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69. 気持ちを惑わす暗闇
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「はぁ……。疲れたね。メルガ、お疲れ様」
思っていたよりも大分遠く、時間がかかってやっとレアスの家に着いたツムギ達。ルトとララを抱きしめながら、メルガから降りると足元が少し揺らいで転けそうになったツムギ。先に降りていたレアスが一瞬振り向くとすぐに家の中に入っていった
「ねぇ、みんな、お腹空いたよね?ご飯食べない?」
ルトとララに話しかけながら、ツムギも家の中に入っていく
「レアスは……」
階段を上るレアスに声をかけると、ピタッと足を止めたレアス。つられてツムギもビクッと足を止め、レアスを少し怯えながら見ていると、レアスがはぁ。と大きくため息ついた
「ご飯が出来るまで休んでる。起こさないで……」
「う、うん。わかった」
ツムギの返事を聞いて、また階段を上りはじめたレアス。すぐに部屋の扉が開く音が聞こえて、ツムギが、ふぅ。とため息ついた
「あっ。さっきの本棚の事、言い忘れちゃった……」
慌ててレアスに伝えようと階段を上ろうとした時、パタンと部屋の扉を閉じる音が聞こえて、そーっと階段を上ろうとしていた足を降ろした
「大丈夫かな、多分。それより、早くご飯作ろっか」
心配そうに見ていたルトとララ、メルガにエヘヘと笑うとパタパタと足音を立ててキッチンへと向かっていった
「あの娘の家に本がまだあるとは……」
「一刻も早く、こちらに本を……」
ツムギがご飯を作りはじめたその頃、暗くロウソクの炎が微かに灯るとある場所では、ボソボソとか細く聞こえる声が響いていた
「ダメですよ、あの家の本は、あの子のための本です。勝手に持っていっては……」
「見たところ、あの娘は本を一切使えないようだ。持っていても無駄だろう」
「そう思わないか、ミナモ」
話を聞いて呆れたように言うリンに、同じく少し呆れたように言い返す声と、リンの後ろに向かって話しかける声に、不思議に思ったリンが振り向くと暗闇の中から、少し機嫌の悪そうな顔をしたミナモがこちらに歩いてきた
「ミナモ、いつからいたんです?」
クスッと笑って声をかけるリンを無視しながら、ミナモが隣まで歩いてきた
「本はどれくらいで持ってこれそうか?」
「本を持ってくるのはすぐに終わる。ただ、本が気に入るかどうか……」
「娘一人が管理する本棚より、大勢で管理するこの本棚の方が気に入るに決まっていよう」
ミナモとの話を止めるように老人がそう言うと、ロウソクの炎がフッと消え、すぐにポツリと小さな光がリン達の周りに現れはじめ、その小さな光が辺り一面を写し出し巨大な本棚が現れた
「さて、これで失礼しよう。二人とも、あまりこちらの本棚に影響がないように動いておくれよ」
思っていたよりも大分遠く、時間がかかってやっとレアスの家に着いたツムギ達。ルトとララを抱きしめながら、メルガから降りると足元が少し揺らいで転けそうになったツムギ。先に降りていたレアスが一瞬振り向くとすぐに家の中に入っていった
「ねぇ、みんな、お腹空いたよね?ご飯食べない?」
ルトとララに話しかけながら、ツムギも家の中に入っていく
「レアスは……」
階段を上るレアスに声をかけると、ピタッと足を止めたレアス。つられてツムギもビクッと足を止め、レアスを少し怯えながら見ていると、レアスがはぁ。と大きくため息ついた
「ご飯が出来るまで休んでる。起こさないで……」
「う、うん。わかった」
ツムギの返事を聞いて、また階段を上りはじめたレアス。すぐに部屋の扉が開く音が聞こえて、ツムギが、ふぅ。とため息ついた
「あっ。さっきの本棚の事、言い忘れちゃった……」
慌ててレアスに伝えようと階段を上ろうとした時、パタンと部屋の扉を閉じる音が聞こえて、そーっと階段を上ろうとしていた足を降ろした
「大丈夫かな、多分。それより、早くご飯作ろっか」
心配そうに見ていたルトとララ、メルガにエヘヘと笑うとパタパタと足音を立ててキッチンへと向かっていった
「あの娘の家に本がまだあるとは……」
「一刻も早く、こちらに本を……」
ツムギがご飯を作りはじめたその頃、暗くロウソクの炎が微かに灯るとある場所では、ボソボソとか細く聞こえる声が響いていた
「ダメですよ、あの家の本は、あの子のための本です。勝手に持っていっては……」
「見たところ、あの娘は本を一切使えないようだ。持っていても無駄だろう」
「そう思わないか、ミナモ」
話を聞いて呆れたように言うリンに、同じく少し呆れたように言い返す声と、リンの後ろに向かって話しかける声に、不思議に思ったリンが振り向くと暗闇の中から、少し機嫌の悪そうな顔をしたミナモがこちらに歩いてきた
「ミナモ、いつからいたんです?」
クスッと笑って声をかけるリンを無視しながら、ミナモが隣まで歩いてきた
「本はどれくらいで持ってこれそうか?」
「本を持ってくるのはすぐに終わる。ただ、本が気に入るかどうか……」
「娘一人が管理する本棚より、大勢で管理するこの本棚の方が気に入るに決まっていよう」
ミナモとの話を止めるように老人がそう言うと、ロウソクの炎がフッと消え、すぐにポツリと小さな光がリン達の周りに現れはじめ、その小さな光が辺り一面を写し出し巨大な本棚が現れた
「さて、これで失礼しよう。二人とも、あまりこちらの本棚に影響がないように動いておくれよ」
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