ルーグ家の双子

シャオえる

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さあ、始めよう

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 アリスの言葉にパニックになるクリス
「えっ?私、死ぬの?」
 だんだんと、クリスの声が震えていく
リリスは首をふり、否定する
「いいえ、誰も死なない、殺さない」

『いや、死ぬんだよ?クリスも、私を殺そうとしたじゃない。お互い様だね!』

ニコニコ顔で話すアリス

「どうして?」

『それはね…』

「アリス、もうやめよう」
 カフルが二人の話しに割り込む
「もう、ルーグ家は魔力を欲しとらん。無くともどうにかなる時代になった」
「災いを起こし、悲しむような儀式はもう、この世からなくても構わない。それが、今のルーグ家の願いだ」

『そんなこと…今更何をいう』
 アリスは、ぎりっと歯をくいしばる
カフルは哀れむように呟く
「もう、いいんだ…アリス、いやバルド・ルーグ」
 
「バルド・ルーグ?」
 クリスが不思議そうにカフルに聞く
「先代のルーグ家の…なぜ?」
 リズルも、カフルの言葉に疑問を抱き、アリスを見る

 アリスは、カフルの言葉に笑っている
『ははっ……久しいなぁ、その名を聞くのは!』 
『お前達が、力を欲しないと言うのなら、我は更なる力を欲する!』
 更なる強風が吹き荒れ、大木、瓦礫が更に吹き飛んでいく
『久々の世界だ。少しぐらい遊んでもバチは当たらないだろう?』
 クスクスと笑うアリス

『クリス』
 
「は、はい…」

『一緒に遊ぼう』
 アリスはクリスに手をさしのべる
「い、いや」
 クリスは首をふり、拒否する
『どうして?体、声はアリスだよ?』
 拒否され、手を下ろすアリス
「ちがう、アリスは…アリスは…」
 
『……つまんない』
 
 突然、クリスが空に浮かびだす
導かれるように、アリスの方へ進んでいく

「クリス!」

 リリスは手を伸ば、クリスを掴もうとする
クリスも手を伸ばすが、お互いの手は届かず、離れていく

「お母様!」

 二人の声もむなしく、クリスの体はアリスの隣にたどり着く
アリスはクリスを見ると笑い、抱きしめる

『久しぶりねクリス。さあ、始めましょう』
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