」

「今日の昼は何?」

「調べますので、しばらくお待ちください」

お昼のメニューは、目の前にスキル画面をオープンして、自分の調理スキルで作れるものを探した。

「レオール様、塩胡椒ステーキの蒸しバターじゃがいも添え、パン、サラダとカブのポタージュです」

「美味そうだな、ここで食べるよ。セバスも一緒に食べるよな」

「はい」


私たち王族に着く側近、専属メイドはみんな、母さんに選ばれた者たち。私は火、水、氷属性持ち、攻撃、防御、生活魔法の他に料理スキル、裁縫スキル、魔法付与、アイテムボックスなどを所持している。

レオール様の執務机に紅茶とクッキーを置いた。

「ありがとう、セバス」

朝9時から始まり、2時間の昼食休憩、お茶の時間、急ぐ書類、レオール様との交接がなければ6時前に終わる。


私がレオール様の側近になったのは7歳のとき。

その側近なる2年前。

『国王陛下から通達があった。第一王子の側近が欲しいらしい。いまからレオール王子の側近になるための訓練を始める』

母さんは私を含めた3人の、同じ歳の男の子を集めて言った。

(王子の側近?)

『彼の名前はレオール・バルバロッサ様だ』

母さんは水晶玉に当時5歳のレオール様の映像を見せた。そこには軍服を身につけたレオール様が写っていた。

(なんて、素敵な人だ。王子の側近になりたい)

こうして始まった仕草、礼儀、ダンスレッスン、本を読み、文字の書き方、喋り方、紅茶の入れ方、料理、魔法の訓練、剣の訓練が5歳児の自分たちにできる範囲で始まった。

2年間に及ぶ訓練をこなして、最終的に私がレオール様の側近として選ばれた。選ばれなかった者はその他の職種に就いたそうです。

おかしい、時刻は10時半になりますがリュートからの返信がない。

(いつまで、寝ているのですか!)

『リュート そろそろ起きなさい。』と、もう一度連絡した。

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