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83. 揺るぎない思い
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「レアス!」
本に導かれながら、さっきまでいた本棚のある場所と同じ場所でレアスを見つけたツムギが大声で叫んだ。メルガもレアスの姿を見つけ、スピードを上げてレアスの方へと向かっていく。ツムギの大声が聞こえたレアスが振り向くとツムギ達を乗せたメルガがすぐ目の前まで来ていた
「良かった!やっと見つけた!」
ツムギ達を見て驚いている間に、メルガから降りてレアスをぎゅっと抱きしめるツムギ。ルトとララもレアスに抱きついた
「ララ……。みんなどうして……」
ウルウルと泣きそうなララを見て、優しく抱きしめ返すレアスの側でメルガが撫でてほしそうにレアスをジーッと見つめている
「帰ろう。ここは、本の中なんだよ。ここにずっと居たらダメなんだよ。早く帰ろう」
ツムギの肩にルトを乗せながら、レアスに話しかけると、なぜかツムギの言葉を聞いて、うつ向いてしまった
「帰らない……。もうすこしここにいる」
「ダメだよ。帰ろうよ。みんな心配してるよ」
ツムギがそう言うと、ララだけでなくルトとメルガも心配そうに頷いた。それを見てうつ向き、無言になってしまったレアス。ツムギも何にも言えずにレアスを見つめていると、メルガがツムギの腕を鼻でツンツンとつついた
「あっ、そうだった。レアス、これ……」
と、持っていた本を一冊レアスに見せると、見たことのない本に、レアスが首をかしげた
「レアスのお母さんから預かったの」
「……お母様が?」
本を受け取り、そっとページをめくり本を読みはじめたレアス。その様子を見てツムギがあたふたしながら、レアスに話しかけた
「あとね、あまり意固地になっちゃダメって……」
本を受け取った時に聞いた伝言を言おうとした時、ザァと大きな音が聞こえて、振り返り辺りを見渡した
「急になに?」
「……雨」
レアスも本を読むのを止めて辺りを見渡すと、持っていた本の表紙が水で濡れたように少し滲んでいた
「本が濡れてる……。さっきまで濡れてなかったのに、なんで」
「本棚が濡れたから……。本棚も本も濡れて術が使えなかったら帰れなくなる」
「えっ?じゃあ、やっぱり早く帰らないと……」
レアスの言葉に慌てたツムギが、レアスの手を強くつかみ引っ張ったその瞬間、レアスが持っていた本が、ふわりと浮かんで、独りでにページがめくられると、ツムギ達の目の前にあった本棚が、なぜか消えてしまった
「えっ?本棚は?」
ツムギやレアス達が驚いて辺りを見渡すと、コツコツと歩く小さな足音が聞こえて、驚いて園尾との方に振り返ると、小さな女の子がツムギ達の側を少しうつ向きながら歩いていた
「……レアス」
と、ツムギがポツリと呟くと小さなレアスが立ち止まり、いつの間にか現れていた椅子に座る女の人の後ろをジーッと見つめた
「……ねえ、お母様。どうして本ばかり書くの?」
ララを抱いたレアスが少し寂しそうな顔をして、椅子に座る女の人に後ろから声かけた。すると、本を読んでいたその人がパタンと本を閉じると、キィと椅子の音を立ててレアスの方に振り向いた
「レアス、あなたのためよ」
「私のため?」
ララをぎゅっと強く抱きしめながら、不思議そうに首をかしげるレアス。すると、女の人が立ち上がりレアスとララを優しく抱きしめると、微笑み優しい声でレアスにポツリと呟いた
「そうよ、いつかあなたが悲しまないように、本と本棚に願いを込めているの」
本に導かれながら、さっきまでいた本棚のある場所と同じ場所でレアスを見つけたツムギが大声で叫んだ。メルガもレアスの姿を見つけ、スピードを上げてレアスの方へと向かっていく。ツムギの大声が聞こえたレアスが振り向くとツムギ達を乗せたメルガがすぐ目の前まで来ていた
「良かった!やっと見つけた!」
ツムギ達を見て驚いている間に、メルガから降りてレアスをぎゅっと抱きしめるツムギ。ルトとララもレアスに抱きついた
「ララ……。みんなどうして……」
ウルウルと泣きそうなララを見て、優しく抱きしめ返すレアスの側でメルガが撫でてほしそうにレアスをジーッと見つめている
「帰ろう。ここは、本の中なんだよ。ここにずっと居たらダメなんだよ。早く帰ろう」
ツムギの肩にルトを乗せながら、レアスに話しかけると、なぜかツムギの言葉を聞いて、うつ向いてしまった
「帰らない……。もうすこしここにいる」
「ダメだよ。帰ろうよ。みんな心配してるよ」
ツムギがそう言うと、ララだけでなくルトとメルガも心配そうに頷いた。それを見てうつ向き、無言になってしまったレアス。ツムギも何にも言えずにレアスを見つめていると、メルガがツムギの腕を鼻でツンツンとつついた
「あっ、そうだった。レアス、これ……」
と、持っていた本を一冊レアスに見せると、見たことのない本に、レアスが首をかしげた
「レアスのお母さんから預かったの」
「……お母様が?」
本を受け取り、そっとページをめくり本を読みはじめたレアス。その様子を見てツムギがあたふたしながら、レアスに話しかけた
「あとね、あまり意固地になっちゃダメって……」
本を受け取った時に聞いた伝言を言おうとした時、ザァと大きな音が聞こえて、振り返り辺りを見渡した
「急になに?」
「……雨」
レアスも本を読むのを止めて辺りを見渡すと、持っていた本の表紙が水で濡れたように少し滲んでいた
「本が濡れてる……。さっきまで濡れてなかったのに、なんで」
「本棚が濡れたから……。本棚も本も濡れて術が使えなかったら帰れなくなる」
「えっ?じゃあ、やっぱり早く帰らないと……」
レアスの言葉に慌てたツムギが、レアスの手を強くつかみ引っ張ったその瞬間、レアスが持っていた本が、ふわりと浮かんで、独りでにページがめくられると、ツムギ達の目の前にあった本棚が、なぜか消えてしまった
「えっ?本棚は?」
ツムギやレアス達が驚いて辺りを見渡すと、コツコツと歩く小さな足音が聞こえて、驚いて園尾との方に振り返ると、小さな女の子がツムギ達の側を少しうつ向きながら歩いていた
「……レアス」
と、ツムギがポツリと呟くと小さなレアスが立ち止まり、いつの間にか現れていた椅子に座る女の人の後ろをジーッと見つめた
「……ねえ、お母様。どうして本ばかり書くの?」
ララを抱いたレアスが少し寂しそうな顔をして、椅子に座る女の人に後ろから声かけた。すると、本を読んでいたその人がパタンと本を閉じると、キィと椅子の音を立ててレアスの方に振り向いた
「レアス、あなたのためよ」
「私のため?」
ララをぎゅっと強く抱きしめながら、不思議そうに首をかしげるレアス。すると、女の人が立ち上がりレアスとララを優しく抱きしめると、微笑み優しい声でレアスにポツリと呟いた
「そうよ、いつかあなたが悲しまないように、本と本棚に願いを込めているの」
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