40 / 44
閑話 魔王の娘とバレンタイン
しおりを挟む
せっかくなので本編を一日休んで二人のバレンタインの話です
グニョグニョ、ウニョウニョと勇者の目の前で皿のようなものに入った何かが蠢いていた。蛸の足のようと言うのはかなりいい言い方をした場合のものでなんと言っていいのかわからない。さらに蠢くなにかの間たくさんの目玉が入っていて、一個一個独立しているそれは動いている。中には蠢くなにかに絡みとられ潰されている目玉もあった
「これは……えっと」
「魔界の伝統的な食べ物なんです。勇者様に食べていただきたくて私が作りました」
青ざめた勇者。戸惑い聞く中でマーナは柔らかに笑い頬を赤らめながら勇者を見ていた
「ハッピーバレンタインです」
事の発端は買い物に行く街の中が赤やピンクの色に彩り始めたことだろう。それを不思議に思ったマーナが勇者に問いかけバレンタインという行事を知ったのだった。親しいものに贈り物をする日。恋人たちではチョコを贈るというその話を聞きマーナは勇者にチョコを贈ろうと心に決めた。
だが魔界にはこちらの世界の通貨がなく買い物をすることができずどうしたら用意できるだろうかと聞いたところ、勇者はそれなら俺が買ってあげるよと本末転倒なことをいい、それでは意味がないとマーナは斧使いに聞いていた。勇者と違い女心のわかる斧使いはそれならチョコを贈らなくても魔界にある何かを贈ればいいんじゃないかと提案した。魔界にも大切な人に贈るプレゼントあるんじゃないかとそういった斧使いにマーナはその瞳を輝かせええと答えていた。
そしてありがとうと言って踊るようにして魔界に帰っていたのだ。
それから数日したバレンタインのひ当日。
マーナが持ってきたのが勇者の目ではどう見ても食べ物とは思えないゲテモノだった。色もなんだか気味が悪い。青が混ざった濃い緑に黒それに紫と食欲をなくさせる。
だけどと勇者はマーナを見た。
笑顔のマーナはとても誇らしそうで勇者のために用意してくれたのが伝わってくる。斧使いからも勇者のために用意してくれているという話は聞いていた。
グニョングニョンと動いた物体が飛び跳ねて勇者の目元まで飛んでくる。
「活きが良いほど良いというのでスイレイと一緒に自分で素材も取りに行ったんですよ。作ったのは私ですが、スイレイも勇者様のためにと手伝ってくれて」
マーナの笑顔に悪意なんてものはない。
彼女にとってこれは勇者たちと食べる普段の料理となんら変わりないものなのだろう。
分かっていても、分かっていても勇者は聞いてしまう
「その、なんでこれを……」
せめてもっと別のものならば。そんな思いを込める中でそれはですねとマーナは聞いてくれたことが嬉しそうな顔を見せていた。
「これは魔族が子作りをするとき、女性体が男性体に食べさせるものなんです。
魔族にとって子作りは結婚するという意思表示なので恋人に愛を贈る日というこちらの伝統に一番近いものだと思ったのでこれにしました。まだ、婚約者のみですが是非、食べてください」
それてもしかしなくてもせいりょ……。
ぶんぶんと首を振って勇者は湧き上がった言葉を打ち消していた。マーナの眼差しは純粋無垢で何一つ汚れたことなど考えていないものだった。グニョングニャビチャンビチ。嫌な音が皿のようなものからしている。間違いなく皿なのだが中身のせいでもはや皿に思えない。
どう食べればいいかわからないなんてそんな問題ではなくそもそも食べたくない。それでもそれでも勇者は……
「ありがとう。じゃあ早速いただくね。
いただきます」
グニョグニョ、ウニョウニョと勇者の目の前で皿のようなものに入った何かが蠢いていた。蛸の足のようと言うのはかなりいい言い方をした場合のものでなんと言っていいのかわからない。さらに蠢くなにかの間たくさんの目玉が入っていて、一個一個独立しているそれは動いている。中には蠢くなにかに絡みとられ潰されている目玉もあった
「これは……えっと」
「魔界の伝統的な食べ物なんです。勇者様に食べていただきたくて私が作りました」
青ざめた勇者。戸惑い聞く中でマーナは柔らかに笑い頬を赤らめながら勇者を見ていた
「ハッピーバレンタインです」
事の発端は買い物に行く街の中が赤やピンクの色に彩り始めたことだろう。それを不思議に思ったマーナが勇者に問いかけバレンタインという行事を知ったのだった。親しいものに贈り物をする日。恋人たちではチョコを贈るというその話を聞きマーナは勇者にチョコを贈ろうと心に決めた。
だが魔界にはこちらの世界の通貨がなく買い物をすることができずどうしたら用意できるだろうかと聞いたところ、勇者はそれなら俺が買ってあげるよと本末転倒なことをいい、それでは意味がないとマーナは斧使いに聞いていた。勇者と違い女心のわかる斧使いはそれならチョコを贈らなくても魔界にある何かを贈ればいいんじゃないかと提案した。魔界にも大切な人に贈るプレゼントあるんじゃないかとそういった斧使いにマーナはその瞳を輝かせええと答えていた。
そしてありがとうと言って踊るようにして魔界に帰っていたのだ。
それから数日したバレンタインのひ当日。
マーナが持ってきたのが勇者の目ではどう見ても食べ物とは思えないゲテモノだった。色もなんだか気味が悪い。青が混ざった濃い緑に黒それに紫と食欲をなくさせる。
だけどと勇者はマーナを見た。
笑顔のマーナはとても誇らしそうで勇者のために用意してくれたのが伝わってくる。斧使いからも勇者のために用意してくれているという話は聞いていた。
グニョングニョンと動いた物体が飛び跳ねて勇者の目元まで飛んでくる。
「活きが良いほど良いというのでスイレイと一緒に自分で素材も取りに行ったんですよ。作ったのは私ですが、スイレイも勇者様のためにと手伝ってくれて」
マーナの笑顔に悪意なんてものはない。
彼女にとってこれは勇者たちと食べる普段の料理となんら変わりないものなのだろう。
分かっていても、分かっていても勇者は聞いてしまう
「その、なんでこれを……」
せめてもっと別のものならば。そんな思いを込める中でそれはですねとマーナは聞いてくれたことが嬉しそうな顔を見せていた。
「これは魔族が子作りをするとき、女性体が男性体に食べさせるものなんです。
魔族にとって子作りは結婚するという意思表示なので恋人に愛を贈る日というこちらの伝統に一番近いものだと思ったのでこれにしました。まだ、婚約者のみですが是非、食べてください」
それてもしかしなくてもせいりょ……。
ぶんぶんと首を振って勇者は湧き上がった言葉を打ち消していた。マーナの眼差しは純粋無垢で何一つ汚れたことなど考えていないものだった。グニョングニャビチャンビチ。嫌な音が皿のようなものからしている。間違いなく皿なのだが中身のせいでもはや皿に思えない。
どう食べればいいかわからないなんてそんな問題ではなくそもそも食べたくない。それでもそれでも勇者は……
「ありがとう。じゃあ早速いただくね。
いただきます」
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
懐妊を告げずに家を出ます。最愛のあなた、どうかお幸せに。
梅雨の人
恋愛
最愛の夫、ブラッド。
あなたと共に、人生が終わるその時まで互いに慈しみ、愛情に溢れる時を過ごしていけると信じていた。
その時までは。
どうか、幸せになってね。
愛しい人。
さようなら。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
義妹が大事だと優先するので私も義兄を優先する事にしました
さこの
恋愛
婚約者のラウロ様は義妹を優先する。
私との約束なんかなかったかのように…
それをやんわり注意すると、君は家族を大事にしないのか?冷たい女だな。と言われました。
そうですか…あなたの目にはそのように映るのですね…
分かりました。それでは私も義兄を優先する事にしますね!大事な家族なので!
【完結】婚約者に忘れられていた私
稲垣桜
恋愛
「やっぱり帰ってきてた」
「そのようだね。あれが問題の彼女?アシュリーの方が綺麗なのにな」
私は夜会の会場で、間違うことなく自身の婚約者が、栗毛の令嬢を愛しそうな瞳で見つめながら腰を抱き寄せて、それはそれは親しそうに見つめ合ってダンスをする姿を視線の先にとらえていた。
エスコートを申し出てくれた令息は私の横に立って、そんな冗談を口にしながら二人に視線を向けていた。
ここはベイモント侯爵家の夜会の会場。
私はとある方から国境の騎士団に所属している婚約者が『もう二か月前に帰ってきてる』という話を聞いて、ちょっとは驚いたけど「やっぱりか」と思った。
あれだけ出し続けた手紙の返事がないんだもん。そう思っても仕方ないよでしょ?
まあ、帰ってきているのはいいけど、女も一緒?
誰?
あれ?
せめて婚約者の私に『もうすぐ戻れる』とか、『もう帰ってきた』の一言ぐらいあってもいいんじゃない?
もうあなたなんてポイよポイッ。
※ゆる~い設定です。
※ご都合主義です。そんなものかと思ってください。
※視点が一話一話変わる場面もあります。
【完結】初めて嫁ぎ先に行ってみたら、私と同名の妻と嫡男がいました。さて、どうしましょうか?
との
恋愛
「なんかさぁ、おかしな噂聞いたんだけど」
結婚式の時から一度もあった事のない私の夫には、最近子供が産まれたらしい。
夫のストマック辺境伯から領地には来るなと言われていたアナベルだが、流石に放っておくわけにもいかず訪ねてみると、
えっ? アナベルって奥様がここに住んでる。
どう言う事? しかも私が毎月支援していたお金はどこに?
ーーーーーー
完結、予約投稿済みです。
R15は、今回も念の為
【完結】夫は王太子妃の愛人
紅位碧子 kurenaiaoko
恋愛
侯爵家長女であるローゼミリアは、侯爵家を継ぐはずだったのに、女ったらしの幼馴染みの公爵から求婚され、急遽結婚することになった。
しかし、持参金不要、式まで1ヶ月。
これは愛人多数?など訳ありの結婚に違いないと悟る。
案の定、初夜すら屋敷に戻らず、
3ヶ月以上も放置されーー。
そんな時に、驚きの手紙が届いた。
ーー公爵は、王太子妃と毎日ベッドを共にしている、と。
ローゼは、王宮に乗り込むのだがそこで驚きの光景を目撃してしまいーー。
*誤字脱字多数あるかと思います。
*初心者につき表現稚拙ですので温かく見守ってくださいませ
*ゆるふわ設定です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる