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16. 色々聞いて、怒りに変わって
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「では、ツミキ君。色々聞くけど良いかね?」
「はい」
ツミキが来た次の日の朝、広い空き部屋に集まったツミキ達。ゼフドやルモカだけでなく、数人程この組織で働いている人達も集まっている。そんな重い雰囲気の部屋で、ゼフドによるツミキへの聞き取りが開始していた
「嫌なことは言わなくてもいいからね」
重い雰囲気にも気にもとめず、楽しそうなルモカに対し緊張で顔が強張っているツミキ。見守るカエデは心配そうな顔。ミオリは壁に背もたれて、少し離れて話を聞いている
「歳は?」
メモを取りながら、質問していくゼフド。まだ緊張しているツミキ。恐る恐る質問に答えていく
「えっと……14歳です」
「私と一緒!」
同い年と知って喜ぶカエデ。ツミキも、カエデの方を向いて喜ぶと、重い雰囲気の部屋が、ほんの少しだけ明るい雰囲気になっていく
「では、家族は?」
二人とは違いまだ、真剣な表情で質問するゼフド。その質問に一瞬躊躇するが、どうにかか細い声で答えていく
「……いません。小さい頃に亡くなったみたいです」
「それも私と一緒……」
意外な共通点に、急にテンションが低くなって、また部屋が重い雰囲気になっていく。話を聞いていたミオリも、二人から目を背けている
「カエデ君。少し静かに」
ゼフドから注意されて、少しツミキから離れるカエデ。重い雰囲気が続いて、まだ始まったばかりの話し合いが、ツミキには長い時間、話をしているように感じていた
「ツミキ君、ここに住む気はないかい?」
ゼフドにそう言われて、手をぎゅっと強く握った。目を背けうつ向いてしまったツミキ。ここに住むというはまだ戸惑っている様子。ちょっと無言でいると、ゼフドがふぅ。とため息ついて、メモを書きながらツミキに話しかける
「まあ、あの子達は君をなぜか狙っている。自宅へ返す訳にもいかないが……」
「良い話ではないですね」
黙って聞いていたミオリが、ゼフド達の話しに割ってはいる。みんなミオリに目を向ける。怒っているのが分かる表情と声。コツコツと音をたてて、ゼフドの所に歩いてく
「一般市民を巻き込むなと言ったのは、ゼフドさんじゃないですか!なのになぜ……」
語気を強め更にゼフドに詰め寄ってく。ミオリの発言により静かになる部屋
「ミオリちゃん、怒んないで」
ルモカが落ち着かせようとしても、睨み続けるミオリ。カエデや他の人達も、どうすればいいのか分からず二人をただ見つめている
「あの……私」
不穏な雰囲気に戸惑い、またうつ向いてしまったツミキ。そんなツミキに気づいたルモカが、椅子に座っているツミキの目線にあわせ、少しかがんで優しく話しかける
「ツミキちゃん、お歌、うたえる?」
「うた、ですか?カエデちゃんがダメって……」
ちらりとカエデを見ると、うんうんと頷いている。ルモカもカエデの方を見てすぐ、ツミキの方に向き直して、また質問をしていく
「でも、学校とかで唄ったりするでしょ?」
「はい。うたいますが……何かあるんですか?」
不安そうに答えると、今度はルモカとゼフド、他の隊員の人達が何やらヒソヒソと話し始めた。その様子に更に不安になってくツミキに寄り添うカエデ。しばらく二人寄り添って待っていると、話し終えたゼフドが困った様子でツミキに声かける
「後で調べてみようか。二人とも協力よろしくな」
「はい」
ツミキが来た次の日の朝、広い空き部屋に集まったツミキ達。ゼフドやルモカだけでなく、数人程この組織で働いている人達も集まっている。そんな重い雰囲気の部屋で、ゼフドによるツミキへの聞き取りが開始していた
「嫌なことは言わなくてもいいからね」
重い雰囲気にも気にもとめず、楽しそうなルモカに対し緊張で顔が強張っているツミキ。見守るカエデは心配そうな顔。ミオリは壁に背もたれて、少し離れて話を聞いている
「歳は?」
メモを取りながら、質問していくゼフド。まだ緊張しているツミキ。恐る恐る質問に答えていく
「えっと……14歳です」
「私と一緒!」
同い年と知って喜ぶカエデ。ツミキも、カエデの方を向いて喜ぶと、重い雰囲気の部屋が、ほんの少しだけ明るい雰囲気になっていく
「では、家族は?」
二人とは違いまだ、真剣な表情で質問するゼフド。その質問に一瞬躊躇するが、どうにかか細い声で答えていく
「……いません。小さい頃に亡くなったみたいです」
「それも私と一緒……」
意外な共通点に、急にテンションが低くなって、また部屋が重い雰囲気になっていく。話を聞いていたミオリも、二人から目を背けている
「カエデ君。少し静かに」
ゼフドから注意されて、少しツミキから離れるカエデ。重い雰囲気が続いて、まだ始まったばかりの話し合いが、ツミキには長い時間、話をしているように感じていた
「ツミキ君、ここに住む気はないかい?」
ゼフドにそう言われて、手をぎゅっと強く握った。目を背けうつ向いてしまったツミキ。ここに住むというはまだ戸惑っている様子。ちょっと無言でいると、ゼフドがふぅ。とため息ついて、メモを書きながらツミキに話しかける
「まあ、あの子達は君をなぜか狙っている。自宅へ返す訳にもいかないが……」
「良い話ではないですね」
黙って聞いていたミオリが、ゼフド達の話しに割ってはいる。みんなミオリに目を向ける。怒っているのが分かる表情と声。コツコツと音をたてて、ゼフドの所に歩いてく
「一般市民を巻き込むなと言ったのは、ゼフドさんじゃないですか!なのになぜ……」
語気を強め更にゼフドに詰め寄ってく。ミオリの発言により静かになる部屋
「ミオリちゃん、怒んないで」
ルモカが落ち着かせようとしても、睨み続けるミオリ。カエデや他の人達も、どうすればいいのか分からず二人をただ見つめている
「あの……私」
不穏な雰囲気に戸惑い、またうつ向いてしまったツミキ。そんなツミキに気づいたルモカが、椅子に座っているツミキの目線にあわせ、少しかがんで優しく話しかける
「ツミキちゃん、お歌、うたえる?」
「うた、ですか?カエデちゃんがダメって……」
ちらりとカエデを見ると、うんうんと頷いている。ルモカもカエデの方を見てすぐ、ツミキの方に向き直して、また質問をしていく
「でも、学校とかで唄ったりするでしょ?」
「はい。うたいますが……何かあるんですか?」
不安そうに答えると、今度はルモカとゼフド、他の隊員の人達が何やらヒソヒソと話し始めた。その様子に更に不安になってくツミキに寄り添うカエデ。しばらく二人寄り添って待っていると、話し終えたゼフドが困った様子でツミキに声かける
「後で調べてみようか。二人とも協力よろしくな」
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