ぱすてるランページ

シャオえる

文字の大きさ
上 下
4 / 109

4. 見える世界は戸惑いばかり

しおりを挟む
「どこで食べよっか。昨日と同じ所で食べる?」
「それでも良いけど……」
 ガヤガヤと騒がしい街中をクルミから離れて歩くリコ。あっちこっちとお店を見渡して忙しそうにしている。その二人の大分後ろで、モモカと手を繋いで歩いているミクが、キョロキョロと町を見渡して、少しずつ歩く速度が遅くなっていた
「落ち着かないね。どうしたの?」
 ミクの様子に気づいたリコが声をかけると、モモカの手を強くつかんで、少しうつ向いて話はじめた
「あの……えっと……。初めて見るものばかりで……」
 少しずつ小さくなってく声と話す内容に、顔を見合わせるリコ達。しばらく沈黙が流れるとミクの視線に合わせるように、少し屈むとミクの頭を撫でたリコ
「噂では、ほとんど家の周りしか外に出してないって言ってたけど……。本当だったんだね」
「大丈夫?ゴメンね。無理矢理連れてきて不安だろうけど、私達と一緒にいたほうが安全だから……」
 モモカが話しかけると、小さく頷いて、またうつ向いたミク。モモカの背中に隠れて、動かなくなってしまった

「やっぱ戻って食堂で食べる?」
 立ち上がりクルミに話しかけるリコ。モモカと顔を見合わせて、どうしようかと悩んでいると、人混みに戸惑っているミクを見て、ため息混じりに頷いた
「そうしようか。ミクちゃんが疲れすぎちゃうのもよくないし」
「ゴメンね。帰ろっか」
 リコの言葉に頷いて、歩いてきた道を戻るミク達。またキョロキョロと街中を見渡し、落ち着かないミクを囲うように、施設へと帰っていった


「あの……すみません……。ここはどこなんですか?」
 施設に着くと、最初に来た時とは違う知らない廊下をついて歩くミク。手を繋いでいたモモカに聞いたつもりが、話をしながら先に進んでたリコとクルミにも聞こえたのか、足を止めミクの方に振り向いた
「えっ?その話しもしてなかったの?」
 ミクの言葉に驚いて、クルミが隣にいたリコに問いかける
「うん。お腹すいたから、話しはご飯食べてからにしようって思ったから」
「そりゃずっと、怯えてるわけだよ……」
 リコの返事を聞いて、クルミがはぁ。とため息つくと、笑ってごまかそうとするリコを残して、ミクの所にクルミが戻ってきた
「仕方ないか。ご飯食べながらゆっくり話そう。知りたいことは、なるべく教えるから、ねっ」
 クルミがミクの頭を撫でて微笑むと、小さく頷いたミク。少しだけ緊張感が解れた時、リコの大声が廊下に響いた

「やった!今日はハンバーグ定食があるよ!ミク、一緒に食べよう!」
 と言うなり、ミク達の所に戻ってくると、ミクの手を引っ張っり、そのままミクと一緒に走って施設の食堂に入っていったリコ。あっという間の出来事にモモカとクルミが、ぼう然と二人の後ろ姿を見ていた
「緊張感がないわね……。それがリコの良い所だけど……」
 苦笑いで話すクルミに、モモカもつられて微笑むと、クルミに話しかけながら、二人が入っていった食堂へと歩いていく
「そうね。それより私達も早くご飯食べて、あの子から話し聞きましょ」
しおりを挟む

処理中です...