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PART 6 : アオハルデストラクション
No.38 アオハルデストラクション(前編)
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◆ ◆ ◆ ◆ ◆
時は少し遡り、N世界にて――
「……これ、一体どういうこと……?」
N世界側でのモニタリングの結果を見て、ナツは真面目な顔で考え込む。
ハルが予想した通り、確かにデブリ出現についてのデータが集まっていた。
基軸世界へと可能世界からの干渉が起きたことを示すデータ、つまりデブリ出現の痕跡は確かに見られる。
だが、その痕跡がナツやハルが想定していたものと異なる形を示しているのだ。
(そんな……これじゃまるで――ハルがデブリを呼んでいるようにしか思えない……!)
ハルが狙われているのだから、ハルの周囲にデブリが現れる――それは当然のことだ。
しかし、集められたデータからデブリの出現パターンを考えるとそうではないとしか思えない。
ハルを狙ってデブリが現れているのではなく、ハル自身が原因となってデブリを呼んでいる。そうとしか解釈できない動きをデブリは見せているのだ。
(…………犯人はN世界の人間じゃなくて、H世界――ハル? ううん、そんなわけないわ……!)
口にはしなかったものの、ナツもまたハル同様に『犯人』と呼べる者がいるとすればN世界側の人間だと思っていた。
彼女が今日一人でN世界に来たのも、『犯人』がN世界にいると仮定してハルに直接危害を加えられないように、という配慮からだったのだ。
なのに、データから判断すればそれは意味のないことだとしか判断できない。
そして当然ハル自身が『犯人』だとも思わない。そんなことをする理由が一切ないし、ナツと出会うまでにハルにはデブリはおろか並行世界の知識や認識もなかった。
(何かを見落としている……? うぅ~、でも私にはわかんないよ~!)
N世界の超科学については知識はある。
その反面、他の知識についてはナツは全然ダメなのだ。
様々な状況・情報を精査して『原因』を突き止めるような作業はナツの得意とすることではない――科学者としてそれはどうなんだ、とハルならツッコミを入れそうではあるが。
「! デブリの出現!?
うぅ、どうしよう……アキ姉たちもいるし大丈夫かな……?」
頭を悩ませている間に、かつてないほどの巨大なデブリの出現を検知。
すぐに向かおうとするが、アキたちも一緒に残っていることを考えれば『N世界での情報収集を優先してくれ』とハルは言いそうだと逡巡する。
――そのわずかな逡巡が、もう一つの異常を捉えることとなった。
「え……っ!? どういうこと……!?」
向かうべきか否か悩んでいる間に、更なるデブリの出現を捉えた、
しかも、別々の箇所に2つ。
H世界に合計3つ――小物ではない、はっきりとモニタリングできるほどの大きさのデブリが別々に現れていることを示している。
(い、今までと全然違う……!? 一体何が起きてるの……!?)
複数体のデブリが現れることはあったが、離れた場所に同時に現れるということは今までになかった。
しかも、今回は明らかに人が密集している場所に現れているのだ。
異常事態……としか言いようがない。
「――ええい、行くしかない!」
このままモニタリングを続けていても、新しいデブリ出現をハルたちに伝えられないのでは意味がない。
情報収集は中断せざるをえないが、この異常事態においてハルを放置しておく方が拙い。
そう判断したナツは情報取集を切り上げてH世界へと戻るため、『超科学パラレルワールドゲート』へと向かうべくモニター室から出ようとする。
だが――
「!? ま、マリちゃん……!?」
「……」
ナツが飛び出すよりも早く、いつの間にか部屋へと潜り込んで来たN世界の風見真理が扉の前に立ち塞がっていた……。
時は少し遡り、N世界にて――
「……これ、一体どういうこと……?」
N世界側でのモニタリングの結果を見て、ナツは真面目な顔で考え込む。
ハルが予想した通り、確かにデブリ出現についてのデータが集まっていた。
基軸世界へと可能世界からの干渉が起きたことを示すデータ、つまりデブリ出現の痕跡は確かに見られる。
だが、その痕跡がナツやハルが想定していたものと異なる形を示しているのだ。
(そんな……これじゃまるで――ハルがデブリを呼んでいるようにしか思えない……!)
ハルが狙われているのだから、ハルの周囲にデブリが現れる――それは当然のことだ。
しかし、集められたデータからデブリの出現パターンを考えるとそうではないとしか思えない。
ハルを狙ってデブリが現れているのではなく、ハル自身が原因となってデブリを呼んでいる。そうとしか解釈できない動きをデブリは見せているのだ。
(…………犯人はN世界の人間じゃなくて、H世界――ハル? ううん、そんなわけないわ……!)
口にはしなかったものの、ナツもまたハル同様に『犯人』と呼べる者がいるとすればN世界側の人間だと思っていた。
彼女が今日一人でN世界に来たのも、『犯人』がN世界にいると仮定してハルに直接危害を加えられないように、という配慮からだったのだ。
なのに、データから判断すればそれは意味のないことだとしか判断できない。
そして当然ハル自身が『犯人』だとも思わない。そんなことをする理由が一切ないし、ナツと出会うまでにハルにはデブリはおろか並行世界の知識や認識もなかった。
(何かを見落としている……? うぅ~、でも私にはわかんないよ~!)
N世界の超科学については知識はある。
その反面、他の知識についてはナツは全然ダメなのだ。
様々な状況・情報を精査して『原因』を突き止めるような作業はナツの得意とすることではない――科学者としてそれはどうなんだ、とハルならツッコミを入れそうではあるが。
「! デブリの出現!?
うぅ、どうしよう……アキ姉たちもいるし大丈夫かな……?」
頭を悩ませている間に、かつてないほどの巨大なデブリの出現を検知。
すぐに向かおうとするが、アキたちも一緒に残っていることを考えれば『N世界での情報収集を優先してくれ』とハルは言いそうだと逡巡する。
――そのわずかな逡巡が、もう一つの異常を捉えることとなった。
「え……っ!? どういうこと……!?」
向かうべきか否か悩んでいる間に、更なるデブリの出現を捉えた、
しかも、別々の箇所に2つ。
H世界に合計3つ――小物ではない、はっきりとモニタリングできるほどの大きさのデブリが別々に現れていることを示している。
(い、今までと全然違う……!? 一体何が起きてるの……!?)
複数体のデブリが現れることはあったが、離れた場所に同時に現れるということは今までになかった。
しかも、今回は明らかに人が密集している場所に現れているのだ。
異常事態……としか言いようがない。
「――ええい、行くしかない!」
このままモニタリングを続けていても、新しいデブリ出現をハルたちに伝えられないのでは意味がない。
情報収集は中断せざるをえないが、この異常事態においてハルを放置しておく方が拙い。
そう判断したナツは情報取集を切り上げてH世界へと戻るため、『超科学パラレルワールドゲート』へと向かうべくモニター室から出ようとする。
だが――
「!? ま、マリちゃん……!?」
「……」
ナツが飛び出すよりも早く、いつの間にか部屋へと潜り込んで来たN世界の風見真理が扉の前に立ち塞がっていた……。
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