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2章

2-40 再戦!「巨大ゴーレム」②

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 嵐がやみ、再びゴーレムの姿が現れる。

 あれだけの攻撃を受けて、黒光りした体には傷一つない。

 今回の勝利条件はゴーレムの撃破ではない。

 動きを封じてくれさえすればいいのだ。

「ふぅ、じゃあ、行くわよ!」

 風の翼でリーズがゴーレムに近づく。

 やはり一定の距離まで来ると迎撃するようだ。

 俺はシルフィに乗り、戦闘を注意深く見守る。

 起動したゴーレムはリーズへと攻撃を始めるが一撃も当たらないどころか、かする気配すらない。

 リーズが上空へ飛び、ゴーレムの注意が上へ向いた瞬間にナツキとカリーナが一気に距離を詰める。

 右方向からはナツキが黒い炎をまとった刀を振りかざし。

 左方向からカリーナが目に見えるほどの雷撃をまとった剣での一撃を。

 二人の攻撃は確実にダメージを与えた、ように見えた。

 深くえぐられたゴーレムだが、それでもコアの破壊には至らない。

 そして、さらな驚くべきはその回復速度。

 えぐられた位置に周囲の土がかぶさり、傷を埋める。

 その部分だけ色が違うが、ものの数秒で再度黒光りする。

 さっきのリーズの攻撃も、恐らくこうして回復していたのだろう。

 この地形は、向こうに有利すぎるのかもしれない。

 ゴーレムの速度と、「奥」までの距離を考えるとこの程度の時間稼ぎでは全然足りない。

 二人はゴーレムからすぐに距離を取り、苦笑いしている。

「参ったわね、まさかコアに届かないなんて…」

「でも攻撃は成功しました。
 次は破壊できます。」

 そう、傷つけることは出来るのだ。

 攻撃に関してもでかい図体にしてはかなり早いが、俺意外のここにいるメンバーなら集中すればよけきれないほどではない。

「じゃあ、次行ってみようか。」

 あらかじめいくつかの作戦は考えていたが、ナツキとカリーナの攻撃であれだけのダメージを与えられるのだ、次の作戦は成功するはず。

 俺はシャーリーに合図を送る。

 彼女は頷くと、槍を地面に立てて集中を始める。

「沈みなさい、デカブツやろう!」

 叫び声と共にゴーレムは地面へと一気に沈む。

 シャーリーの水魔法と地魔法の組み合わせで、ゴーレムの足場を泥沼にしたのだ。

 自重で腰のあたりまで沈むと、サラが地面に触れてそれを一気に固める。

「次は破壊します。」

 ナツキは再度黒い炎をまとった刀で今度は頭へ攻撃を行う。

 大きくえぐれ、コアであろう魔石が露出するが無傷だ。

「ナツキ!」

 カリーナは叫びそれを聞いてナツキは下がる。

 修復される前にカリーナの剣がコアへ直撃する。

 大きく火花が散り、直後爆発音が響く。

 魔石にヒビが入っているが、まだ破壊は出来ていない。

「リベンジよ【ウインドカッター】」

 次の瞬間、魔石は砕け散りゴーレムの頭が破壊される。

 破壊された頭は再生されない。

 どうやら成功したようだ。

 だがそれも長くはもたない、「頭」はしょせん形だけのモノであり、10個のコアの内、一つを破壊したに過ぎないのだから。

 サラとシャーリーの拘束から抜け出そうとゴーレムはもがき、すでに体は土から出始めている。

 しかし、それはそれ。

 今回の勝利条件は「ゴーレムの撃破」ではないのだ。

 俺とシルフィはゴーレムが行かせないようにしていた「奥」へたどり着いていた。
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