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ごめんなさいを伝えに
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時は流れ森の中、ゆっくり進むカフルとリリス
時刻はお昼、日差しが暑く、木漏れ日も少ない道を二人は進んでいる
「リリス」
カフルの車椅子を押すリリスに、話しかける
「何でしょうか?お母様」
「押すのはツラくないかい?」
「大丈夫です。お母様の車椅子は森にも対応していますから」
ニコッと笑うリリス
でも、カフルはそんなリリスを見ることなく、前を見つめ
「そうかい…すまないね」
と、とても小さな声でリリスに、謝っていた
二人の会話が途切れ、風がなびいて樹木が揺れる音が聞こえてくる
長い長い沈黙が流れて、カフルが話し始めた
「リリス、少し寄り道をしましょう」
「寄り道ですか?どこへ?」
「一度家に帰りましょう」
リリスはカフルの言葉に思わず立ち止まる
「ですが…」
予想外の提案に、リリスは返事に困っている
だがカフルは、そんなリリスをよそに話を続ける
「本当に反応があったという確認がしたいのです。それに、このまま進んだとて本部の人間に会うなら、なおのこと」
「でも…」
リリスは戸惑いを隠せない様子で、返事を濁している
カフルは車椅子を動かし、リリスの方を向くと手を取り、両手でリリスの手を包み込む
「あの子達が、居ることを生きている事を信じたいのです」
カフルの目に涙が零れている
「そして、二人に全力で謝らなきゃいけません」
「お母様…」
カフルの様子に何も言えなくなった
カフルは涙が止まらなくなり、すすり泣く
リリスも、カフルを見て、涙が溢れていく
そして、しばらく森の中には、カフルが、涙を堪える声と、リリスの泣く声が聞こえていた
「ねぇ、リリス」
涙で声も震えているカフル
「何でしょうか?お母様」
カフルの声に涙を拭うリリス
「あの子達は、ごめんなさいで、許してもらえるかしら?」
涙をこらえてカフルは、ふと笑う
「お母様…」
笑ったカフルを見て、リリスも少し微笑む
「そうですね…私も二人に謝らなきゃですね」
時刻はお昼、日差しが暑く、木漏れ日も少ない道を二人は進んでいる
「リリス」
カフルの車椅子を押すリリスに、話しかける
「何でしょうか?お母様」
「押すのはツラくないかい?」
「大丈夫です。お母様の車椅子は森にも対応していますから」
ニコッと笑うリリス
でも、カフルはそんなリリスを見ることなく、前を見つめ
「そうかい…すまないね」
と、とても小さな声でリリスに、謝っていた
二人の会話が途切れ、風がなびいて樹木が揺れる音が聞こえてくる
長い長い沈黙が流れて、カフルが話し始めた
「リリス、少し寄り道をしましょう」
「寄り道ですか?どこへ?」
「一度家に帰りましょう」
リリスはカフルの言葉に思わず立ち止まる
「ですが…」
予想外の提案に、リリスは返事に困っている
だがカフルは、そんなリリスをよそに話を続ける
「本当に反応があったという確認がしたいのです。それに、このまま進んだとて本部の人間に会うなら、なおのこと」
「でも…」
リリスは戸惑いを隠せない様子で、返事を濁している
カフルは車椅子を動かし、リリスの方を向くと手を取り、両手でリリスの手を包み込む
「あの子達が、居ることを生きている事を信じたいのです」
カフルの目に涙が零れている
「そして、二人に全力で謝らなきゃいけません」
「お母様…」
カフルの様子に何も言えなくなった
カフルは涙が止まらなくなり、すすり泣く
リリスも、カフルを見て、涙が溢れていく
そして、しばらく森の中には、カフルが、涙を堪える声と、リリスの泣く声が聞こえていた
「ねぇ、リリス」
涙で声も震えているカフル
「何でしょうか?お母様」
カフルの声に涙を拭うリリス
「あの子達は、ごめんなさいで、許してもらえるかしら?」
涙をこらえてカフルは、ふと笑う
「お母様…」
笑ったカフルを見て、リリスも少し微笑む
「そうですね…私も二人に謝らなきゃですね」
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