96 / 109
96. 伝えたいことはもう少し後で
しおりを挟む
リコ達がミクの捜索をしている頃、いつの間に寝ていたのか、ゆっくりと目を開けたミク。本部の部屋とは違うが、見覚えのある部屋の景色に、少しボーッとしつつゆっくりと首を横に向けた
「……ミク。おはよう」
顔を向けた先に聞こえた懐かしい声に、ガバッと飛び起きると、隣で優しく微笑むその人に、勢いよく抱きついた
「お母様!」
「会いたかったです。お母様……」
ミクの震える声に、そっと抱きしめるアマネ。ミクの頭に手を添えて、ミクの顔を肩に寄せた
「私もよ、ミク。ゴメンね、一人にさせて」
会えた嬉しさからグスグスと泣き続けるミク。少し泣き止んだ頃、やっと落ち着いてアマネの顔を見て、二人見つめあう。もう一度ぎゅっと抱きしめると、優しく暖かい温もりに、すぐウトウトと眠そうに目を閉じた
「ミク。もう少し休んで」
「……でも」
「大丈夫。どこにも行かないわ」
と、そっとミクをベッドに寝かし布団を被せミクの頭を撫でて眠りを誘うアマネ。でもミクは、もう少し抱きしめあい、話もしたくて、うつらうつらと眠い目を、どうにか開けようと頑張っている
「あの……お母様。お話ししたいことがたくさん……」
「もう少し寝て、元気になってから、たくさん聞くわ」
アマネの言葉を最後まで聞くことなくすぐ、眠ってしまったミク。頭を撫でながら寝顔を見守るアマネ。ゆっくりとした時間が流れ静かな部屋に、キィッと部屋の扉が開く音が響いた
「あら……今、寝ちゃったの」
部屋に来たライにクスッと笑って答えるアマネの隣に来て、ミクの寝顔を見るライ。久しぶりに見たミクに顔がほころぶ
「そうか、それは残念。笑顔を見たかったのに……」
とミクの顔を見ながらライが呟いていると、アマネが本を取り出し、隣にいるライに手渡した
「その本は……」
「ミクが書いた本よ。何が書いているのかしらね」
「ミク、大丈夫かな?」
レイに言われた通り、ミクの部屋で待機をしているリコ達。外に出てミクを探せないリコは、何も出来ず気持ちが落ち着かず部屋の中をウロウロと動き回っていた
「大丈夫だよ、多分……」
リコと同じく気持ちが落ち着かないクルミとモモカは、紅茶を飲んで、一息つこうとしていた。リコも紅茶を飲もうと、二人のいるソファーに座ろうとしたした時、コンコンと扉が叩く音が聞こえた
「……はい」
リコが扉を開けると、目の前には機嫌良さそうに微笑むレグスがいた。予想外の人物の登場に、思わず一歩後退りした
リコ。クルミとモモカもレグスが来たことに気づいて、思わずソファーから立ち上がった
「おや、君達だけかね?」
急に現れたレグスに対し一気に緊張感が溢れだすリコ達。その緊張感を感じつつも、ニコニコと笑顔で部屋の中を見渡しはじめたレグス。ミクを探していると気づいたリコが急にあたふたと不審な動きをしはじめた
「えっと、あの……ミクは……」
「医務室です。少し体調が良くないみたいで……」
レグスの側で、ずっとあたふたしているミクの代わりに答えるクルミ。その答えを聞いて、リコの後ろにいるクルミとモモカに向けて、今度は違う質問を問いかけた
「なら、レイはどこにいるか分かるかね?」
「いえ、出掛けるとさっき言っていましたが、どこにいるかは……」
「そうか。話を聞きたかったのだが……」
クルミとの会話を終えて、再び考え込みはじめたレグスの様子を不安そうに見守るリコ達。しばらく部屋に沈黙が流れ、レグスの側にいたリコをモモカが、ぎゅっと抱きしめ、クルミも二人の側に来てレグスの様子を見ていると三人が不安げな表情なのに気づいたレグスが、ニコニコと笑った
「では、レイの事は他の者にも聞いてみるとしようか。それと、あの娘が医務室から戻り次第、早々に報告をするように……」
「……ミク。おはよう」
顔を向けた先に聞こえた懐かしい声に、ガバッと飛び起きると、隣で優しく微笑むその人に、勢いよく抱きついた
「お母様!」
「会いたかったです。お母様……」
ミクの震える声に、そっと抱きしめるアマネ。ミクの頭に手を添えて、ミクの顔を肩に寄せた
「私もよ、ミク。ゴメンね、一人にさせて」
会えた嬉しさからグスグスと泣き続けるミク。少し泣き止んだ頃、やっと落ち着いてアマネの顔を見て、二人見つめあう。もう一度ぎゅっと抱きしめると、優しく暖かい温もりに、すぐウトウトと眠そうに目を閉じた
「ミク。もう少し休んで」
「……でも」
「大丈夫。どこにも行かないわ」
と、そっとミクをベッドに寝かし布団を被せミクの頭を撫でて眠りを誘うアマネ。でもミクは、もう少し抱きしめあい、話もしたくて、うつらうつらと眠い目を、どうにか開けようと頑張っている
「あの……お母様。お話ししたいことがたくさん……」
「もう少し寝て、元気になってから、たくさん聞くわ」
アマネの言葉を最後まで聞くことなくすぐ、眠ってしまったミク。頭を撫でながら寝顔を見守るアマネ。ゆっくりとした時間が流れ静かな部屋に、キィッと部屋の扉が開く音が響いた
「あら……今、寝ちゃったの」
部屋に来たライにクスッと笑って答えるアマネの隣に来て、ミクの寝顔を見るライ。久しぶりに見たミクに顔がほころぶ
「そうか、それは残念。笑顔を見たかったのに……」
とミクの顔を見ながらライが呟いていると、アマネが本を取り出し、隣にいるライに手渡した
「その本は……」
「ミクが書いた本よ。何が書いているのかしらね」
「ミク、大丈夫かな?」
レイに言われた通り、ミクの部屋で待機をしているリコ達。外に出てミクを探せないリコは、何も出来ず気持ちが落ち着かず部屋の中をウロウロと動き回っていた
「大丈夫だよ、多分……」
リコと同じく気持ちが落ち着かないクルミとモモカは、紅茶を飲んで、一息つこうとしていた。リコも紅茶を飲もうと、二人のいるソファーに座ろうとしたした時、コンコンと扉が叩く音が聞こえた
「……はい」
リコが扉を開けると、目の前には機嫌良さそうに微笑むレグスがいた。予想外の人物の登場に、思わず一歩後退りした
リコ。クルミとモモカもレグスが来たことに気づいて、思わずソファーから立ち上がった
「おや、君達だけかね?」
急に現れたレグスに対し一気に緊張感が溢れだすリコ達。その緊張感を感じつつも、ニコニコと笑顔で部屋の中を見渡しはじめたレグス。ミクを探していると気づいたリコが急にあたふたと不審な動きをしはじめた
「えっと、あの……ミクは……」
「医務室です。少し体調が良くないみたいで……」
レグスの側で、ずっとあたふたしているミクの代わりに答えるクルミ。その答えを聞いて、リコの後ろにいるクルミとモモカに向けて、今度は違う質問を問いかけた
「なら、レイはどこにいるか分かるかね?」
「いえ、出掛けるとさっき言っていましたが、どこにいるかは……」
「そうか。話を聞きたかったのだが……」
クルミとの会話を終えて、再び考え込みはじめたレグスの様子を不安そうに見守るリコ達。しばらく部屋に沈黙が流れ、レグスの側にいたリコをモモカが、ぎゅっと抱きしめ、クルミも二人の側に来てレグスの様子を見ていると三人が不安げな表情なのに気づいたレグスが、ニコニコと笑った
「では、レイの事は他の者にも聞いてみるとしようか。それと、あの娘が医務室から戻り次第、早々に報告をするように……」
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
侯爵夫人のハズですが、完全に無視されています
猫枕
恋愛
伯爵令嬢のシンディーは学園を卒業と同時にキャッシュ侯爵家に嫁がされた。
しかし婚姻から4年、旦那様に会ったのは一度きり、大きなお屋敷の端っこにある離れに住むように言われ、勝手な外出も禁じられている。
本宅にはシンディーの偽物が奥様と呼ばれて暮らしているらしい。
盛大な結婚式が行われたというがシンディーは出席していないし、今年3才になる息子がいるというが、もちろん産んだ覚えもない。
義理の妹が妊娠し私の婚約は破棄されました。
五月ふう
恋愛
「お兄ちゃんの子供を妊娠しちゃったんだ。」義理の妹ウルノは、そう言ってにっこり笑った。それが私とザックが結婚してから、ほんとの一ヶ月後のことだった。「だから、お義姉さんには、いなくなって欲しいんだ。」
旦那様に離婚を突きつけられて身を引きましたが妊娠していました。
ゆらゆらぎ
恋愛
ある日、平民出身である侯爵夫人カトリーナは辺境へ行って二ヶ月間会っていない夫、ランドロフから執事を通して離縁届を突きつけられる。元の身分の差を考え気持ちを残しながらも大人しく身を引いたカトリーナ。
実家に戻り、兄の隣国行きについていくことになったが隣国アスファルタ王国に向かう旅の途中、急激に体調を崩したカトリーナは医師の診察を受けることに。
七年間の婚約は今日で終わりを迎えます
hana
恋愛
公爵令嬢エミリアが十歳の時、第三王子であるロイとの婚約が決まった。しかし婚約者としての生活に、エミリアは不満を覚える毎日を過ごしていた。そんな折、エミリアは夜会にて王子から婚約破棄を宣言される。
【完結】どうして殺されたのですか?貴方達の愛はもう要りません
たろ
恋愛
処刑されたエリーゼ。
何もしていないのに冤罪で……
死んだと思ったら6歳に戻った。
さっき処刑されたばかりなので、悔しさも怖さも痛さも残ったまま巻き戻った。
絶対に許さない!
今更わたしに優しくしても遅い!
恨みしかない、父親と殿下!
絶対に復讐してやる!
★設定はかなりゆるめです
★あまりシリアスではありません
★よくある話を書いてみたかったんです!!
私はお母様の奴隷じゃありません。「出てけ」とおっしゃるなら、望み通り出ていきます【完結】
小平ニコ
ファンタジー
主人公レベッカは、幼いころから母親に冷たく当たられ、家庭内の雑務を全て押し付けられてきた。
他の姉妹たちとは明らかに違う、奴隷のような扱いを受けても、いつか母親が自分を愛してくれると信じ、出来得る限りの努力を続けてきたレベッカだったが、16歳の誕生日に突然、公爵の館に奉公に行けと命じられる。
それは『家を出て行け』と言われているのと同じであり、レベッカはショックを受ける。しかし、奉公先の人々は皆優しく、主であるハーヴィン公爵はとても美しい人で、レベッカは彼にとても気に入られる。
友達もでき、忙しいながらも幸せな毎日を送るレベッカ。そんなある日のこと、妹のキャリーがいきなり公爵の館を訪れた。……キャリーは、レベッカに支払われた給料を回収しに来たのだ。
レベッカは、金銭に対する執着などなかったが、あまりにも身勝手で悪辣なキャリーに怒り、彼女を追い返す。それをきっかけに、公爵家の人々も巻き込む形で、レベッカと実家の姉妹たちは争うことになる。
そして、姉妹たちがそれぞれ悪行の報いを受けた後。
レベッカはとうとう、母親と直接対峙するのだった……
旦那様は妻の私より幼馴染の方が大切なようです
雨野六月(まるめろ)
恋愛
「彼女はアンジェラ、私にとっては妹のようなものなんだ。妻となる君もどうか彼女と仲良くしてほしい」
セシリアが嫁いだ先には夫ラルフの「大切な幼馴染」アンジェラが同居していた。アンジェラは義母の友人の娘であり、身寄りがないため幼いころから侯爵邸に同居しているのだという。
ラルフは何かにつけてセシリアよりもアンジェラを優先し、少しでも不満を漏らすと我が儘な女だと責め立てる。
ついに我慢の限界をおぼえたセシリアは、ある行動に出る。
(※4月に投稿した同タイトル作品の長編版になります。序盤の展開は短編版とあまり変わりませんが、途中からの展開が大きく異なります)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる