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53. 君を守るため
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「フタバ待ってってば!」
「イチカも待って!」
声をかけながら、イチカとフタバを追いかけだいぶ疲れてきたアカリとヒナタ。足を止め息切れをして動けなくなった二人のもとに、イチカとフタバがゆっくりと戻ってきた
「もー。フタバったら……」
目の前まで戻ってきたフタバを見て、アカリが少し安心したのかホッと胸を撫で下ろした
「勝手にどっか行ったら心配するよ……」
そう言いながら、フタバをぎゅっと抱きしめると、グッと体が強張った感覚が突然現れた
「えっ……」
目一杯力を入れて、後ろにいるヒナタの方に振り向こうと頑張るが、体は全く動かず、びくともしないその様子に、ヒナタが少し後退りした
「アカリ……」
「何これ……動けない……」
アカリから漂う不穏な雰囲気に、怯えだすヒナタ。すると、ヒナタの側にフタバから少し遅れてイチカがやって来た
「イチカ……」
「アカリ、ヒナタ。どうしたんだい?」
側に浮かぶイチカに触れようとした瞬間、クロスが少し声を上げ二人に話しかけてきた
「お父様、お母様!アカリが……」
恐る恐るクロスの方に振り向くと、戸惑う様子もなく、ヒナタの側に歩いてきた。その後ろでは、レイナが少しうつ向き気味で歩いている
「勝手に走り出すからだよ」
動けないアカリの姿を見て、困ったようにそう言うと、ヒナタの側にいたイチカを見つけて、パンパンと両手を叩くと、その音に呼ばれたようにイチカが、ふわり浮かんでクロスの方に向かっていく
「だいぶ使ったみたいだね。美味しいご飯たくさん食べたってことかな。良いことだ」
ヒナタに渡した時よりも、イチカのページが減っているのを見てクスッと笑った
「お父様は、イチカのこと……」
「知っていたよ。アカリの持つ本も使えるんだが……。アカリはあまり使い方を知らないようだね」
まだ動けずにいるアカリを見て、パタンとイチカを閉じると、慌てるようにヒナタのもとに戻っていくイチカ。ヒナタの側に着くと忙しそうにグルグルと回りだした
「おや、僕よりヒナタが好きみたいだ」
イチカの動きにクロスが、微笑んでいるとアカリの叫ぶ声が聞こえてきた
「お父様!動けないの!助けて!」
「その本を持つ限り動けないよ。離してあげて」
クロスに言われて、フタバをぎゅっと、とても強く抱きしめていた力を、少しずつ力を抜いていくと、フタバがジタバタと動いて、アカリの手から離れた。それと同時に、動けなかったアカリの体が動けるようになって、一目散にヒナタの方に走ってく。走った勢いのままヒナタにぶつかってよろける二人。ヒナタがアカリを支えるようにぎゅっと抱きしめた。フタバもイチカの側に来て、二人の様子を側でふわり浮かんで見ていると、アカリが少し怯えた顔でフタバを見た
「フタバがやったの……」
「違うよ。その本はアカリのために動いただけたからね。怒っちゃダメだよ」
「私のために?」
クロスにそう言われても不安が取れないアカリは、ヒナタに更にぎゅっと抱きつく。そんな二人の様子を無言でただ見ていたレイナが目をそらしうつ向くと、三人が黙りこんでしまったのを感じたクロスがクスッと笑って、アカリとヒナタの横を通り奥へと一人先に歩きだした
「二人とも、聞きたいことがあるみたいだけど、もう少し奥まで行って、お話ししようか……」
「イチカも待って!」
声をかけながら、イチカとフタバを追いかけだいぶ疲れてきたアカリとヒナタ。足を止め息切れをして動けなくなった二人のもとに、イチカとフタバがゆっくりと戻ってきた
「もー。フタバったら……」
目の前まで戻ってきたフタバを見て、アカリが少し安心したのかホッと胸を撫で下ろした
「勝手にどっか行ったら心配するよ……」
そう言いながら、フタバをぎゅっと抱きしめると、グッと体が強張った感覚が突然現れた
「えっ……」
目一杯力を入れて、後ろにいるヒナタの方に振り向こうと頑張るが、体は全く動かず、びくともしないその様子に、ヒナタが少し後退りした
「アカリ……」
「何これ……動けない……」
アカリから漂う不穏な雰囲気に、怯えだすヒナタ。すると、ヒナタの側にフタバから少し遅れてイチカがやって来た
「イチカ……」
「アカリ、ヒナタ。どうしたんだい?」
側に浮かぶイチカに触れようとした瞬間、クロスが少し声を上げ二人に話しかけてきた
「お父様、お母様!アカリが……」
恐る恐るクロスの方に振り向くと、戸惑う様子もなく、ヒナタの側に歩いてきた。その後ろでは、レイナが少しうつ向き気味で歩いている
「勝手に走り出すからだよ」
動けないアカリの姿を見て、困ったようにそう言うと、ヒナタの側にいたイチカを見つけて、パンパンと両手を叩くと、その音に呼ばれたようにイチカが、ふわり浮かんでクロスの方に向かっていく
「だいぶ使ったみたいだね。美味しいご飯たくさん食べたってことかな。良いことだ」
ヒナタに渡した時よりも、イチカのページが減っているのを見てクスッと笑った
「お父様は、イチカのこと……」
「知っていたよ。アカリの持つ本も使えるんだが……。アカリはあまり使い方を知らないようだね」
まだ動けずにいるアカリを見て、パタンとイチカを閉じると、慌てるようにヒナタのもとに戻っていくイチカ。ヒナタの側に着くと忙しそうにグルグルと回りだした
「おや、僕よりヒナタが好きみたいだ」
イチカの動きにクロスが、微笑んでいるとアカリの叫ぶ声が聞こえてきた
「お父様!動けないの!助けて!」
「その本を持つ限り動けないよ。離してあげて」
クロスに言われて、フタバをぎゅっと、とても強く抱きしめていた力を、少しずつ力を抜いていくと、フタバがジタバタと動いて、アカリの手から離れた。それと同時に、動けなかったアカリの体が動けるようになって、一目散にヒナタの方に走ってく。走った勢いのままヒナタにぶつかってよろける二人。ヒナタがアカリを支えるようにぎゅっと抱きしめた。フタバもイチカの側に来て、二人の様子を側でふわり浮かんで見ていると、アカリが少し怯えた顔でフタバを見た
「フタバがやったの……」
「違うよ。その本はアカリのために動いただけたからね。怒っちゃダメだよ」
「私のために?」
クロスにそう言われても不安が取れないアカリは、ヒナタに更にぎゅっと抱きつく。そんな二人の様子を無言でただ見ていたレイナが目をそらしうつ向くと、三人が黙りこんでしまったのを感じたクロスがクスッと笑って、アカリとヒナタの横を通り奥へと一人先に歩きだした
「二人とも、聞きたいことがあるみたいだけど、もう少し奥まで行って、お話ししようか……」
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