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終章
4 終わりなき奔流
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「今日から楪瑞紀さんのガードに付くことになりました。よろしくお願いしますッ!」
真っ直ぐに伸ばした右手の指をこめかみに付けながら、早瀬はるかが背筋を伸ばして敬礼をした。玲奈を救出した後、はるかは警視庁西新宿署を退職して正式に<星月夜>の特別捜査官となったのだ。好きな銃器を常時携帯できる特別捜査官は、はるかにとってまさに天職だった。
「よろしく……。護衛って、あなただったのね……」
小さくため息をつきながら、瑞紀がはるかに告げた。てっきり若手の男性特別捜査官が来ると思っていた瑞紀は、いささか拍子抜けした。
(まあ、射撃の腕は一流だし、彼女が危険になればアランが出てくるはずだから悪い話じゃないか……)
はるかはアランの推薦で特別捜査官になったこともあり、彼に特別な感情を抱いているようだった。アランもはるかに悪い感情は持っていないどころか、好意さえ感じているように思えた。はるかの危機には、アランが駆けつけることは間違いなさそうだった。
「はい、任せてくださいッ! ちょうど昨日、シルヴェリオさんからこれが届いたんです。さっき、<星月夜>の射撃訓練場で試し撃ちをしてきたんですッ! もう最高ですッ!」
左脇に吊ったショルダーホルスターからM93RSSを抜くと、はるかは応接卓の上に置いた。
「M93RSS……! よく手に入ったわね。さすが、シルヴェリオさんだわ……」
M93RSSの基本性能は、瑞紀がシルヴェリオから買ったM93RCCと同等だ。単射、フルオート、3点射の三種類の発射モードを有し、銃爪もアルミ合金製のストレート・トリガーを採用している。
M93RCCとの違いは樹脂パーツを多用して軽量化されている点だった。830gのM93RCCと比べて、重量も780gに抑えられていた。
「凄く軽い……。グリップの形状も握りやすいし、重量バランスもいいわね。撃ったときの反動はどうだった?」
M93RSSを右の壁に向かって構えると、瑞紀が驚きながら訊ねた。
「軽いだけあって、それなりに銃口の跳ね上がりはありますね。五十メートルレンジでは、3点射をすると初弾と三弾の着弾位置が十センチくらいずれます」
「私のM93RCCも、そんなもんよ。M93RMK2なら五センチくらいに収まるんだけどね……」
M93RSSをはるかに返しながら、瑞紀が笑顔で告げた。この軽さで十センチのずれならば、優秀と言えた。
「M93RMK2は880gでしたよね? それより100gも軽いなら、仕方ないですよね……」
はるかは反動軽減機能があるM93RMK2を思い出し、羨ましそうに告げた。
反動軽減機能が付いていなくても、握力が三百キロもある高性能義手をしている瑞紀なら多少の銃口の跳ね上がりは力尽くで抑制できる。だが、普通の女性であるはるかには不可能な芸当だった。
「でも、気に入っているんでしょ? 好きな銃を使った方がモチベーションも上がるから、命中率も良くなるわよ」
「そうですよねッ! やっぱり3点射って最高ですッ! 楪さんが3点射にこだわる理由が分かりますッ! もう、今すぐにでもぶっ放したいくらいですッ!」
元警察官にあるまじき言葉を、満面の笑みを浮かべながらはるかが言い放った。
「まあ、ほどほどにね……。ところで、私のことは瑞紀でいいわよ。その方が呼ばれ慣れているから……」
「分かりました、瑞紀さん。じゃあ、あたしもはるかって呼んでください。瑞紀さんの方が先輩だから、呼び捨てで構いません」
瑞紀の言葉に、はるかが嬉しそうな笑顔を浮かべながら告げた。
「分かったわ、はるか……。でも、知ってのとおり、今回のシチリアン・マフィアは非常に危険な連中よ。私の護衛を買って出てくれたのは嬉しいけど、絶対に無茶をしないでね」
「はい。それは、アランさんからも念を押されています。危ないときにはすぐにアランさんに連絡するので、心配しないでください」
(アランったら、やっぱりこの娘に甘いのね……。はるかの方もアランに好意を寄せているみたいだし、くっ付くのも時間の問題かしら……)
内心で笑みを浮かべると、瑞紀は本題に入った。
「今回、レオナルド=ベーカーの標的にされたのは五人よ。龍成、アラン、玲奈さん、純、そして、私よ……」
「アランさんも標的の一人なんですかッ!」
瑞紀の言葉に驚いて、はるかが叫んだ。
「そう……。でも、龍成とアランは個人の戦闘力も高いし、何よりも<星月夜>の一員だわ。ベーカーといえども、簡単に手出しは出来ないはずよ」
「そうですよね……。良かった……」
ホッと胸を撫で下ろしながら、はるかが呟いた。その様子を見つめながら、瑞紀が話を続けた。
「玲奈さんはベーカーに対する恐怖を徹底的に刻みつけられたわ。だから、次の標的から外して問題ないと思う。そうなると、危険なのは純と私ってことになるわ。私にはあなたがガードに付いてくれた。だから、純のガードは私がするつもりよ……」
「それなら、心配いりません。神崎さんには別のガードが付きますから……」
「えッ……? 別のガード……?」
笑顔で告げたはるかの言葉に、瑞紀は驚いて彼女の顔を見つめた。純一郎にガードが付くなんて話は初耳だった。
「はい。神崎さんのガードには、西園寺さんが付くことになりました。何かあれば、白銀さんもフォローするはずだから、何も心配いりませんよ」
「凛桜さんが……?」
凛桜は瑞紀から龍成を奪った女だった。命の恩人でなければ、9mmパラベラム弾の二、三発は喰らわせたいほど、瑞紀は凛桜に対して怒りを感じていた。その彼女が最愛の純一郎に近づいていることを聞くと、瑞紀は居ても立ってもいられない感情に支配された。
「純のところに行くわッ!」
M93RMK2の入ったバーキンを手に取ると、瑞紀は応接室のソファから立ち上がった。そして、乱暴に応接室のドアを開けると、錦織たちの驚愕の視線を無視して<楪探偵事務所>から出て行った。
「待ってください、瑞紀さんッ……!」
慌てて瑞紀の後を追いかけるはるかの背中を、錦織たちは何事が起こったのかと息を潜めながら見送った。
(瑞紀ちゃん、絶対にいい気持ちはしないだろうな……)
<櫻華会>本部の近くにある花園神社に到着すると、西園寺凛桜は大鳥居をくぐって神社の本殿へと向かった。特別信心深い方ではなかったが、何となくお参りをしたくなったのだ。
手水で手と口を清めてから鈴を鳴らし、二十円を取り出して賽銭箱に入れた。「二重縁」に掛けたのだ。そして、二礼二拍手一礼をしてから両手を合わせて祈り始めた。
(龍成との絆が末永く続きますように……。そして、瑞紀ちゃんとの関係も上手く行きますように……)
少し欲張りかとも思ったが、「二重縁」に期待して凛桜は心の中で真剣に祈った。龍成が自分を選んでくれたことは嬉しかったが、それによって瑞紀を泣かせたことに凛桜は責任を感じていたのだ。
「陸奥の しのぶもぢずり 誰ゆゑに 乱れそめにし 我ならなくに」
引いた御神籤は末吉だった。そこに書かれていた和歌を、凛桜は声に出して読み上げた。
(『陸奥の信夫地方で作られた乱れ模様の文字摺(摺り衣)のように、誰かのために心を乱す私ではないのに、あなたを想うと私の心は乱れ始める』……)
横に書かれていた現代語訳を見て、まるで今の自分のようだと凛桜は思った。龍成や瑞紀のことを考えると、平静ではいられなかった。
「そうよ……。いつまでも心を乱しているなんて、あたしらしくないわ。悩んでいるなら真っ直ぐにぶつかっていくのが、本来のあたしじゃないか!」
そう告げると、凛桜は御神籤を境内の木の枝に結びつけた。そして、気を取り直したように笑顔を浮かべると、大鳥居に向かって歩き出した。
その時、背後に人の気配を感じて凛桜は振り向いた。
「お嬢さん、ちょっと道を訊ねたいんだが……」
漆黒のスーツに身を包んだ外国人が、凛桜のすぐ後ろに立っていた。黒いサングラスで目元を隠している百九十センチ近い屈強な男だった。「お嬢さん」とイタリア語で話しかけられたことから、凛桜は彼がシチリアン・マフィアの一員であることを悟った。
(いつの間に……? 付けられていた……?)
いつでも駆け出せるように身構えながら、凛桜がプラダのバッグに右手を入れた。手探りでグロッグ17の銃把を握り締めると、凛桜が厳しい口調で男に告げた。
「西新宿署の留置場に行きたいの? それとも、<星月夜>本部に行きたいのかしら?」
「元気のいいお嬢さんだな……」
「そのくらいの方が、色々と楽しめるさ……」
右後ろだけでなく、左後方からも声が聞こえた。三方からゆっくりと近づいてくる男たちに、凛桜は驚愕して唇を噛みしめた。
(こいつら、プロだ……! 全然、気配を感じなかった……)
「近寄らないでッ! 撃つわよッ!」
プラダのバッグから右手を引き抜くと、凛桜はグロッグ17の銃口を正面の男に向けながら叫んだ。だが、男は何の動揺も見せずに、ニヤリと笑みを浮かべながら告げた。
「撃ったらどうだ? その瞬間、後ろの二人がお前を撃つ。お前の射撃の腕は調査済みだ。同時に三人を撃つことなどできないだろう?」
シャキンッという音が左右後方から二回聞こえた。後ろの男たちが、銃のスライドを引いた音だった。
「どうやら自分の立場が分かったようだな? 安全装置を掛けて銃をこちらに投げろ。そして、両手を上げるんだ」
「くッ……」
凛桜は男の言うとおりに安全装置をロックすると、グロッグ17を正面の男の足元に投げ捨てた。そして、両手を上げると、男を睨みながら訊ねた。
「あたしをどうするつもり……?」
「ある方がお前に会いたいそうだ。大人しく付いて来い……」
足元のグロッグ17を拾い上げると、ニヤリと笑いを浮かべながら男が告げた。
「ある方って……? まさか、レオナルド=ベーカー……?」
「さあな? 会えば分かる。大声を出したり、逃げようとしたりすれば即座に殺す。死にたくなければ、俺に付いて来い」
そう命じると、男はリオに背を向けてゆっくりと歩き始めた。
(後ろの男たちに隙はない……。今は大人しく言うことを聞くしかないわ……)
背後に立つ男たちからの殺気を感じると、凛桜は正面の男の背中を見据えながら歩き出した。凛桜の歩調に合わせて、後ろの二人も歩を進め始めた。
(龍成に連絡を取らないと……)
左手首のリスト・タブレットに右手で触れようとした瞬間、左後方の男が鋭い声で告げた。
「余計なことをするなッ! リスト・タブレットに触れたら、即座に撃つッ!」
何の感情も込められていない男の声に、凛桜はリスト・タブレットから右手を離した。
(こいつら、人を殺すことに何の躊躇いもないわ……。このままじゃ、まずい……)
瑞紀や玲奈がマフィアに拉致されてどんな眼に遭ったかを思い出し、凛桜は湧き上がる恐怖を必死で噛み殺した。いくら男勝りの性格をしているとはいえ、凛桜も若い女性だ。マフィアに凌辱されることを察すると、ガクガクと脚が震えてきた。
「乗れ……」
宝物殿と山車庫の間にある小道を進み、唐獅子を越えて境内の外に出ると、一台の黒いワゴン車が停まっていた。男は後部座席のスライドドアを開けて、凛桜に命じた。
「どこに連れて行く気なの……?」
ドアの前に立つ男に向かって、凛桜が訊ねた。その声が震えていることが、自分でも分かった。この車に乗ったら助けが来る可能性がなくなることは、火を見るより明らかだった。
「黙って乗れッ!」
背後の男が、銃口で凛桜の背中を押した。大声を上げて助けを呼ぼうかと考えたが、凛桜は即座にその考えを捨てた。今までの男たちの言動から、そんなことをした瞬間に撃たれることは明白だったからだ。
(龍成、助けて……)
愛しい男の名を心の中で叫びながら、凛桜はワゴン車に乗り込んだ。
二人の男が凛桜を挟むように左右から後部座席に乗り込んできた。そして、先頭を歩いていた男が助手席に乗り込むと、運転席に乗っていた男がワゴン車を発進させた。男たちは全部で四人いたのだ。
「どこに行くのよ……? 教えて……」
ガチガチと奥歯を震わせながら、凛桜が左隣に座る男に訊ねた。だが、男は返事をする代わりに、凛桜の左手首を掴んだ。
「いやッ! 触らないでッ!」
「これは外させてもらう。GPSで位置情報を把握できるからな……」
そう告げると、男はリスト・タブレットを凛桜の左手首から外し、パワーウィンドを開けて外に投げ捨てた。
(リスト・タブレットが……。龍成と連絡が取れない……)
リスト・タブレットを失ったことで、紛れもない絶望が凛桜を襲った。連絡を取れないだけでなく、男たちが告げたように龍成たちが凛桜の現在位置を把握することさえ不可能になったのだ。
「あたしは白銀龍成の相棒よッ! 龍成は必ずあたしを助けに来るッ! その時が、あんたたちの最期よッ! あたしを攫ったあんたたちを、龍成は絶対に許さないわッ!」
湧き上がる恐怖と絶望を押し殺しながら、凛桜が叫んだ。だが、その必死の言葉は男たちに何の感銘も与えなかった。
「うるさい女だ……。少し黙らせるか」
「そうだな。女を黙らせるには、アレが一番だ……」
男たちがニヤリと笑いながら顔を見合わせた。その瞳に浮かぶ残虐な光に気づき、凛桜が大きな瞳に紛れもない恐怖を映した。
「何をする気……? 痛いッ! やめてッ! 乱暴しないでッ!」
右側に座る男が、凛桜の右腕を背中に捻じ上げた。激痛のあまり左手で右肩を押さえながら、凛桜が悲鳴を上げた。
カシャッという音とともに、右手首に手錠が掛けられた。男は力尽くで凛桜の左手を掴むと、両腕に手錠を掛けて背中で拘束した。
「いやッ! 外してッ……!」
ガチャガチャと音を立てながら、凛桜が背中に廻された両腕を動かした。左側の男がセンターコンソールボックスからアイマスクを取り出すと、凛桜の両目に押しつけてきた。あっという間に、凛桜は両手の自由と視界を奪われた。
「イヤだ、こんなのッ! 外してッ! 外せぇッ!」
襟元で揃えた赤茶色のボブヘアを振り乱しながら、凛桜が激しく上半身を揺らした。だが、その叫びさえ、男たちの耳には楽しげな旋律としか聞こえなかった。
「目的地に着くまでは、あと一時間以上ある。その間、少し楽しませてもらおうか?」
右手の男が凛桜のブラウスの胸元を両手で握ると、一気に引き裂いた。ボタンがはじけ飛び、ピンクのブラジャーに覆われた白い胸が男たちの眼に晒された。
「いやぁああッ……! やめてぇッ……!」
絶叫する凛桜を無視して、男がブラジャーのフロントホックを外した。プルンと重たげに揺れながら、豊かな乳房が姿を現した。
「でかい胸だ……。だが、乳首は綺麗なピンク色で小さめだな……」
男たちは左右から凛桜の乳房に手を這わし、シナシナと揉み上げ始めた。そして、瞬く間に硬さを増してきた乳首を摘まみ上げると、コリコリと指先で扱きだした。
「いやあッ! 触らないでッ!」
激しく上半身をくねらせて暴れる凛桜の肩を、男たちがシートに押しつけながら告げた。
「感度がいいな。もうこんなに硬くなってきた。感じているのか?」
「そんなはずないでしょッ! 触るなッ! 変態ッ!」
力尽くで両肩を押しつけられ、身動きが取れなくなった凛桜が鋭い声で叫んだ。だが、敏感な乳首を摘ままれて引っ張られると、ビクンと白い顎を突き出して仰け反った。
「感じてないのか? それならば、ちゃんと感じさせてやらないと悪いな……」
右側の男がフレアスカートを捲り上げると、薄いパンティの上から秘唇を撫で上げてきた。好きでもない男に羞恥の源泉を触られて、凛桜は悲鳴を上げた。
「そんなとこ、触るなッ! やだッ! やめてぇッ!」
慌てて両脚を閉じたが、男の右手はすでに太股の間にあった。男の指が敏感な突起を捉え、コリコリと円を描くように擦りだした。
「ひッ……! いやぁあッ! やめてッ……!」
腰骨を溶かすような愉悦が背筋を舐め上げて、凛桜はビクンッと大きく仰け反りながら悲鳴を上げた。この数ヶ月間で龍成に開発された女体は、男たちの与える愛撫に望まない反応を示した。
(こんな奴らに触られて、快感なんて感じるはずないッ……!)
だが、乳房を揉みしだかれ、乳首を扱かれ、肉の突起を嬲られると、凛桜の意志を無視して全身がビクビクッと震え始めた。
「どうやら感じ始めたようだな。下着が濡れてきたぞ……」
女の生理を揶揄するような口調で、右手の男が告げた。その言葉にカアッと顔を赤らめると、凛桜は首を振りながら小声で否定した。
「そんなはず、ない……。そんな下手くそな愛撫で感じるはずなんて、絶対にないわ……」
だが、花唇から愛蜜が溢れ始めていることは、自分自身が誰よりも分かっていた。
「では、直接触って確かめてやろう……」
「えッ……? いやッ! やめてッ! やだぁあ……!」
凛桜の拒絶の言葉を無視すると、男が右手をパンティの中に入れ、柔らかい叢をかき分けて秘唇を擦り上げてきた。クチュクチュと卑猥な音色が狭い車内に響き渡った。
「ひッ……! やだッ……くッ……やめッ……んくッ……いやッ……!」
漏れ出そうになる嬌声を噛み殺しながら、凛桜が真っ赤に染まった顔を激しく振った。赤茶色の髪が舞い乱れ、男たちの被虐心を誘った。
「ひぃいいッ……!」
凛桜がビクンッと大きく仰け反った。男が慣れた手つきで薄皮を剥き上げ、真っ赤に充血した真珠粒を剥き出したのだ。そして、肉扉から溢れ出る愛液を塗りつけながら、男の指が真珠粒を嬲り始めた。
「いやッ……だめッ……んッ、あッ……やめッ……あッ、あひッ……いやぁあッ……!」
快美の火柱が腰骨を灼き溶かし、背筋を走り抜けて脳天に雷撃を落とした。女の最大の弱点に加えられる淫虐に、凛桜はビクッビクッと総身を震わせながら大きく仰け反った。
「ずいぶんとここが好きなようだな? では、集中して責めてやろう……」
そう告げると、男は力が抜けた凛桜の腰を持ち上げて、一気にパンティを両脚から抜き去った。そして、両手で内股を掴むと、ガバッと大きく脚を開かせた。
「いやッ……だめッ……ひぃいいッ!」
凛桜の抵抗の声は、男の舌技によって中断された。ピチャピチャと音を立てながら、男が大きく勃起した真珠粒を舐り始めたのだ。
「あッ、あッ……だめッ……あッ、いやッ……ひッ、だめぇッ……!」
全身をビクンッビクンッと震わせながら、凛桜は激しく首を振って大きく仰け反った。壮絶な愉悦が下半身を灼き溶かし、無意識に腰が淫らに動き始めた。
「どうしたんだ、そんなにイヤらしい声を上げて……? まさか、感じているんじゃないだろうな……?」
左手の男が、豊かな双乳を揉みしだきながら訊ねた。そして、両手の指先でツンと突き勃った乳首を摘まみ上げると、グイッと捻りながら引っ張り上げた。
「ひぃいいッ! いやぁあッ……! だめッ、やめてぇッ! やだぁあッ……!」
秘唇に顔を埋めていた男が、勃起して一回り大きくなった真珠粒をカリッと歯で甘噛みした。その瞬間、凄まじい快美の火柱が凛桜の全身を貫いた。
「あッ、あぁああッ……!」
断末魔の悲鳴とともに大きく仰け反ると、凛桜はビックンッビックンッと総身を激しく痙攣させた。目の前が快絶の閃光に包まれ、意識さえ真っ白に染まった。
ガクッガクッと全身を震わせると、凛桜はグッタリと弛緩してシートに崩れ落ちた。せわしなく熱い吐息を漏らす唇から、ツゥツゥーッと涎が糸を引いて垂れ落ちた。
(こんな連中に……イカされるなんて……)
悔しさのあまり、目尻から涙が溢れ出てアイマスクを濡らした。だが、凛桜の悲嘆を嘲笑うかのように、男たちは再び乳房を揉みしだき、真珠粒に舌を這わせ始めた。絶頂を極めたばかりの女体は、全身の神経が剥き出しになったようなものだ。それを休む間もなく責められたら、堪ったものではなかった。
「待って……今、イッたばかり……あッ、ひッ……! やめてッ……! いやぁああ……!」
愉悦の愉悦を噛みしめる間も与えられずに、凄まじい快感が全身を駆け抜けた。瞬く間に熱い昂ぶりが体中に広がり、凛桜は激しく首を振って悶え啼いた。
「だめッ、だめぇッ……! あッ、あひぃッ……! やめッ……あッ、あッ、あぁああッ……!」
乳房を揉みしだき、乳首を捏ね回しながら、左手の男が耳穴に舌を入れて嬲りだした。それと呼応するかのように、右側の男は真珠粒を舐りながら右手の人差し指と中指を揃えて秘唇に挿し込んできた。肉襞を抉りながら鉤状に指を折り曲げると、粒だった天井部分を激しく擦り上げ始めた。
ありとあらゆる女の性感帯を同時に責められ、凛桜は半狂乱になって啼き叫んだ。快美の火柱が全身を貫き、脳天を何度も落雷が襲った。
「だめぇえッ! イッちゃうッ……! 許してッ! イクッ!」
ビックンッビックンッと激しく総身を痙攣させると、凛桜は二度目の絶頂を極めた。だが、歓悦の頂点に達しているにも拘わらず、男たちは凛桜への責めを止めなかった。それどころか、彼らの責めはより激しさを増し、凛桜のあらゆる性感帯に襲いかかった。
「ひぃいいッ! だめぇえッ! 今、イッてるッ! 許してぇえッ! また、イッちゃうッ! イクぅううッ!」
「お願い、許してッ! イクの、止まらないッ! おかしくなっちゃうッ! いやあぁッ……!」
「だめぇッ……! もう、許してぇえッ! 狂うッ! 狂っちゃうッ! いやぁッ! イグぅううッ!」
プシャアッという音とともに、秘唇から愛液の潮流が迸った。凛桜は何度目かも分からなくなった絶頂を壮絶に極めた。だが、顔面に愛蜜の迸りを受けても、男は舌技を止めなかった。プシャップシャッと秘液を撒き散らしながら、凛桜は数え切れないほどの快絶の頂点を極めさせられた。
その壮絶な絶頂地獄は、凛桜が失神するまで続けられた。
真っ直ぐに伸ばした右手の指をこめかみに付けながら、早瀬はるかが背筋を伸ばして敬礼をした。玲奈を救出した後、はるかは警視庁西新宿署を退職して正式に<星月夜>の特別捜査官となったのだ。好きな銃器を常時携帯できる特別捜査官は、はるかにとってまさに天職だった。
「よろしく……。護衛って、あなただったのね……」
小さくため息をつきながら、瑞紀がはるかに告げた。てっきり若手の男性特別捜査官が来ると思っていた瑞紀は、いささか拍子抜けした。
(まあ、射撃の腕は一流だし、彼女が危険になればアランが出てくるはずだから悪い話じゃないか……)
はるかはアランの推薦で特別捜査官になったこともあり、彼に特別な感情を抱いているようだった。アランもはるかに悪い感情は持っていないどころか、好意さえ感じているように思えた。はるかの危機には、アランが駆けつけることは間違いなさそうだった。
「はい、任せてくださいッ! ちょうど昨日、シルヴェリオさんからこれが届いたんです。さっき、<星月夜>の射撃訓練場で試し撃ちをしてきたんですッ! もう最高ですッ!」
左脇に吊ったショルダーホルスターからM93RSSを抜くと、はるかは応接卓の上に置いた。
「M93RSS……! よく手に入ったわね。さすが、シルヴェリオさんだわ……」
M93RSSの基本性能は、瑞紀がシルヴェリオから買ったM93RCCと同等だ。単射、フルオート、3点射の三種類の発射モードを有し、銃爪もアルミ合金製のストレート・トリガーを採用している。
M93RCCとの違いは樹脂パーツを多用して軽量化されている点だった。830gのM93RCCと比べて、重量も780gに抑えられていた。
「凄く軽い……。グリップの形状も握りやすいし、重量バランスもいいわね。撃ったときの反動はどうだった?」
M93RSSを右の壁に向かって構えると、瑞紀が驚きながら訊ねた。
「軽いだけあって、それなりに銃口の跳ね上がりはありますね。五十メートルレンジでは、3点射をすると初弾と三弾の着弾位置が十センチくらいずれます」
「私のM93RCCも、そんなもんよ。M93RMK2なら五センチくらいに収まるんだけどね……」
M93RSSをはるかに返しながら、瑞紀が笑顔で告げた。この軽さで十センチのずれならば、優秀と言えた。
「M93RMK2は880gでしたよね? それより100gも軽いなら、仕方ないですよね……」
はるかは反動軽減機能があるM93RMK2を思い出し、羨ましそうに告げた。
反動軽減機能が付いていなくても、握力が三百キロもある高性能義手をしている瑞紀なら多少の銃口の跳ね上がりは力尽くで抑制できる。だが、普通の女性であるはるかには不可能な芸当だった。
「でも、気に入っているんでしょ? 好きな銃を使った方がモチベーションも上がるから、命中率も良くなるわよ」
「そうですよねッ! やっぱり3点射って最高ですッ! 楪さんが3点射にこだわる理由が分かりますッ! もう、今すぐにでもぶっ放したいくらいですッ!」
元警察官にあるまじき言葉を、満面の笑みを浮かべながらはるかが言い放った。
「まあ、ほどほどにね……。ところで、私のことは瑞紀でいいわよ。その方が呼ばれ慣れているから……」
「分かりました、瑞紀さん。じゃあ、あたしもはるかって呼んでください。瑞紀さんの方が先輩だから、呼び捨てで構いません」
瑞紀の言葉に、はるかが嬉しそうな笑顔を浮かべながら告げた。
「分かったわ、はるか……。でも、知ってのとおり、今回のシチリアン・マフィアは非常に危険な連中よ。私の護衛を買って出てくれたのは嬉しいけど、絶対に無茶をしないでね」
「はい。それは、アランさんからも念を押されています。危ないときにはすぐにアランさんに連絡するので、心配しないでください」
(アランったら、やっぱりこの娘に甘いのね……。はるかの方もアランに好意を寄せているみたいだし、くっ付くのも時間の問題かしら……)
内心で笑みを浮かべると、瑞紀は本題に入った。
「今回、レオナルド=ベーカーの標的にされたのは五人よ。龍成、アラン、玲奈さん、純、そして、私よ……」
「アランさんも標的の一人なんですかッ!」
瑞紀の言葉に驚いて、はるかが叫んだ。
「そう……。でも、龍成とアランは個人の戦闘力も高いし、何よりも<星月夜>の一員だわ。ベーカーといえども、簡単に手出しは出来ないはずよ」
「そうですよね……。良かった……」
ホッと胸を撫で下ろしながら、はるかが呟いた。その様子を見つめながら、瑞紀が話を続けた。
「玲奈さんはベーカーに対する恐怖を徹底的に刻みつけられたわ。だから、次の標的から外して問題ないと思う。そうなると、危険なのは純と私ってことになるわ。私にはあなたがガードに付いてくれた。だから、純のガードは私がするつもりよ……」
「それなら、心配いりません。神崎さんには別のガードが付きますから……」
「えッ……? 別のガード……?」
笑顔で告げたはるかの言葉に、瑞紀は驚いて彼女の顔を見つめた。純一郎にガードが付くなんて話は初耳だった。
「はい。神崎さんのガードには、西園寺さんが付くことになりました。何かあれば、白銀さんもフォローするはずだから、何も心配いりませんよ」
「凛桜さんが……?」
凛桜は瑞紀から龍成を奪った女だった。命の恩人でなければ、9mmパラベラム弾の二、三発は喰らわせたいほど、瑞紀は凛桜に対して怒りを感じていた。その彼女が最愛の純一郎に近づいていることを聞くと、瑞紀は居ても立ってもいられない感情に支配された。
「純のところに行くわッ!」
M93RMK2の入ったバーキンを手に取ると、瑞紀は応接室のソファから立ち上がった。そして、乱暴に応接室のドアを開けると、錦織たちの驚愕の視線を無視して<楪探偵事務所>から出て行った。
「待ってください、瑞紀さんッ……!」
慌てて瑞紀の後を追いかけるはるかの背中を、錦織たちは何事が起こったのかと息を潜めながら見送った。
(瑞紀ちゃん、絶対にいい気持ちはしないだろうな……)
<櫻華会>本部の近くにある花園神社に到着すると、西園寺凛桜は大鳥居をくぐって神社の本殿へと向かった。特別信心深い方ではなかったが、何となくお参りをしたくなったのだ。
手水で手と口を清めてから鈴を鳴らし、二十円を取り出して賽銭箱に入れた。「二重縁」に掛けたのだ。そして、二礼二拍手一礼をしてから両手を合わせて祈り始めた。
(龍成との絆が末永く続きますように……。そして、瑞紀ちゃんとの関係も上手く行きますように……)
少し欲張りかとも思ったが、「二重縁」に期待して凛桜は心の中で真剣に祈った。龍成が自分を選んでくれたことは嬉しかったが、それによって瑞紀を泣かせたことに凛桜は責任を感じていたのだ。
「陸奥の しのぶもぢずり 誰ゆゑに 乱れそめにし 我ならなくに」
引いた御神籤は末吉だった。そこに書かれていた和歌を、凛桜は声に出して読み上げた。
(『陸奥の信夫地方で作られた乱れ模様の文字摺(摺り衣)のように、誰かのために心を乱す私ではないのに、あなたを想うと私の心は乱れ始める』……)
横に書かれていた現代語訳を見て、まるで今の自分のようだと凛桜は思った。龍成や瑞紀のことを考えると、平静ではいられなかった。
「そうよ……。いつまでも心を乱しているなんて、あたしらしくないわ。悩んでいるなら真っ直ぐにぶつかっていくのが、本来のあたしじゃないか!」
そう告げると、凛桜は御神籤を境内の木の枝に結びつけた。そして、気を取り直したように笑顔を浮かべると、大鳥居に向かって歩き出した。
その時、背後に人の気配を感じて凛桜は振り向いた。
「お嬢さん、ちょっと道を訊ねたいんだが……」
漆黒のスーツに身を包んだ外国人が、凛桜のすぐ後ろに立っていた。黒いサングラスで目元を隠している百九十センチ近い屈強な男だった。「お嬢さん」とイタリア語で話しかけられたことから、凛桜は彼がシチリアン・マフィアの一員であることを悟った。
(いつの間に……? 付けられていた……?)
いつでも駆け出せるように身構えながら、凛桜がプラダのバッグに右手を入れた。手探りでグロッグ17の銃把を握り締めると、凛桜が厳しい口調で男に告げた。
「西新宿署の留置場に行きたいの? それとも、<星月夜>本部に行きたいのかしら?」
「元気のいいお嬢さんだな……」
「そのくらいの方が、色々と楽しめるさ……」
右後ろだけでなく、左後方からも声が聞こえた。三方からゆっくりと近づいてくる男たちに、凛桜は驚愕して唇を噛みしめた。
(こいつら、プロだ……! 全然、気配を感じなかった……)
「近寄らないでッ! 撃つわよッ!」
プラダのバッグから右手を引き抜くと、凛桜はグロッグ17の銃口を正面の男に向けながら叫んだ。だが、男は何の動揺も見せずに、ニヤリと笑みを浮かべながら告げた。
「撃ったらどうだ? その瞬間、後ろの二人がお前を撃つ。お前の射撃の腕は調査済みだ。同時に三人を撃つことなどできないだろう?」
シャキンッという音が左右後方から二回聞こえた。後ろの男たちが、銃のスライドを引いた音だった。
「どうやら自分の立場が分かったようだな? 安全装置を掛けて銃をこちらに投げろ。そして、両手を上げるんだ」
「くッ……」
凛桜は男の言うとおりに安全装置をロックすると、グロッグ17を正面の男の足元に投げ捨てた。そして、両手を上げると、男を睨みながら訊ねた。
「あたしをどうするつもり……?」
「ある方がお前に会いたいそうだ。大人しく付いて来い……」
足元のグロッグ17を拾い上げると、ニヤリと笑いを浮かべながら男が告げた。
「ある方って……? まさか、レオナルド=ベーカー……?」
「さあな? 会えば分かる。大声を出したり、逃げようとしたりすれば即座に殺す。死にたくなければ、俺に付いて来い」
そう命じると、男はリオに背を向けてゆっくりと歩き始めた。
(後ろの男たちに隙はない……。今は大人しく言うことを聞くしかないわ……)
背後に立つ男たちからの殺気を感じると、凛桜は正面の男の背中を見据えながら歩き出した。凛桜の歩調に合わせて、後ろの二人も歩を進め始めた。
(龍成に連絡を取らないと……)
左手首のリスト・タブレットに右手で触れようとした瞬間、左後方の男が鋭い声で告げた。
「余計なことをするなッ! リスト・タブレットに触れたら、即座に撃つッ!」
何の感情も込められていない男の声に、凛桜はリスト・タブレットから右手を離した。
(こいつら、人を殺すことに何の躊躇いもないわ……。このままじゃ、まずい……)
瑞紀や玲奈がマフィアに拉致されてどんな眼に遭ったかを思い出し、凛桜は湧き上がる恐怖を必死で噛み殺した。いくら男勝りの性格をしているとはいえ、凛桜も若い女性だ。マフィアに凌辱されることを察すると、ガクガクと脚が震えてきた。
「乗れ……」
宝物殿と山車庫の間にある小道を進み、唐獅子を越えて境内の外に出ると、一台の黒いワゴン車が停まっていた。男は後部座席のスライドドアを開けて、凛桜に命じた。
「どこに連れて行く気なの……?」
ドアの前に立つ男に向かって、凛桜が訊ねた。その声が震えていることが、自分でも分かった。この車に乗ったら助けが来る可能性がなくなることは、火を見るより明らかだった。
「黙って乗れッ!」
背後の男が、銃口で凛桜の背中を押した。大声を上げて助けを呼ぼうかと考えたが、凛桜は即座にその考えを捨てた。今までの男たちの言動から、そんなことをした瞬間に撃たれることは明白だったからだ。
(龍成、助けて……)
愛しい男の名を心の中で叫びながら、凛桜はワゴン車に乗り込んだ。
二人の男が凛桜を挟むように左右から後部座席に乗り込んできた。そして、先頭を歩いていた男が助手席に乗り込むと、運転席に乗っていた男がワゴン車を発進させた。男たちは全部で四人いたのだ。
「どこに行くのよ……? 教えて……」
ガチガチと奥歯を震わせながら、凛桜が左隣に座る男に訊ねた。だが、男は返事をする代わりに、凛桜の左手首を掴んだ。
「いやッ! 触らないでッ!」
「これは外させてもらう。GPSで位置情報を把握できるからな……」
そう告げると、男はリスト・タブレットを凛桜の左手首から外し、パワーウィンドを開けて外に投げ捨てた。
(リスト・タブレットが……。龍成と連絡が取れない……)
リスト・タブレットを失ったことで、紛れもない絶望が凛桜を襲った。連絡を取れないだけでなく、男たちが告げたように龍成たちが凛桜の現在位置を把握することさえ不可能になったのだ。
「あたしは白銀龍成の相棒よッ! 龍成は必ずあたしを助けに来るッ! その時が、あんたたちの最期よッ! あたしを攫ったあんたたちを、龍成は絶対に許さないわッ!」
湧き上がる恐怖と絶望を押し殺しながら、凛桜が叫んだ。だが、その必死の言葉は男たちに何の感銘も与えなかった。
「うるさい女だ……。少し黙らせるか」
「そうだな。女を黙らせるには、アレが一番だ……」
男たちがニヤリと笑いながら顔を見合わせた。その瞳に浮かぶ残虐な光に気づき、凛桜が大きな瞳に紛れもない恐怖を映した。
「何をする気……? 痛いッ! やめてッ! 乱暴しないでッ!」
右側に座る男が、凛桜の右腕を背中に捻じ上げた。激痛のあまり左手で右肩を押さえながら、凛桜が悲鳴を上げた。
カシャッという音とともに、右手首に手錠が掛けられた。男は力尽くで凛桜の左手を掴むと、両腕に手錠を掛けて背中で拘束した。
「いやッ! 外してッ……!」
ガチャガチャと音を立てながら、凛桜が背中に廻された両腕を動かした。左側の男がセンターコンソールボックスからアイマスクを取り出すと、凛桜の両目に押しつけてきた。あっという間に、凛桜は両手の自由と視界を奪われた。
「イヤだ、こんなのッ! 外してッ! 外せぇッ!」
襟元で揃えた赤茶色のボブヘアを振り乱しながら、凛桜が激しく上半身を揺らした。だが、その叫びさえ、男たちの耳には楽しげな旋律としか聞こえなかった。
「目的地に着くまでは、あと一時間以上ある。その間、少し楽しませてもらおうか?」
右手の男が凛桜のブラウスの胸元を両手で握ると、一気に引き裂いた。ボタンがはじけ飛び、ピンクのブラジャーに覆われた白い胸が男たちの眼に晒された。
「いやぁああッ……! やめてぇッ……!」
絶叫する凛桜を無視して、男がブラジャーのフロントホックを外した。プルンと重たげに揺れながら、豊かな乳房が姿を現した。
「でかい胸だ……。だが、乳首は綺麗なピンク色で小さめだな……」
男たちは左右から凛桜の乳房に手を這わし、シナシナと揉み上げ始めた。そして、瞬く間に硬さを増してきた乳首を摘まみ上げると、コリコリと指先で扱きだした。
「いやあッ! 触らないでッ!」
激しく上半身をくねらせて暴れる凛桜の肩を、男たちがシートに押しつけながら告げた。
「感度がいいな。もうこんなに硬くなってきた。感じているのか?」
「そんなはずないでしょッ! 触るなッ! 変態ッ!」
力尽くで両肩を押しつけられ、身動きが取れなくなった凛桜が鋭い声で叫んだ。だが、敏感な乳首を摘ままれて引っ張られると、ビクンと白い顎を突き出して仰け反った。
「感じてないのか? それならば、ちゃんと感じさせてやらないと悪いな……」
右側の男がフレアスカートを捲り上げると、薄いパンティの上から秘唇を撫で上げてきた。好きでもない男に羞恥の源泉を触られて、凛桜は悲鳴を上げた。
「そんなとこ、触るなッ! やだッ! やめてぇッ!」
慌てて両脚を閉じたが、男の右手はすでに太股の間にあった。男の指が敏感な突起を捉え、コリコリと円を描くように擦りだした。
「ひッ……! いやぁあッ! やめてッ……!」
腰骨を溶かすような愉悦が背筋を舐め上げて、凛桜はビクンッと大きく仰け反りながら悲鳴を上げた。この数ヶ月間で龍成に開発された女体は、男たちの与える愛撫に望まない反応を示した。
(こんな奴らに触られて、快感なんて感じるはずないッ……!)
だが、乳房を揉みしだかれ、乳首を扱かれ、肉の突起を嬲られると、凛桜の意志を無視して全身がビクビクッと震え始めた。
「どうやら感じ始めたようだな。下着が濡れてきたぞ……」
女の生理を揶揄するような口調で、右手の男が告げた。その言葉にカアッと顔を赤らめると、凛桜は首を振りながら小声で否定した。
「そんなはず、ない……。そんな下手くそな愛撫で感じるはずなんて、絶対にないわ……」
だが、花唇から愛蜜が溢れ始めていることは、自分自身が誰よりも分かっていた。
「では、直接触って確かめてやろう……」
「えッ……? いやッ! やめてッ! やだぁあ……!」
凛桜の拒絶の言葉を無視すると、男が右手をパンティの中に入れ、柔らかい叢をかき分けて秘唇を擦り上げてきた。クチュクチュと卑猥な音色が狭い車内に響き渡った。
「ひッ……! やだッ……くッ……やめッ……んくッ……いやッ……!」
漏れ出そうになる嬌声を噛み殺しながら、凛桜が真っ赤に染まった顔を激しく振った。赤茶色の髪が舞い乱れ、男たちの被虐心を誘った。
「ひぃいいッ……!」
凛桜がビクンッと大きく仰け反った。男が慣れた手つきで薄皮を剥き上げ、真っ赤に充血した真珠粒を剥き出したのだ。そして、肉扉から溢れ出る愛液を塗りつけながら、男の指が真珠粒を嬲り始めた。
「いやッ……だめッ……んッ、あッ……やめッ……あッ、あひッ……いやぁあッ……!」
快美の火柱が腰骨を灼き溶かし、背筋を走り抜けて脳天に雷撃を落とした。女の最大の弱点に加えられる淫虐に、凛桜はビクッビクッと総身を震わせながら大きく仰け反った。
「ずいぶんとここが好きなようだな? では、集中して責めてやろう……」
そう告げると、男は力が抜けた凛桜の腰を持ち上げて、一気にパンティを両脚から抜き去った。そして、両手で内股を掴むと、ガバッと大きく脚を開かせた。
「いやッ……だめッ……ひぃいいッ!」
凛桜の抵抗の声は、男の舌技によって中断された。ピチャピチャと音を立てながら、男が大きく勃起した真珠粒を舐り始めたのだ。
「あッ、あッ……だめッ……あッ、いやッ……ひッ、だめぇッ……!」
全身をビクンッビクンッと震わせながら、凛桜は激しく首を振って大きく仰け反った。壮絶な愉悦が下半身を灼き溶かし、無意識に腰が淫らに動き始めた。
「どうしたんだ、そんなにイヤらしい声を上げて……? まさか、感じているんじゃないだろうな……?」
左手の男が、豊かな双乳を揉みしだきながら訊ねた。そして、両手の指先でツンと突き勃った乳首を摘まみ上げると、グイッと捻りながら引っ張り上げた。
「ひぃいいッ! いやぁあッ……! だめッ、やめてぇッ! やだぁあッ……!」
秘唇に顔を埋めていた男が、勃起して一回り大きくなった真珠粒をカリッと歯で甘噛みした。その瞬間、凄まじい快美の火柱が凛桜の全身を貫いた。
「あッ、あぁああッ……!」
断末魔の悲鳴とともに大きく仰け反ると、凛桜はビックンッビックンッと総身を激しく痙攣させた。目の前が快絶の閃光に包まれ、意識さえ真っ白に染まった。
ガクッガクッと全身を震わせると、凛桜はグッタリと弛緩してシートに崩れ落ちた。せわしなく熱い吐息を漏らす唇から、ツゥツゥーッと涎が糸を引いて垂れ落ちた。
(こんな連中に……イカされるなんて……)
悔しさのあまり、目尻から涙が溢れ出てアイマスクを濡らした。だが、凛桜の悲嘆を嘲笑うかのように、男たちは再び乳房を揉みしだき、真珠粒に舌を這わせ始めた。絶頂を極めたばかりの女体は、全身の神経が剥き出しになったようなものだ。それを休む間もなく責められたら、堪ったものではなかった。
「待って……今、イッたばかり……あッ、ひッ……! やめてッ……! いやぁああ……!」
愉悦の愉悦を噛みしめる間も与えられずに、凄まじい快感が全身を駆け抜けた。瞬く間に熱い昂ぶりが体中に広がり、凛桜は激しく首を振って悶え啼いた。
「だめッ、だめぇッ……! あッ、あひぃッ……! やめッ……あッ、あッ、あぁああッ……!」
乳房を揉みしだき、乳首を捏ね回しながら、左手の男が耳穴に舌を入れて嬲りだした。それと呼応するかのように、右側の男は真珠粒を舐りながら右手の人差し指と中指を揃えて秘唇に挿し込んできた。肉襞を抉りながら鉤状に指を折り曲げると、粒だった天井部分を激しく擦り上げ始めた。
ありとあらゆる女の性感帯を同時に責められ、凛桜は半狂乱になって啼き叫んだ。快美の火柱が全身を貫き、脳天を何度も落雷が襲った。
「だめぇえッ! イッちゃうッ……! 許してッ! イクッ!」
ビックンッビックンッと激しく総身を痙攣させると、凛桜は二度目の絶頂を極めた。だが、歓悦の頂点に達しているにも拘わらず、男たちは凛桜への責めを止めなかった。それどころか、彼らの責めはより激しさを増し、凛桜のあらゆる性感帯に襲いかかった。
「ひぃいいッ! だめぇえッ! 今、イッてるッ! 許してぇえッ! また、イッちゃうッ! イクぅううッ!」
「お願い、許してッ! イクの、止まらないッ! おかしくなっちゃうッ! いやあぁッ……!」
「だめぇッ……! もう、許してぇえッ! 狂うッ! 狂っちゃうッ! いやぁッ! イグぅううッ!」
プシャアッという音とともに、秘唇から愛液の潮流が迸った。凛桜は何度目かも分からなくなった絶頂を壮絶に極めた。だが、顔面に愛蜜の迸りを受けても、男は舌技を止めなかった。プシャップシャッと秘液を撒き散らしながら、凛桜は数え切れないほどの快絶の頂点を極めさせられた。
その壮絶な絶頂地獄は、凛桜が失神するまで続けられた。
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