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シャオえる

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32. 力は光に包まれて

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「うわぁ、めっちゃ集まってる……ミク大丈夫かな……」
 朝ごはんの後、本部のすぐ隣にある魔術練習場に来たリコ達。広い魔術練習場には、たくさんの本部の上層部達が集まっている中、部屋の真ん中で一人立たされているミクを、リコ達と大勢の隊員達が、魔術練習場の隣の部屋で、ガラス越しから様子を見ている
「本当……一体何するのかしら?」
 スピーカーから聞こえる魔術練習場の話し声に、クルミとモモカも不安そうにミクの様子を見ている
「ねぇ、今から何するか知ってる?」
 リコが側にいた隊員に声をかけると、リコ達が知らなかったことに驚いた表情で答えた
「えっ?ええ……ミクさんの……」
「それでは、開始します」
 大意の話を遮るように、スピーカーから開始の合図が聞こえ、リコ達のいる部屋の人たちが、一斉に魔術練習場に目を向けると、レイがミクの方に向かい歩いていた


「機嫌はどう?どこか具合悪いかい?」
「いえ……元気です」
 ミクとレイの会話が、リコたちのいる部屋にもスピーカーから聞こえて、リコたちの表情にも緊張感が現れている
「それはよかった。今からちょっと苦しい思いをするかもしれないけれど、頑張って……」
 優しくミクに声をかけるレイ。すると、リーンと一つ鈴の音が、練習場に響いた。その音色を聞いてレイが目を閉じ一つため息つくと、練習場を埋め尽くすほどの巨大な魔方陣が現れた。足元に浮かぶ見知らぬ文字にうろたえるミク。練習場の隅にいる上層部の老人達も、緊張した面持ちで二人の様子を見ている


「あれ、何の魔方陣?」
「さあ?見たことないね……」
 隣の部屋にいるリコ達も、見慣れぬ魔方陣を見て不思議そうにしていると、スピーカーからミクに話しかけるレイの声が聞こえてきた
「君はうたを知っているよね。今から少し唄ってほしいんだ」
「えっと……うたですか?」
「そう。昔から知っている、ご両親のうただよ」
 と、レイに言われて何のうたの事かと思い出したミク。でも、すぐに困った顔になった
「でも、あのうたは、途中までしか分からなくて……」
「それは、君の魔力が足りないからだ」
「私の……?」
 と、ミクがレイに聞き返すと、魔方陣が光を放つ。その光の眩しさで目を閉じるミク。その間に、レイがミクから少し離れ呟きはじめた。魔方陣の光が強くなるにつれ、ゆっくり倒れていくミク。その光のせいでガラス越しから見ていたリコ達は、少しずつミク達の姿が見えなくなっていた

「えっ……ちょっと……」
 倒れたミクと見てなっていく視界に戸惑うクルミ。レイも練習場にいる隊員達も誰一人助ける気配はなく、二人の様子をただ見ている姿に、リコとモモカも慌てはじめる
「ミク!」
「ねえ、何をすると聞いたの?」
 あっという間にリコ達の部屋からは、魔方陣の影響で真っ白な視界になり、ミクの様子が見えなくなってしまった。バンバンとガラスを叩いて叫ぶリコの隣で、モモカが側にいた隊員に問いかける
「えっ……ミクさんの魔力を無理矢理上げるとしか……」
 隊員達も戸惑っていると、スピーカーからまた声が聞こえてきた。微かに聞こえるほどの小さな声で聞こえてくる唄声に、全員耳を傾ける

「ミクのうた……」
 クルミがミクの唄声の主に気づいて、そう呟くと、リコが急いでミクの所に行こうと、ガチャガチャと大きく音をたて部屋の扉を開けようとする。だが、鍵はかけていないはずの出入り口の扉は開かず、リコが扉を押したり引いたりと開けようとするが、全く開く様子はない

「何で?開かない!」
「レイさんが、リコさん達が魔術の邪魔をしないように、始まる前に術を……」
 と、隊員が話した言葉に呆然とするリコ達。その間にもスピーカーからはミクの唄声が聞こえている
「モモカ!クルミ!手伝って!」
「えっ……何する気?」
 扉に向かって、術を唱えはじめたリコ。怒った形相で唱えるその姿に、隊員達がうろたえ怯えている。リコの魔術の意図に気づいて、クルミとモモカもリコの隣で、魔術を唱えはじめた。三人の魔術が重なり、少しずつ扉にヒビが入ってきた
「レイさんの一人の魔術なんて、三人なら壊せる。早くミクを助けにいかないと!」
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