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1章 王都ルーデリー 出会い編

1‐45 港町カルドラ

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 アンナの吸収速度は速かった。

 冒険者としての心得、戦闘での立ち回りなどを移動の休憩中にリーズたちに教わり、2つ目の村を出発する頃には、すっかり俺よりいい動きをするようになっていた。

「しかし魔物も盗賊も来ないから退屈だね…」

「滅多な事を言うんじゃないよ、何もないに越したことは無いんだから。」

 旅を始めた当初の俺のようなことを言うアンナに、俺がそう言うとナツキが「クス」っと噴き出す。

ーーーーーーーーー

「到着です、皆さん本当にありがとうございました。
 この街に私の商会の本社が有りますので、何か困った事があったら是非いらして下さい。」

 ジーモから達成報酬を貰う。

「お互い様ですよ。
 グリーグ島までの船旅や向こうで使う物も揃えたいから、後で向かいますね。」

 そういって一端別れる。

 港町カルドラは想像していた程大きな町ではなかった。

 港には小型船舶と、中型の物がいくつかあるが。
 海賊が乗ってそうな大型なものは停泊していなかった。

「この近海には海獣(魔物とは別の大型の海洋生物、当然魔物化することも有る)も出没しないので漁業が盛んなのですが、貿易港としては王都の東にある街の方が大きく距離も近いため、あまり発展してないのです。」

 説明してくれたナツキだが、来るのは初めてらしい。

「は~、この規模で小さいと言っちゃうあたりが冒険者って感じだね。
 村から出たことのない私には大都会に感じるよ。」

 アンナは他の村ですら数回程度しか言ったことが無い為、驚いている。

ーーーーーーーーー

 カルドラの冒険者ギルドは、大きさこそルーデリーより小さいが、酒場が併設されておりまさに「ギルド」って感じだ。

「お前さんたちか、話は聞いてるよ。」

 受付嬢に通された部屋には立派な髭を蓄えた大柄な男がいた。

「俺はこの街のギルドのトップを務めている「ガーグ」だ。」

 身長も2m超で存在感がある。

「グリーグ島へは明日の定期便で向かう事になる。
 今日のうちに準備を済ませてくれ。」

 簡単な説明をしてもらい、ついでにアンナの登録を済ませる。

ーーーーーーーーー

 ジーモの商会本社はなかなかに立派なものだった。
 
「仕入れたばかりの物でよければ卸価格で提供しますよ。」

 そういって必要そうなものをある程度まとめてくれている。

「ありがとうございます。
 出発は明日と決まったので、挨拶も済ませておきたくて。」

「そうですか…
 妻も紹介したかったのですが、帰りは明日になるそうで…」

 ジーモは少し残念そうだ。

「せめて今日はうちで夕食を取っていってください。」

 ありがたい、ぜひご馳走になろう。
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