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シャオえる

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36. もう一度、会えるように

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 コンコンとミクの部屋の扉を叩く音がする。ゆっくりと扉が開いて、レイが部屋に入ってきた。ベッドに座ってボーッとしていたミクを見つけて話しかける
「おはよう。機嫌はどうかい?」
 話しかけても返事のないミクに、フフッと笑うレイ。ミクのベッドの隣にあった椅子に座って、また話しかける
「ご飯も食べてたそうだし、良かったよ」
 とまた返事もないミク。レイも何も言わなくなり会話が止まった。部屋には、ミクの見張り番として居る女性隊員二人も、レイとミクの様子を静かに見張っている

「無理させてしまって、すまないね」
「あの……」
「三人は今は、君に会わせるわけにはいかないんだ。ごめんね」
 ミクの話を遮るようにレイがそう言うと、ミクは顔を背けた。すると、レイは何処からともなくミクの絵本を取り出して、ベッドの上に置いた
「これは返しておくよ」
 右手の側に置かれた絵本に気づいたミクが、ぎゅっと絵本を抱きしめ、レイにちょっとだけ頭を下げた
「ありがとうございます……」
 お礼を言ってすぐ絵本をめくり、ページに手をかざす。いつものように、文字が浮かび、物語が始まると思っていたが、なぜか何も始まらず絵本は真っ白なページのまま。次のページをめくり触れても真っ白なページは何も変わらず、また次のページをめくる。やはり何も変わらないままの絵本に、首をかしげ不思議そうに絵本をパラパラめくるミクに、無言で見ていたレイが話はじめた

「君の魔術は、この部屋に居る限り使えないようにしているから、文字は出ないし、物語も動かないよ」
「私の魔術……ですか?」
 レイの話を聞いても、絵本をまためくりはじめたミク。どうにか文字を出したり、動かそうと頑張っていると、急にうつらうつらと目を閉じ、目を擦るミク。レイが側にいた女性隊員を呼んで、隊員がミクが眠るように横にするとすぐに、力が抜けたように目を閉じた
「もう少し休むといい。リコ達に会えるようにお願いしておくから、目が覚めたら会えると思うよ」
「ありがとうございます……」
 と言うと眠ってしまったミク。起こさないようにそっと部屋を出たレイは、部屋の前にいた隊員に声をかけた

「ところで、三人はどこに?」
「リコさん達は今、会議室にいると思いますが……」
「そうか、それは困ったな……。なら三人には明日の朝、僕の部屋に来るように伝えてくれるかい?」
「はい、構いませんが……」
 隊員の返事を聞きながら、前を歩いて帰っていくレイ。その後ろ姿を見て隊員が少し首をかしげた
「レイさん、どこか行くんですか?」
 部屋とは違う方向に歩いていくレイに声をかけた隊員。すると、レイは足を止めクスッと笑って振り返った
「ちょっと、お詫びのケーキを買いにね。リコ達には内緒にしておいて」
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