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2章

2‐13 戦闘 狼型魔獣

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「起きてください。」

 まだ日が昇っていないが、ナツキに起こされる。

「近くで戦闘しているようです。」

 耳を澄ますと、少し遠くの方で狼の遠吠えのような物と、他の獣だろうか唸り声が聞こえる。

 テントの外へ出ると、リーズは少し離れた位置からそれを確認している。

「戦ってるのは狼型の魔獣とグリフォンの亜種ね。」

 リーズは指さすが、俺には見えない。

「グリフォンが劣勢だけど、どうする?」

 どうする、とは?

「グリフォンはとても賢く人間になつく。
 アレがそうだとは言えないけど…」

「エルフにとってグリフォンはとても大切な生き物なのです。」

 ナツキが説明してくれる。
 リーズとしてはすぐに助けに入りたかったが、パーティーに所属している以上単独行動を控えたという所か。

「リーズ、遠慮する必要ない。
 先に行ってくれ、俺たちもすぐ追う。」

 リーズは頷くと、森へ駆け出す。
 と、いうより飛行してる。

「あれはリーズの特殊スキル「風の翼」です。」

 驚いている俺に説明してくれる。
 
 空を飛ぶスキルがあるのなら、絶対習得したい!

 子供のころからの夢だ。

 いくら異世界とはいえ、考えもしなかった。

「私も先に向かいます。」

 ナツキはリーズを追って森へ入る。

 俺もズボンだけ履き、武器を持つ。

「こっちも準備オッケーだ。」

 ミーシャとアンナはすでに準備できているようだ。

ーーーーーーーーー

 俺たちが追い付く頃には大体終わっているようだった。

 傷ついたグリフォンを守るように、一歩もそばを離れず狼を魔法で切り裂くリーズ。

 邪魔しないようになのか、一定の距離から近づかないナツキ。

 10匹以上の狼の死体。

 圧倒的な力の差を見せつけられてなお、グリフォンへの攻撃をやめようとしない狼。
 
「守りは私一人で充分。
 後はあんた達で処理しなさい。」

 まだ10匹はいる狼、そのほとんどはグリフォンを狙っているが、2匹ほどより弱いであろうこちらへと向かってくる。

 以前戦った狼型魔獣との一番の違いはその大きさ。
 一匹一匹が2mを超える超大型犬クラスだ。

 昼間に見た芋虫もそうだが、もしかすると「大型化」が島中央のダンジョンの特徴かもしれない。

 跳びかかってくる狼の攻撃を何とかよけて体制を立て直す。

「こっちは任せて!」

 後ろにいる一体と向き合っているであろうミーシャはそう声を上げると、すでに「獣人化」しているようだ。

「俺が隙を作る。
 どこでもいいから攻撃を当ててくれ。」

 すぐ後ろのアンナに指示を出し、狼へと向かう。

「グガァッ!」

 狼は大きく前足を振り下ろす、それをスキルで熱した剣でタイミングを見計らい攻撃する。

「ギャァァ!」
 
 高温で肉をえぐる。

 一瞬のけ反ったタイミングで指示を出しアンナがもう一本の前足へと全力で斧を振り下ろす。

 両前足に大きなダメージを追った狼は、叫びながら暴れる。

 後ろを見ると、ミーシャは早さで翻弄してはいるものの、決定打が無いようだ。

 さて、どうした物か…
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