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34. 記憶と本を呼び戻したら
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「ねぇノエル。今日はもう止めよう、続きは明日に……」
「えー、やっと気分が乗ってきたんだから、もうちょっと」
グイグイとミコトの方に体を傾け本に見入るノエルの勢いに負けて、ミコトがソファーに横になり、ふぅ。とため息をついた
「じゃあ休憩にしよう!お菓子持ってくるから、待ってて」
ガバッと勢いよく起きながらそう言うと、ノエルの後ろを通りながらソファーに降りると、うーんと背伸びをしながらキッチンへと歩いていく
「本当、一度やる気になったら止まらないよね。こういう所は少し押さえて戻ってきてほしかったかな」
カチャカチャと食器棚からコップの音をたてながら、ノエルに話しかけるが返事がなく、ちらりとリビングを見ながら、また声をかけてみる
「ねぇノエル、聞いてる?」
本を読んでる姿を見て、クスッと笑うミコト。戸棚にあったお菓子を用意したお皿に置いて、お茶と一緒にリビングに運んでいく
「真剣だねぇ。その顔、懐かしい」
テーブルに持ってきたお菓子やお茶を並べながらそう言うと、隣にいたミコトに気づいて、ノエルが少し顔を上げた
「……なんだか不思議」
と、ノエルが本を見つめポツリと呟いた言葉に、ノエルが首をかしげる
「読めるし書くことも出来るのに、なんかこう上手く使えないなって、もどかしいのが」
「そりゃあその術は高度魔術で、まだ魔力戻ってないからね。でも魔力はすぐに戻らずに、ゆっくり戻らないと……」
「そうだね、魔力が暴走するもんね」
「うん……そうだね」
と、ミコトが返事をしていると、ノエルが持っていた本が突然、ボンッと音をたて燃えてしまった
「ちょっと私の本、燃やさないでよ。また書き直しじゃん」
灰になった本を見てミコトが呆れていると、ノエルは慌てる様子もなく、エヘヘと苦笑いで手のひらにある灰を見つめている
「まあもともと、ほとんど書き直しなんだから……」
「そうだけどさぁ……、前のノエルは本を元に戻せてたけど……」
「そうなの?じゃあ、やってみる」
「でもまだ……」
本を戻そうとするノエルを止めようと、ミコトが腕をつかむが、少し間に合わず目を閉じて集中をしていたノエルの手元に燃えた本が元に戻って現れていた。驚いてノエルの腕を離したミコトをよそに、本が戻り嬉しそうに微笑むノエル。本を開いてテーブルに置くと、持ってきたお菓子を手に取って、ミコトにニコッと微笑むお菓子を手渡した
「よし、本も戻ってきたし、おやつ食べながら続き頑張ろ」
「えー、やっと気分が乗ってきたんだから、もうちょっと」
グイグイとミコトの方に体を傾け本に見入るノエルの勢いに負けて、ミコトがソファーに横になり、ふぅ。とため息をついた
「じゃあ休憩にしよう!お菓子持ってくるから、待ってて」
ガバッと勢いよく起きながらそう言うと、ノエルの後ろを通りながらソファーに降りると、うーんと背伸びをしながらキッチンへと歩いていく
「本当、一度やる気になったら止まらないよね。こういう所は少し押さえて戻ってきてほしかったかな」
カチャカチャと食器棚からコップの音をたてながら、ノエルに話しかけるが返事がなく、ちらりとリビングを見ながら、また声をかけてみる
「ねぇノエル、聞いてる?」
本を読んでる姿を見て、クスッと笑うミコト。戸棚にあったお菓子を用意したお皿に置いて、お茶と一緒にリビングに運んでいく
「真剣だねぇ。その顔、懐かしい」
テーブルに持ってきたお菓子やお茶を並べながらそう言うと、隣にいたミコトに気づいて、ノエルが少し顔を上げた
「……なんだか不思議」
と、ノエルが本を見つめポツリと呟いた言葉に、ノエルが首をかしげる
「読めるし書くことも出来るのに、なんかこう上手く使えないなって、もどかしいのが」
「そりゃあその術は高度魔術で、まだ魔力戻ってないからね。でも魔力はすぐに戻らずに、ゆっくり戻らないと……」
「そうだね、魔力が暴走するもんね」
「うん……そうだね」
と、ミコトが返事をしていると、ノエルが持っていた本が突然、ボンッと音をたて燃えてしまった
「ちょっと私の本、燃やさないでよ。また書き直しじゃん」
灰になった本を見てミコトが呆れていると、ノエルは慌てる様子もなく、エヘヘと苦笑いで手のひらにある灰を見つめている
「まあもともと、ほとんど書き直しなんだから……」
「そうだけどさぁ……、前のノエルは本を元に戻せてたけど……」
「そうなの?じゃあ、やってみる」
「でもまだ……」
本を戻そうとするノエルを止めようと、ミコトが腕をつかむが、少し間に合わず目を閉じて集中をしていたノエルの手元に燃えた本が元に戻って現れていた。驚いてノエルの腕を離したミコトをよそに、本が戻り嬉しそうに微笑むノエル。本を開いてテーブルに置くと、持ってきたお菓子を手に取って、ミコトにニコッと微笑むお菓子を手渡した
「よし、本も戻ってきたし、おやつ食べながら続き頑張ろ」
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