96 / 136
96. 呼び止めても止められない
しおりを挟む
「雨、止まないね……。ノア大丈夫かな……」
ノアとサクナが家から出ていった後、残ったナギとモナカがリビングの窓を開け、ベランダにある本を見つめていた
「寒くなってきたから、そろそろ部屋に入ろ」
と、ナギが窓を閉めようと立ち上がると、突然モナカがベランダへと飛び出した
「モナカ、風邪引くよ!」
驚いたナギが大声でモナカを呼ぶが、モナカは振り向くことなく、本へと向かっていく
「前来た時とあまり変わりはないように見えるけど……」
「生徒会長の本だけじゃなく、何か別の手がかりがあれば……」
その頃、学園に着いたノアとサクナは、生徒会長室に入りまた本棚を探っていた。前に見た時と変わらぬ本棚にノアが困ったように、はぁ。とため息ついた時、ガタンと扉の音が響いた
「あのー……」
と、恐る恐る声をかけながら生徒会長室に入ってきた複数の生徒に、ノアが少し驚いた顔をして持っていた本を本棚に戻した
「みんな、どうしてここに?」
「知り合い?」
「私達の学園の生徒達。なんでここに?」
サクナに返事をしながら、生徒達に近づくノア。
「生徒会長達を探してて……。ノアさんは大丈夫ですか?」
「大丈夫だけど……どうして?」
生徒達の問いかけにノアが不思議そうに答えると、生徒達が顔を見合わせ何やらヒソヒソと話しはじめた。その様子に、ノアとサクナも顔を見合わせ首をかしげていると、一人の生徒が頷いて、ふぅ。とため息をついた
「実はあの……」
と、ゆっくりと話しはじめると、その話しにまたノアとサクナが顔を見合わせながら聞き、一通り話を聞き終えると、サクナがふぅ。とため息をついた
「そう……消えてしまったと」
「ノエル達と一緒にいるのかもしれない。今すぐ不安になる必要はないと思うけど……」
「どんな本か分かるの?どんな術が書かれたとか」
「……それは」
ノアの質問に答えようとした時、またガタンと物音が聞こえ、生徒会長室にいた全員が音のした方に振り向くと、机の上に、さっきまでなかったはずの一冊の本が置かれていた
「生徒会長の本?本物?」
「まさか……。ノエルもいないのに」
サクナにそう返事をしながら、その本が置かれた机に近づいていくノア。一気に緊張感が溢れる生徒会長室にノアの足音が響く。すぐに机の前に着いて、本を見つめると、その本を取ろうとノアが手を伸ばした
「待って、危ないっ!」
と、慌てて呼び止めるサクナの声にも気にせず、本に触れたノア。それを見て、サクナが一瞬目を反らし、部屋の入り口で見ている生徒達もぎゅっと目を閉じて、ノアを見ないようにしていると、ふぅ。とノアのため息と声が生徒会長室に響いた
「大丈夫。それより、早くミコトの家に戻ろう。あの本と一緒に読んでみないと……」
ノアとサクナが家から出ていった後、残ったナギとモナカがリビングの窓を開け、ベランダにある本を見つめていた
「寒くなってきたから、そろそろ部屋に入ろ」
と、ナギが窓を閉めようと立ち上がると、突然モナカがベランダへと飛び出した
「モナカ、風邪引くよ!」
驚いたナギが大声でモナカを呼ぶが、モナカは振り向くことなく、本へと向かっていく
「前来た時とあまり変わりはないように見えるけど……」
「生徒会長の本だけじゃなく、何か別の手がかりがあれば……」
その頃、学園に着いたノアとサクナは、生徒会長室に入りまた本棚を探っていた。前に見た時と変わらぬ本棚にノアが困ったように、はぁ。とため息ついた時、ガタンと扉の音が響いた
「あのー……」
と、恐る恐る声をかけながら生徒会長室に入ってきた複数の生徒に、ノアが少し驚いた顔をして持っていた本を本棚に戻した
「みんな、どうしてここに?」
「知り合い?」
「私達の学園の生徒達。なんでここに?」
サクナに返事をしながら、生徒達に近づくノア。
「生徒会長達を探してて……。ノアさんは大丈夫ですか?」
「大丈夫だけど……どうして?」
生徒達の問いかけにノアが不思議そうに答えると、生徒達が顔を見合わせ何やらヒソヒソと話しはじめた。その様子に、ノアとサクナも顔を見合わせ首をかしげていると、一人の生徒が頷いて、ふぅ。とため息をついた
「実はあの……」
と、ゆっくりと話しはじめると、その話しにまたノアとサクナが顔を見合わせながら聞き、一通り話を聞き終えると、サクナがふぅ。とため息をついた
「そう……消えてしまったと」
「ノエル達と一緒にいるのかもしれない。今すぐ不安になる必要はないと思うけど……」
「どんな本か分かるの?どんな術が書かれたとか」
「……それは」
ノアの質問に答えようとした時、またガタンと物音が聞こえ、生徒会長室にいた全員が音のした方に振り向くと、机の上に、さっきまでなかったはずの一冊の本が置かれていた
「生徒会長の本?本物?」
「まさか……。ノエルもいないのに」
サクナにそう返事をしながら、その本が置かれた机に近づいていくノア。一気に緊張感が溢れる生徒会長室にノアの足音が響く。すぐに机の前に着いて、本を見つめると、その本を取ろうとノアが手を伸ばした
「待って、危ないっ!」
と、慌てて呼び止めるサクナの声にも気にせず、本に触れたノア。それを見て、サクナが一瞬目を反らし、部屋の入り口で見ている生徒達もぎゅっと目を閉じて、ノアを見ないようにしていると、ふぅ。とノアのため息と声が生徒会長室に響いた
「大丈夫。それより、早くミコトの家に戻ろう。あの本と一緒に読んでみないと……」
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
あなたの子ですが、内緒で育てます
椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」
突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。
夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。
私は強くなることを決意する。
「この子は私が育てます!」
お腹にいる子供は王の子。
王の子だけが不思議な力を持つ。
私は育った子供を連れて王宮へ戻る。
――そして、私を追い出したことを後悔してください。
※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ
※他サイト様でも掲載しております。
※hotランキング1位&エールありがとうございます!
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ!
タヌキ汁
ファンタジー
国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。
これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。
冷遇妻に家を売り払われていた男の裁判
七辻ゆゆ
ファンタジー
婚姻後すぐに妻を放置した男が二年ぶりに帰ると、家はなくなっていた。
「では開廷いたします」
家には10億の価値があったと主張し、妻に離縁と損害賠償を求める男。妻の口からは二年の事実が語られていく。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
【完結】言いたいことがあるなら言ってみろ、と言われたので遠慮なく言ってみた
杜野秋人
ファンタジー
社交シーズン最後の大晩餐会と舞踏会。そのさなか、第三王子が突然、婚約者である伯爵家令嬢に婚約破棄を突き付けた。
なんでも、伯爵家令嬢が婚約者の地位を笠に着て、第三王子の寵愛する子爵家令嬢を虐めていたというのだ。
婚約者は否定するも、他にも次々と証言や証人が出てきて黙り込み俯いてしまう。
勝ち誇った王子は、最後にこう宣言した。
「そなたにも言い分はあろう。私は寛大だから弁明の機会をくれてやる。言いたいことがあるなら言ってみろ」
その一言が、自らの破滅を呼ぶことになるなど、この時彼はまだ気付いていなかった⸺!
◆例によって設定ナシの即興作品です。なので主人公の伯爵家令嬢以外に固有名詞はありません。頭カラッポにしてゆるっとお楽しみ下さい。
婚約破棄ものですが恋愛はありません。もちろん元サヤもナシです。
◆全6話、約15000字程度でサラッと読めます。1日1話ずつ更新。
◆この物語はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆9/29、HOTランキング入り!お読み頂きありがとうございます!
10/1、HOTランキング最高6位、人気ランキング11位、ファンタジーランキング1位!24h.pt瞬間最大11万4000pt!いずれも自己ベスト!ありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる