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36.あなたを思うからこそ
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「やっぱり美味しい!誰から習ったの?」
結局、片付けは続かず、みんなの願いで大急ぎでルカが作ったパンケーキ。ふわふわで甘いおやつに、リリとモナカとヒカリで、争奪戦が起こっている
「特に誰からも……お母さんに喜んでほしくて作り続けていたら、いつの間にか得意になって……皆さんにも喜んでもらえて嬉しいです」
隣で騒がしい三人を気にせず、会話とおやつを楽しむアカリ達。片付けした時間よりも、おやつの時間が長くなっていく
「明日も引っ越しの準備するの?」
ミナモがルカに話しかけると、ゆっくりとパンケーキを食べていた手を止めてた
「うん。アカリちゃんも学校休んでもらって……」
「アカリも?」
今度はユイがアカリに話しかけると、ちょっと苦笑いで返事をする
「うん。お父さんが、学校で体調悪くなっても大変だからって。ゆっくり手伝いなさいって言われちゃった」
と話すアカリの話を聞いて、ユイもパンケーキを食べていた手を止める
「アカリ……あのね」
急にユイの声が低く、真剣な顔になってアカリを見る。その表情に、アカリだけでなく騒がしかったヒカリ達もユイを見る
「ヒカリを手放す気はない?」
「本当は、アカリが本が書けなければ、奪い取るつもりだったの。本当は、書く前にも奪えたんだけど……」
と言うと、ヒカリを見るユイ。その視線に気づいたヒカリがふふっと不敵に微笑む
「本は書けば書くほど、魔力がいる。アカリにも魔力はもちろんあるけれど、書き続けるには足りない。何かあった時のため、見守っていたけど、これ以上は……」
今度はリリがアカリに話をすると、騒がしかったリビングがみんな黙ってしまって静かになった
「もし手放したら、ヒカリはどうなるんですか?」
「また呼ばれるまで、眠り続けるだけよ。明日か何十年か、いつまで眠るかは分からないけれどね」
「そんな……」
アカリの質問に、パンケーキを食べながら淡々と答えるヒカリ。不穏な雰囲気が部屋に流れてく
「本を書けてしまったから、アカリが離れることを願わなきゃ、ヒカリは離れられない。アカリの体も持たないから、ヒカリと別れて、本のことは忘れてほしいの」
ユイの話を聞いてうつ向くアカリに寄り添うルカ。そんな二人を横目に、一通り話を終えたユイが、緊張感の糸が切れたのか、残っていたパンケーキを一気に食べ終えると、帰ろうと立ち上がる
「それじゃ明日もまた来るから。おやつもよろしくね」
結局、片付けは続かず、みんなの願いで大急ぎでルカが作ったパンケーキ。ふわふわで甘いおやつに、リリとモナカとヒカリで、争奪戦が起こっている
「特に誰からも……お母さんに喜んでほしくて作り続けていたら、いつの間にか得意になって……皆さんにも喜んでもらえて嬉しいです」
隣で騒がしい三人を気にせず、会話とおやつを楽しむアカリ達。片付けした時間よりも、おやつの時間が長くなっていく
「明日も引っ越しの準備するの?」
ミナモがルカに話しかけると、ゆっくりとパンケーキを食べていた手を止めてた
「うん。アカリちゃんも学校休んでもらって……」
「アカリも?」
今度はユイがアカリに話しかけると、ちょっと苦笑いで返事をする
「うん。お父さんが、学校で体調悪くなっても大変だからって。ゆっくり手伝いなさいって言われちゃった」
と話すアカリの話を聞いて、ユイもパンケーキを食べていた手を止める
「アカリ……あのね」
急にユイの声が低く、真剣な顔になってアカリを見る。その表情に、アカリだけでなく騒がしかったヒカリ達もユイを見る
「ヒカリを手放す気はない?」
「本当は、アカリが本が書けなければ、奪い取るつもりだったの。本当は、書く前にも奪えたんだけど……」
と言うと、ヒカリを見るユイ。その視線に気づいたヒカリがふふっと不敵に微笑む
「本は書けば書くほど、魔力がいる。アカリにも魔力はもちろんあるけれど、書き続けるには足りない。何かあった時のため、見守っていたけど、これ以上は……」
今度はリリがアカリに話をすると、騒がしかったリビングがみんな黙ってしまって静かになった
「もし手放したら、ヒカリはどうなるんですか?」
「また呼ばれるまで、眠り続けるだけよ。明日か何十年か、いつまで眠るかは分からないけれどね」
「そんな……」
アカリの質問に、パンケーキを食べながら淡々と答えるヒカリ。不穏な雰囲気が部屋に流れてく
「本を書けてしまったから、アカリが離れることを願わなきゃ、ヒカリは離れられない。アカリの体も持たないから、ヒカリと別れて、本のことは忘れてほしいの」
ユイの話を聞いてうつ向くアカリに寄り添うルカ。そんな二人を横目に、一通り話を終えたユイが、緊張感の糸が切れたのか、残っていたパンケーキを一気に食べ終えると、帰ろうと立ち上がる
「それじゃ明日もまた来るから。おやつもよろしくね」
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