デスパレートレアス

シャオえる

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47. 苛立ちを押さえたまま

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「ほらほら、帰るんだ。あの本にはまた会えるから」
 リンに渡された本を見つめ動かないレアスを諭すリン。状況が読めないツムギは、リンに帰るように言われて、ルトと一緒に戸惑っている
「リン。あまり、余計なことを言わないでくれる?」
 勝手に本棚にあった本をレアスに渡されて、苛立ったリンに声で話しかけるミナモ。その声に、ただニコッと笑うリン。三人の不穏な様子にツムギが戸惑いうろたえながら、恐る恐るリンに話しかけた
「あの、リン先生……」
「ツムギ君。レアス君を無理やり引っ張ってでも連れて帰ってくれるかい?」
 リンがそう言うと、本を抱きしめうつ向いているレアスに気づいたツムギが、慌ててレアスに声をかけた

「レアス、なんかよく分かんないけど帰ろう。ララも帰ろう。ねっ!」
 ぎゅっと強く手をつかんで帰ろうと引っ張るが、ミナモが持つ本に目を向けたまま動かないレアス。そのせいで、ツムギの引っ張る力がどんどん強くなりレアスの腕が赤くなっていく
「帰る前に、あの本を……」
「君では今はミナモからあの本を取り返すなんて無理だ。だから、ここは一旦帰って、これからを考えるんだ」
 と、リンの言葉を聞いたツムギが、レアスの腕を離して、ミナモもじーっと見つめだした
「ミナモ?あの子、ミナモって言うの?」
「そうだよ。君達よりもかなり年上のお兄さんだよ。ミナモさんが正しいかもね」
「へぇー。ミナモさん……」
 ツムギやレアス達に見られて、顔を背けたミナモ。すると、リンがクスッと笑ってメルガを呼んだ

「ほら、ミナモの紹介も済んだことだし、急いで帰りなさい」
「レアス。帰ろう」
 リンの言葉にまた慌ててレアスの腕を引っ張ると、今度は抵抗するでもなく、頷いたレアス。それにホッと胸を撫で下ろしたツムギの隣に、メルガが二人の体に寄り添い甘えだした
「けど、その本を返さないと許さないから」
 リンに少し睨みながらそう言うが、リンは返事をすることなくニコニコ笑っている。不満がありそうでも、ツムギの手を繋ぎ引っ張られるようにふわりと空を飛び、暗闇の中、ツムギ達の姿が消えていった。その後ろ姿を寂しそうにメルガが見つめていると、リンが頭を撫でてあやしていると、今度はミナモが不満げな顔をして、リンに話しかけた

「あの本は、僕の本棚にあった本。なぜ持ってきた」
「たまには持ち主に返そうかなって思ってね」
 メルガの方を向いたまま、フフッと微笑み答えるリンにムッとするミナモ。レアスの本を開いて書いてある魔術を読み出し、クロウを呼ぶと、本をパタンと閉じ、クロウと一緒にリンに向かって飛んできた
「前の時なら本棚の管理人として、良いだろうけど、今は僕だ。勝手なことは許されない」
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