デスパレートレアス

シャオえる

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37. 足音が聞こえてきたから

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「メルガ、行っちゃったね……」
 リンと一緒に消えてしまったメルガに、しょんぼりとしているルトとララにツムギが声をかけていると、窓から顔を出して、リンとメルガの消える様子を見ていたレアスがグッと歯を食い縛り、ベッドに戻ると布団に潜り込んだ
「レアス……あの……」
「悪いけど、部屋から出てくれる?ちょっと休むから」
 話しかけたツムギの言葉を遮るように、少し語気を強めてそう言うと、少し怖じ気づいたツムギがぎゅっと強くルトとララを抱きしめた
「うん……。ごめんね」
 エヘヘと力なく微笑むと、ララを離してルトと一緒に部屋を出ようと、扉の取っ手に手を掛けた

「……待って」
 ツムギを呼び止めるレアスの小さな声が聞こえて、振り向くが、レアスは布団に顔を隠したまま、また小さい声で話し始めた
「起きたら、ご飯食べるから……」
「うん、作っておくから。ちゃんと休んでね」
 布団に丸まりながら、だんだんと声が小さくなってくレアスに、ニコッと笑うツムギ。ゆっくりと部屋の扉を閉じると足音が少しずつ離れていく
「私は大丈夫だから、あの子達と一緒にご飯を作ってくれる?」
 ララの頬に振れながらそう言うと、触れられている手をつかんだララ。二人見つめ合いながらぎゅっと手を握りしめあうと、ララが頷きそっと手を離すと、部屋を出てツムギとルトを追いかけていくと、すぐにツムギの声とルトとララの騒ぐ音がレアスの部屋まで聞こえてきて、レアスがクスッと笑う
「傷ほとんど治ってる……」
 ふと傷がたくさんついていた両手を見ると、綺麗に治った腕を見て、ぎゅっと布団をつかんで、そのまま頭まで被り直すと、すぐ眠ってしまった





「メルガ、何度見ても不思議な本と思わないかい?」
 その頃、学園の屋上にすぐに学園に戻っていたリンが、レアスの本をめくりクスッと微笑んでいた
「形ある姿に残さないようにとあれ程言ったのに聞かないから、こう面倒な事が起こるんだ」
 そう呟くと、足元で休んでいたメルガの背中にそっと本を置くと、ふぅ。とため息つきながら空を見上げた
「かといって、勝手に術を変えても怒られるし、どうしたものか……」
「面倒だと思うなら、こちらが引き取っても構わないが……」
 突然聞こえてきた声のする方に顔を向けると、不機嫌そうな顔をした男の子がリンの側にいた
「やぁ、ミナモ。珍しいね、朝は苦手でしょう」
 手を振りミナモを呼ぶリンを無視しながら、本を置いているメルガの所へとクロウに乗り向かい、手を伸ばした
「一刻も早く本を探せと言われている。その本を渡してくれたら、僕はもう寝れる。だから、早くその本を僕に渡して」
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