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13. 手の届かない場所にあるもの
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「レアス、大丈夫?」
右足を少し引きずるように本棚がたくさんある部屋を歩くレアスを心配して、声をかけるツムギ。その声を聞いて、ツムギの少し前を歩いていたレアスが、一瞬足を止めた
「私、治癒魔法は得意じゃないから、治せないけどカホが少し出来るから後で……」
「大丈夫。そんなのいらない」
「でも……」
不安そうなツムギを置いて、足を引きずるように再び歩きだしたレアス。慌てて離れないように後を追いかけるが、レアスが止まり、少し早歩きしていたツムギが勢い止まらず、レアスの背中に思いっきり当たってしまった
「治癒魔法は要らないけれど、あの本を取ってきてくれる?」
「あの本?」
レアスの肩に顔をぶつけてしまい痛む顔を抑えながら、不思議そうに問いかけると、レアスが真上を見上げていた。その見上げる先をツムギも見ると、二人の前にある本棚の一番上で、ララがとても分厚い本を取り出そうと一生懸命引っ張っていた
「ツムギー。ルト、ララ。どこ行ったの?」
その頃、屋敷の外では玄関を見つけられず木々をかき分けながら、屋敷の周りをずっとウロウロと歩き続けていた。ツムギからの返事がないまま探し続け、さすがに心配になってきたその時、カホの近くでガサガサと揺れた木々に驚いて、少し前を歩いていたナオの手をつかんだ
「ねえ、ナオ……」
足を止められ、カホが指差す先に目を向けると、段々と大きくなっていく木の揺れに二人が息を呑んで見ていると、すぐ側の木々の隙間から、リンが現れた
「おや、君達は……」
「えっ、リン先生……。なんでここに?」
「君達こそ、どうしてここに?」
予想外の人が現れ驚く三人。その側では、メルガを見つけたナツメとココが、メルガの背中に乗り嬉しそうにはしゃいでいる
「ツムギがニーナ先生から、レアスの家を教えてもらって、それでここに……」
「そうか。それでツムギ君は?」
「ララがどっか行っちゃって、ツムギが追いかけて居なくなっちゃって……」
「そうか……」
ナツメとココ、メルガとは違い、ナオやカホが少し重い雰囲気で話を進めていると、ふと屋敷の方に目を向けたリン。屋敷をしばらく見た後、ふぅ。と一つため息をついて、ナツメとココと遊んでいたメルガを呼ぶと、背中に乗りふわり浮かんだ
「えっ、リン先生」
ナオとカホの真上に浮かび、どこかへ行こうとするリンを慌ててナオが呼び止めると、声に気づいたリンが二人のいる方に振り向いた
「寄り道をするのは構わないが、あまり遅くまで出歩かないように」
右足を少し引きずるように本棚がたくさんある部屋を歩くレアスを心配して、声をかけるツムギ。その声を聞いて、ツムギの少し前を歩いていたレアスが、一瞬足を止めた
「私、治癒魔法は得意じゃないから、治せないけどカホが少し出来るから後で……」
「大丈夫。そんなのいらない」
「でも……」
不安そうなツムギを置いて、足を引きずるように再び歩きだしたレアス。慌てて離れないように後を追いかけるが、レアスが止まり、少し早歩きしていたツムギが勢い止まらず、レアスの背中に思いっきり当たってしまった
「治癒魔法は要らないけれど、あの本を取ってきてくれる?」
「あの本?」
レアスの肩に顔をぶつけてしまい痛む顔を抑えながら、不思議そうに問いかけると、レアスが真上を見上げていた。その見上げる先をツムギも見ると、二人の前にある本棚の一番上で、ララがとても分厚い本を取り出そうと一生懸命引っ張っていた
「ツムギー。ルト、ララ。どこ行ったの?」
その頃、屋敷の外では玄関を見つけられず木々をかき分けながら、屋敷の周りをずっとウロウロと歩き続けていた。ツムギからの返事がないまま探し続け、さすがに心配になってきたその時、カホの近くでガサガサと揺れた木々に驚いて、少し前を歩いていたナオの手をつかんだ
「ねえ、ナオ……」
足を止められ、カホが指差す先に目を向けると、段々と大きくなっていく木の揺れに二人が息を呑んで見ていると、すぐ側の木々の隙間から、リンが現れた
「おや、君達は……」
「えっ、リン先生……。なんでここに?」
「君達こそ、どうしてここに?」
予想外の人が現れ驚く三人。その側では、メルガを見つけたナツメとココが、メルガの背中に乗り嬉しそうにはしゃいでいる
「ツムギがニーナ先生から、レアスの家を教えてもらって、それでここに……」
「そうか。それでツムギ君は?」
「ララがどっか行っちゃって、ツムギが追いかけて居なくなっちゃって……」
「そうか……」
ナツメとココ、メルガとは違い、ナオやカホが少し重い雰囲気で話を進めていると、ふと屋敷の方に目を向けたリン。屋敷をしばらく見た後、ふぅ。と一つため息をついて、ナツメとココと遊んでいたメルガを呼ぶと、背中に乗りふわり浮かんだ
「えっ、リン先生」
ナオとカホの真上に浮かび、どこかへ行こうとするリンを慌ててナオが呼び止めると、声に気づいたリンが二人のいる方に振り向いた
「寄り道をするのは構わないが、あまり遅くまで出歩かないように」
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