ストラグルガールズ

シャオえる

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132. 過去から未来を見るように

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「私達も消えるってユイさん達のことですか?」
「うん。そうだよ」
 ミコトの質問にあっけらかんと答えながら、ユイに渡された本を読む二人。ユイも考え事をしているのか、険しい顔をして浮かぶ本を見ている
「私と一緒に本の外に出ないんですか?」
「うーん、出るも何も私達出られないし」
 そうユイが困った顔で答えると、本を読んでいた二人が、うんうんと頷いている
「私達、多分ミコトちゃん達が生まれるずっと前から、この本の中にいるのよ。外に出られるわけないの」
「本の中に入ったまま出られなくなってね。年を取ることなく生きてきたんだけど、まさか何年もたって思い出すなんてね」
「まあ、お陰で若い年を長く続けられたけど」
「そうだね、それは良かったかも」
 話しながら嬉しいような複雑な顔をして笑う三人に対し、ミコトは戸惑いながらもまた三人に問いかけた

「皆さんはノエルみたいに本に出られなかったんですか?」
「うん、あまり本のことも知られてなかったし、あなたみたいに魔力が高い子も近くにいなかったからね」
「一応私は二人みたいにしたんだけど、その子が術に耐えられなくて、本の何処か行っちゃたんだよね」
 少しうつ向きながら話をすると、ミコトがぎゅっと両手をつかんで、また問いかける
「今も会えてないんですか?」
「うん、本の何処かにいると思う。生きてればね」
 そう言うと、周りに浮かぶ光の粒を見る。光の中では、ユイ達と同じ昔の生徒会長達が首をかしげたり、周りを見渡したりしている。その様子をミコトが寂しげな表情で見ていると、また一冊の本がミコトに向かって飛んできた。それに気づいたユイが、ミコトの体にぶつかる寸前にバシッとその本を取ると、取った手を痛そうに小さく振りながら本を浮かべ、ページをめくる。ミコト以外の二人も、ユイの側に来て一緒に本を見る。ページを指差したり険しい表情をする三人。それにやっと気づいたミコトが首をかしげると、ユイが困ったように微笑みながら、ミコトに話しかけた
「ノエルちゃんは本当に魔力が強いのね。あちらの様子が騒がしくなる前に、この本を読みきらなきゃね」
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