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60.秘密の本と、可愛い出会い
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「夕ご飯、なんにしよっかなー」
文房具屋に寄ったの帰り道、夕ご飯の買い物のためスーパーに行く途中のアカリ達。まだ決めていない献立に、どうしようかと悩んでいた
「あっ、そうだっ!ハンバーグ作ってもらおうかな?」
「いいですね。美味しそう」
「ねー。お兄ちゃんが作るハンバーグ美味しい……あれ?」
話している途中、何かを見つけて立ち止まったアカリ。その視線の先は、小さな公園でベンチに座っている人影に向いていた
「あれ、カグヤさんだ……」
「本当だ。話しかける?」
ルカもカグヤがいるのに気づいて、二人話しかけるべきかと、ちょっと悩みはじめだした
「うーん……でもカグヤさんって、ちょーっとだけ苦手かも……ってヒカリ!」
アカリの言葉も無視して勝手にカグヤに近寄ってくヒカリ。慌ててアカリとルカが後を追っていく
「カグヤ、何してるの?」
後ろから名前を呼ばれて振り返るカグヤ。ヒカリの後ろには慌てふためくアカリがいた
「ちょっとヒカリ!」
ヒカリをつかんで、カグヤにペコッと頭を下げるアカリ。少し遅れてルカも隣に来て、アカリと一緒に頭を下げた
「ごめんなさい、カグヤさん。邪魔しちゃって……」
「いや……」
とアカリに返事しながら、パタンと本を閉じたカグヤ。見たことのないカグヤの本に、アカリが興味を示した
「本、読んでたんですね……。そういえば、カグヤさんも本を持ってるんですよね?」
アカリの言葉で、一瞬ピクッと反応したカグヤ。それに気づいていないアカリとルカが、ベンチに座るカグヤの前で本の話で盛り上がる
「カグヤさんの本も、ヒカリみたいに変わるんですか?」
「あっ、そういえば、見たことないね」
「ユイさんは、ウサギさんでしょ?ミナモ君はワンちゃんで……。リリさんとモナカさん可愛いよね」
「そうだね。ヒカリも可愛いけど」
「あら、私が可愛いのは、当たり前だもの」
楽しそうに話す三人を黙って聞いていたカグヤ。持っていた本を隠すように、ベンチの上に置こうとした時、それを拒否するようにふわりと浮く本。意図しない本の動きにカグヤが急に慌て出す
「おいっ!ちょっと待て……!」
止めるカグヤの声も聞かず、カグヤの目の前で姿を変えていく本。そして、カグヤの膝の上に現れたのは、一匹の子猫。本が変わるのを見られてしまったカグヤが、はぁ。と、とても深いため息ついた
「可愛い!三毛猫ですか?」
「本当だ!本がネコにってヒカリみたいだね」
「あらそう?でも、私の方が可愛いわね」
意外なカグヤの本の変化に騒ぐアカリ達。すると、キッと顔をあげアカリを見た子猫が、ふわりと浮いて近寄ってきた
「なんでそんな本と似ているの!私はその本より偉いの!」
と近寄るなり、アカリとルカに対して叫びだした。突然の大声に、驚き後ずさりする二人と鞄に隠れたヒカリ。そしてすぐに怒りの矛先は、持ち主のカグヤに向いた
「だいたい、カグヤもさっさと私を紹介すればいいのに!やっと挨拶が出来るじゃないの!」
あれこれと大声で騒いでいる子猫の文句を、無言で聞いているカグヤ。その様子を戸惑いながら見ているアカリとルカは、お互い目を合わせ、かなり困っている
「あ、あのう……」
恐る恐る声をかけたアカリ。その声で騒いでいた子猫がコホンと咳払いをすると、ふわりと浮いてカグヤの膝の上に座り直すと、アカリ達に向かってペコリと挨拶をした
「あら、失礼。私はカグヤの本。アンズっていうの。よろしくね」
文房具屋に寄ったの帰り道、夕ご飯の買い物のためスーパーに行く途中のアカリ達。まだ決めていない献立に、どうしようかと悩んでいた
「あっ、そうだっ!ハンバーグ作ってもらおうかな?」
「いいですね。美味しそう」
「ねー。お兄ちゃんが作るハンバーグ美味しい……あれ?」
話している途中、何かを見つけて立ち止まったアカリ。その視線の先は、小さな公園でベンチに座っている人影に向いていた
「あれ、カグヤさんだ……」
「本当だ。話しかける?」
ルカもカグヤがいるのに気づいて、二人話しかけるべきかと、ちょっと悩みはじめだした
「うーん……でもカグヤさんって、ちょーっとだけ苦手かも……ってヒカリ!」
アカリの言葉も無視して勝手にカグヤに近寄ってくヒカリ。慌ててアカリとルカが後を追っていく
「カグヤ、何してるの?」
後ろから名前を呼ばれて振り返るカグヤ。ヒカリの後ろには慌てふためくアカリがいた
「ちょっとヒカリ!」
ヒカリをつかんで、カグヤにペコッと頭を下げるアカリ。少し遅れてルカも隣に来て、アカリと一緒に頭を下げた
「ごめんなさい、カグヤさん。邪魔しちゃって……」
「いや……」
とアカリに返事しながら、パタンと本を閉じたカグヤ。見たことのないカグヤの本に、アカリが興味を示した
「本、読んでたんですね……。そういえば、カグヤさんも本を持ってるんですよね?」
アカリの言葉で、一瞬ピクッと反応したカグヤ。それに気づいていないアカリとルカが、ベンチに座るカグヤの前で本の話で盛り上がる
「カグヤさんの本も、ヒカリみたいに変わるんですか?」
「あっ、そういえば、見たことないね」
「ユイさんは、ウサギさんでしょ?ミナモ君はワンちゃんで……。リリさんとモナカさん可愛いよね」
「そうだね。ヒカリも可愛いけど」
「あら、私が可愛いのは、当たり前だもの」
楽しそうに話す三人を黙って聞いていたカグヤ。持っていた本を隠すように、ベンチの上に置こうとした時、それを拒否するようにふわりと浮く本。意図しない本の動きにカグヤが急に慌て出す
「おいっ!ちょっと待て……!」
止めるカグヤの声も聞かず、カグヤの目の前で姿を変えていく本。そして、カグヤの膝の上に現れたのは、一匹の子猫。本が変わるのを見られてしまったカグヤが、はぁ。と、とても深いため息ついた
「可愛い!三毛猫ですか?」
「本当だ!本がネコにってヒカリみたいだね」
「あらそう?でも、私の方が可愛いわね」
意外なカグヤの本の変化に騒ぐアカリ達。すると、キッと顔をあげアカリを見た子猫が、ふわりと浮いて近寄ってきた
「なんでそんな本と似ているの!私はその本より偉いの!」
と近寄るなり、アカリとルカに対して叫びだした。突然の大声に、驚き後ずさりする二人と鞄に隠れたヒカリ。そしてすぐに怒りの矛先は、持ち主のカグヤに向いた
「だいたい、カグヤもさっさと私を紹介すればいいのに!やっと挨拶が出来るじゃないの!」
あれこれと大声で騒いでいる子猫の文句を、無言で聞いているカグヤ。その様子を戸惑いながら見ているアカリとルカは、お互い目を合わせ、かなり困っている
「あ、あのう……」
恐る恐る声をかけたアカリ。その声で騒いでいた子猫がコホンと咳払いをすると、ふわりと浮いてカグヤの膝の上に座り直すと、アカリ達に向かってペコリと挨拶をした
「あら、失礼。私はカグヤの本。アンズっていうの。よろしくね」
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