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2章
2-38 ゴーレムの主
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巨大ゴーレムのステータスを確認したところで俺たちは撤退を決定した。
無暗にけが人を増やすよりは、新しく分かった事を整理して立て直したほうが良いだろう。
ダンジョン前の拠点に帰って、カリーナを交えて会議を行う。
そこで俺は『把握』した内容をすべて説明する。
10個のコアに、複数のスキルを持ち、「主」がいる。
つまり、あのダンジョンは「人工物」である可能性が非常に高い。
「それほどのゴーレムを一人で造りだすなど、聞いたことも有りません…」
カリーナだけでなく、リーズや軍の人間も驚いていた。
「ダンジョンが人によって作られた例はあるんですか?」
俺の疑問にキールが答えてくれる。
「かつて、「迷い人」が管理していたダンジョンは有りました。
しかし、一から創り出したという話は聞いたことがありません。」
俺もそうだが、「迷い人」のスキルは本人の価値観でこの世界の価値観を越える。
それに今回の戦闘で死者は一人も出ていない、それどころか撤退するときには追っても来なかった。
「サーグベルト・リズマイヤー」が異世界人である可能性は十分あるだろう。
問題はあのゴーレムを突破できたとして、その人が何を考えているか、だ…
「もし、「リズマイヤー」氏が「迷い人」なら、自分の身を守るためにゴーレムを使っている可能性がある。
排除命令が出ないように、情報は伏せてもらえませんか?」
カリーナにお願いする。
いきなり違う世界で人のいない島に放りだされたのだとしたら…
もちろんそうじゃない可能性もあるが、話が出来るのであれば、確認したいところだ。
「あなたには世話になってますので。
この件はしばらくここにいるメンバーだけで秘匿しましょう。」
カリーナは俺の願いを聞き入れてくれた。
「しかし、再調査するにも戦力が足りませんね…」
ナツキがつぶやく、それが問題だ…
十分な戦力を集めたつもりだったが、あのゴーレムと戦うには足りなかったようだ。
もし、「サーグベルト」が自分の身を守るのが目的なら、戦う必要はないと思うが、それすらも不確定だ。
「では、次の攻略には私も参加しましょう。」
ナツキの呟きを受けて、カリーナは参加を申し出る。
「もし、ゴーレムの主が敵対するというのなら、この島の「領主代理」として見過ごせません。
それに…」
そこまで言うとカリーナは黙ってしまった。
「素直に言いなさいよ。
久しぶりに暴れたいって。」
リーズが茶化す。
「そうですね、『「戦姫」カリーナ』が爆発するならあの化け物を退治してもらいましょう。」
それにアーゲルトが乗っかり、笑いに包まれる。
「アーゲルト、覚えていろよ…」
俺の知っているお淑やかさは何処へやら、これが本当のカリーナなのかもしれない。
「と・に・か・く!
これだけの戦力でも敵わないゴーレムを使役する人がいるのは間違いない。
敵対する必要が無いのなら、それに越したことは無いだろう。」
もし「迷い人」なら…
この世界の事を教えて、仲間にしたい。
独りぼっちは、きっと寂しいから。
無暗にけが人を増やすよりは、新しく分かった事を整理して立て直したほうが良いだろう。
ダンジョン前の拠点に帰って、カリーナを交えて会議を行う。
そこで俺は『把握』した内容をすべて説明する。
10個のコアに、複数のスキルを持ち、「主」がいる。
つまり、あのダンジョンは「人工物」である可能性が非常に高い。
「それほどのゴーレムを一人で造りだすなど、聞いたことも有りません…」
カリーナだけでなく、リーズや軍の人間も驚いていた。
「ダンジョンが人によって作られた例はあるんですか?」
俺の疑問にキールが答えてくれる。
「かつて、「迷い人」が管理していたダンジョンは有りました。
しかし、一から創り出したという話は聞いたことがありません。」
俺もそうだが、「迷い人」のスキルは本人の価値観でこの世界の価値観を越える。
それに今回の戦闘で死者は一人も出ていない、それどころか撤退するときには追っても来なかった。
「サーグベルト・リズマイヤー」が異世界人である可能性は十分あるだろう。
問題はあのゴーレムを突破できたとして、その人が何を考えているか、だ…
「もし、「リズマイヤー」氏が「迷い人」なら、自分の身を守るためにゴーレムを使っている可能性がある。
排除命令が出ないように、情報は伏せてもらえませんか?」
カリーナにお願いする。
いきなり違う世界で人のいない島に放りだされたのだとしたら…
もちろんそうじゃない可能性もあるが、話が出来るのであれば、確認したいところだ。
「あなたには世話になってますので。
この件はしばらくここにいるメンバーだけで秘匿しましょう。」
カリーナは俺の願いを聞き入れてくれた。
「しかし、再調査するにも戦力が足りませんね…」
ナツキがつぶやく、それが問題だ…
十分な戦力を集めたつもりだったが、あのゴーレムと戦うには足りなかったようだ。
もし、「サーグベルト」が自分の身を守るのが目的なら、戦う必要はないと思うが、それすらも不確定だ。
「では、次の攻略には私も参加しましょう。」
ナツキの呟きを受けて、カリーナは参加を申し出る。
「もし、ゴーレムの主が敵対するというのなら、この島の「領主代理」として見過ごせません。
それに…」
そこまで言うとカリーナは黙ってしまった。
「素直に言いなさいよ。
久しぶりに暴れたいって。」
リーズが茶化す。
「そうですね、『「戦姫」カリーナ』が爆発するならあの化け物を退治してもらいましょう。」
それにアーゲルトが乗っかり、笑いに包まれる。
「アーゲルト、覚えていろよ…」
俺の知っているお淑やかさは何処へやら、これが本当のカリーナなのかもしれない。
「と・に・か・く!
これだけの戦力でも敵わないゴーレムを使役する人がいるのは間違いない。
敵対する必要が無いのなら、それに越したことは無いだろう。」
もし「迷い人」なら…
この世界の事を教えて、仲間にしたい。
独りぼっちは、きっと寂しいから。
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