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第2章 魔法士マミのいつでも食欲の秋がとまらない

(14話)ついに来た🌏世界を統(す)べる宮殿の秘密。そして、魔法士マミの正体

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日数がかかったとはいえ、当初の目的地でもなかった大賢者の住まう宮殿。

ここを訪れる旅人は、世界のどこかに待っている大切な人を捜し出す『きっかけ』を受け取る為の施設としてがもっとも有名だが、この宮殿は各地に点在する宮殿とともに🌏世界全てのバランス(わかりやすく言えば🌀気象)を司る重要な施設の中枢部の宮殿のひとつ。

えっ?ひとつ?って思うかもしれないけど、重要な施設はこれだけではない。📖施設の詳細については置いておくとして、ここを統括するおさの大賢者さまがここにおられることは、宮殿出入り口の金属の案内プレートにしっかりと彫られていた。

ついでにいえば、🌏バナムーンの世界にはいまだ【国家は全く存在しない】しかしながら、それぞれの地域・施設・人々が助け合って暮らしている世界。それが🌏バナムーンの世界。本当にその営みが正しかったのかは、いまだに答えは出ていない。

そんな場違いなふたりが警戒厳重な施設の中を恐る恐る、中に入っていくと思いきや…先陣を切って、平然と突き進んでいく魔法士マミの姿に唖然とする、冒険者ノア。

呆気にとられていくうちに今までの距離感を一気に加速して、離れていってしまう不安感も感じたので、とりあえず魔法士マミ頼みで後ろ姿について行く。

奥深く進んだ先に待っていたのは四方八方に広がる、宮殿空間の伸びる巨大穴と天高く頭上に伸びるひときわ大きな空洞とその中心にある🌛お月さまのオブジェがひとつ。

それぞれが何を意味しているのかは、冒険者ノアには理解不能だったが、魔法士マミはそこら中の世界各地のリアル映像を覗き込んでは何かをがむしゃらに詠唱し始めた。

こんな魔法士マミ隊員←の姿ははじめて見た。たぶんだが、魔法士マミ本来の姿なのだろうとだけは、気軽に思った。

何が起きているのかはやっぱり理解不能。🍻二日酔いがなおったばっかりとはいえ、再び頭が痛い。

そんな魔法士マミ本来の姿を⏰一日以上見続けることとなった出来事は、冒険者ノアが見続けている待ち時間直前から大賢者との謁見から全て始まった。

一番奥にいくつもの噴水がたたずむ聖なる空間。

なんだか、とても空気が澄んで清々しい。

この🌏バナムーンの世界の大気が汚れているわけでもなく、きれいな空気そのものよりもさらに清々しい大気が建物全体と🏢そこを住処すみかとしている人々を包み込むようにあたたかく優しい雰囲気が全てを支配していた。

これも施設の重要な役割なんだろうとは、冒険者ノアもそう思う。

けど、仕組みはまったくわからない。📖マニュアルのたぐいがあっても、無理だと思う。そんな大気が住まう空間。

その中心にある🌛お月さまをかたどったオブジェの上にまたもや
自然体でたたずむひとりの聖女、いや大賢者。その御身の白い手に、冒険者ノアが持っていたはずの📝紹介状が魔法士マミの手で渡されて、ひとこと『大変お待たせいたしました。大賢者様』

冒険者ノアは気がついた『大賢者様?』頭上にいくつもの疑問符が浮かび上がって、シャボン玉のように破裂していく。

その後の大賢者の『ご苦労様でした。ところで冒険者ノア。魔法士マミは役に立つパートナーでしたか?』というひとことには、冒険者ノアを混乱、そして、返答に困らせるには十分な💣衝撃が届く。それまでの旅の記憶が蘇っては、けして涙が止まらない冒険者ノア。

大賢者『それがあなた【冒険者ノア】の素直な答えのようですね。それはよかった』それは?という言葉の意味に考えをめぐらせる余裕すらなかった冒険者ノア。何が?とも聞き返せずに黙々と泣き続けた。

この些細な大賢者とのやり取りと、儀式の流れが終わる頃に、魔法士マミとの別れを訪れることだけは、冒険者ノアはまだ知らない。

…続く
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