これくしょんブック

シャオえる

文字の大きさ
上 下
6 / 85

6. 不満や不安は、明日に任せて

しおりを挟む
「ねぇ……本当に、本なの?」
 アカリの部屋では、アカリが本から変わったヒカリの姿をジーッと見ていた
「そうよ。私はヒカリ。あなたが名前つけて、私を呼んだのよ」
 机に座って、アカリの質問に答えるヒカリ。ずっと見ているアカリの視線にも気にせずマイペースに過ごしている
「私、本なんて呼んだ覚えは全く無いけれど……」
「まあ、気にしないで。そんなもんだと思ってくれればいいし」
「……はあ」

「ところでアカリ」
「は、はい!」
 急に名前を呼ばれて、声が裏返りなぜかピシッと背も正して、机にいるヒカリにあたふたと顔を向ける。そんなアカリにクスッと笑って用件を話した
「何か飲み物無い?喉が乾いたの」
「は、はぁ……」


「何で私、こんな夜中に飲み物持ってきてるの?」
 不満を言いながらも、キッチンから持ってきた紅茶をヒカリと一緒に飲んでいく
「あら、細かいこと気にしてたら、この先やっていけないわよ」
 陽気に話すヒカリに不満そうな顔をするアカリ。パッと見は、美味しそうにぬいぐるみが紅茶を飲む姿に、ちょっと首をかしげる
「おかわり」
 空になったコップをアカリに渡して、ヒカリはご機嫌な様子。無言で受け取って紅茶を継ぎ足してく様子をアカリの見て、更にご満悦な表情
「美味しいのね、この世界の飲み物は。前の時と全然違うわ」
 アカリが持ってきた紅茶に、満足げに飲み続けるヒカリをまだまだ不信そうに見ながらも、また一緒に紅茶を飲み続けてく。ティーポットの紅茶も飲み終える頃。ヒカリがうーんと背伸びをすると、ふわふわ浮いてアカリのベットに着くとふぅ。と疲れた様子で横になる
「さて、そろそろ眠らなきゃね。アカリも眠らないと」
「誰のせいなの……」



「それじゃ、おやすみ。目が覚めたら良いことありますように」
 コップの片付けもしないまま、一緒に布団の中に入って、眠ろうとするアカリとヒカリ。隣にいて、もうこの状況に馴染んでいるヒカリにアカリは不満そうな顔
「あら、何か不満?」
 その表情に気づいて、アカリの頬をちょっと触る
「私、何も聞いてない……。結局なんなの?」
 頬を触るかわりに、何にも答えないヒカリに不満げなアカリ。その顔や雰囲気にクスッと笑ってアカリの右側、枕をちょっと奪う
「それは、起きてからのお楽しみにしましょ」
 その言葉を聞いてアカリは体を横に向けて、ヒカリを見てムスッとちょっと怒った顔になっている。それに気づいてもヒカリは目を瞑って、一足先に眠りにつく
「今度こそおやすみ。良い夢を……」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました

結城芙由奈 
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】 私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。 2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます *「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています ※2023年8月 書籍化

【完結】私だけが知らない

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

孕ませねばならん ~イケメン執事の監禁セックス~

あさとよる
恋愛
傷モノになれば、この婚約は無くなるはずだ。 最愛のお嬢様が嫁ぐのを阻止? 過保護イケメン執事の執着H♡

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断

Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。 23歳の公爵家当主ジークヴァルト。 年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。 ただの女友達だと彼は言う。 だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。 彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。 また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。 エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。 覆す事は出来ない。 溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。 そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。 二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。 これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。 エルネスティーネは限界だった。 一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。 初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。 だから愛する男の前で死を選ぶ。 永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。 矛盾した想いを抱え彼女は今――――。 長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。 センシティブな所へ触れるかもしれません。 これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。

処理中です...