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5. 不思議な目覚めを共に
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「ヒナタ……起きて……」
朝、目を覚ましたアカリが隣に眠るヒナタの体を揺らして起こしていた。大きく揺らしても、起きることなくヒナタは眠り続けている
「ヒナタ、朝だよ。起きないと……」
何度も体を揺らしたり、大声で名前を呼んでも起きないヒナタ。しょんぼりと寝ているヒナタを見ていると、コンコンと部屋の扉を叩く音が聞こえてきた
「アカリ様。おはようごさいます」
家政婦達が、二人分の飲み物を持って部屋に入ってきた。挨拶をされて、家政婦達の方に振り向くアカリ。一つはテーブルに、もう一つはアカリに手渡すと、ちょっとぎこちなく微笑むアカリ。その微笑みを見て家政婦達もニコッと笑う
「おはよう。お母様とお父様は?」
「クロス様は仕事でお出掛けになりましたが、レイナ様はまだ寝ていますよ」
「そっか。お父様、今日お仕事って言ってたもんね……」
そう言うと、しょんぼりとうつ向き、お茶を一口飲むと、はぁ。とため息ついたアカリに、家政婦達が困ったように顔を見合わせてる
「……お食事なさいますか?」
「お腹すいたけど……ヒナタ、一人ぼっちになるから……」
と、ヒナタを見つめながらお茶を一気に飲み干したアカリに、家政婦達が顔を見合わせ頷いた
「では、お部屋でお食べになりますか?」
「えっ?いいの?」
「ええ、食堂でのお一人のお食事は嫌でしょうし、ヒナタ様も一緒の方が良いでしょうから」
「ここで食べる!ありがとう!」
「では、お食事を持ってきますね」
少し笑顔になったアカリを見て、家政婦達もニコッと笑う。アカリが飲み干したコップを受け取ると、お辞儀をして部屋を出ていった家政婦達。パタンと扉が閉まる音が聞こえるとすぐ、ヒナタの方に振り向いた
「ヒナタ、起きて。起きないとヒナタの分のデザート食べちゃうよ」
またヒナタの体を揺らして起こそうとするアカリ。何度も揺らしても結局起きないまま熟睡するヒナタに、はぁ。と大きくため息ついて、ボーッと寝姿を見つめている
「アカリ様、お食事お持ちしました」
カチャカチャと音をたてて、テーブルに置かれていく二人分の朝御飯。その様子を、ベッドで見ているアカリ。朝御飯の準備が終わり、たくさん用意されたご飯を見ても、アカリは動かずにいる
「アカリ様。食べないのですか?」
「もうちょっと……ヒナタが起きるかもしれないから……」
と、ヒナタを見つめて答えるアカリ。元気のない返事に少し困ったようにまた顔を合わせる家政婦達。部屋にいる全員が無言になり静かになった部屋。しばらくすると、家政婦達の足音が部屋に響いた
「私達は、レイナ様の様子を見に行きますので、失礼します」
「……うん」
食事を置いて、部屋を後にする家政婦達。また部屋が静かになって、ヒナタの寝息が聞こえている
「ねえ、ヒナタ。起きてってば……」
体を揺らしてまたヒナタを起こそうとするアカリ。だが、やっぱり起きずに、はぁ。とため息をついた
「……あれ?」
ふと、ヒナタの枕元に置かれた本に気づいたアカリ。昨日持っていたヒナタの本とは違う表紙の本に手を伸ばした
「ヒナタの本?ずっとあったっけ?」
と、本を手に取った瞬間、本の側で寝ていたヒナタが突然ガバッと体を起こした
「びっくりした……ヒナタ、やっと起きた……」
恐る恐るヒナタに声をかけるアカリ。その声に気づいたのか、隣にいるアカリの方にゆっくりと顔を向けるヒナタ。すると、アカリが大事そうに抱えている本に気づいて、そっと手を伸ばし呟いた
「本……私の本。お父様にも、お母様にも渡さないんだから……」
朝、目を覚ましたアカリが隣に眠るヒナタの体を揺らして起こしていた。大きく揺らしても、起きることなくヒナタは眠り続けている
「ヒナタ、朝だよ。起きないと……」
何度も体を揺らしたり、大声で名前を呼んでも起きないヒナタ。しょんぼりと寝ているヒナタを見ていると、コンコンと部屋の扉を叩く音が聞こえてきた
「アカリ様。おはようごさいます」
家政婦達が、二人分の飲み物を持って部屋に入ってきた。挨拶をされて、家政婦達の方に振り向くアカリ。一つはテーブルに、もう一つはアカリに手渡すと、ちょっとぎこちなく微笑むアカリ。その微笑みを見て家政婦達もニコッと笑う
「おはよう。お母様とお父様は?」
「クロス様は仕事でお出掛けになりましたが、レイナ様はまだ寝ていますよ」
「そっか。お父様、今日お仕事って言ってたもんね……」
そう言うと、しょんぼりとうつ向き、お茶を一口飲むと、はぁ。とため息ついたアカリに、家政婦達が困ったように顔を見合わせてる
「……お食事なさいますか?」
「お腹すいたけど……ヒナタ、一人ぼっちになるから……」
と、ヒナタを見つめながらお茶を一気に飲み干したアカリに、家政婦達が顔を見合わせ頷いた
「では、お部屋でお食べになりますか?」
「えっ?いいの?」
「ええ、食堂でのお一人のお食事は嫌でしょうし、ヒナタ様も一緒の方が良いでしょうから」
「ここで食べる!ありがとう!」
「では、お食事を持ってきますね」
少し笑顔になったアカリを見て、家政婦達もニコッと笑う。アカリが飲み干したコップを受け取ると、お辞儀をして部屋を出ていった家政婦達。パタンと扉が閉まる音が聞こえるとすぐ、ヒナタの方に振り向いた
「ヒナタ、起きて。起きないとヒナタの分のデザート食べちゃうよ」
またヒナタの体を揺らして起こそうとするアカリ。何度も揺らしても結局起きないまま熟睡するヒナタに、はぁ。と大きくため息ついて、ボーッと寝姿を見つめている
「アカリ様、お食事お持ちしました」
カチャカチャと音をたてて、テーブルに置かれていく二人分の朝御飯。その様子を、ベッドで見ているアカリ。朝御飯の準備が終わり、たくさん用意されたご飯を見ても、アカリは動かずにいる
「アカリ様。食べないのですか?」
「もうちょっと……ヒナタが起きるかもしれないから……」
と、ヒナタを見つめて答えるアカリ。元気のない返事に少し困ったようにまた顔を合わせる家政婦達。部屋にいる全員が無言になり静かになった部屋。しばらくすると、家政婦達の足音が部屋に響いた
「私達は、レイナ様の様子を見に行きますので、失礼します」
「……うん」
食事を置いて、部屋を後にする家政婦達。また部屋が静かになって、ヒナタの寝息が聞こえている
「ねえ、ヒナタ。起きてってば……」
体を揺らしてまたヒナタを起こそうとするアカリ。だが、やっぱり起きずに、はぁ。とため息をついた
「……あれ?」
ふと、ヒナタの枕元に置かれた本に気づいたアカリ。昨日持っていたヒナタの本とは違う表紙の本に手を伸ばした
「ヒナタの本?ずっとあったっけ?」
と、本を手に取った瞬間、本の側で寝ていたヒナタが突然ガバッと体を起こした
「びっくりした……ヒナタ、やっと起きた……」
恐る恐るヒナタに声をかけるアカリ。その声に気づいたのか、隣にいるアカリの方にゆっくりと顔を向けるヒナタ。すると、アカリが大事そうに抱えている本に気づいて、そっと手を伸ばし呟いた
「本……私の本。お父様にも、お母様にも渡さないんだから……」
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