失格勇者の剣聖無双

来栖川

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依頼2

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「あれ、見て下さい!珍しい鳥が飛んでいますよ!兄様!」
「姫様危ないですからあまり窓から顔を出さないでください!」
護衛騎士であるカーリーンは馬を馬車に寄せて注意した。ここは大森林の南側にあたる街道である。何が飛んできてもおかしくないくらいにはモンスターもわんさかいるのだ。
「ヘンリー様からも言ってください。ここは危険地帯ですよ。」
「爺や。大丈夫だよ。それに久々の遠出だ。シャルルも楽しいのさ。」
「ですが・・・」
「じーいーや。」
「ふぅーむ。それならば大草原や湖畔から船を出して行けば良いのです。王子や姫様が行くにはここは危険すぎます。」
本来、このような形で大森林を抜けるのは危険だ。20にも満たない騎士のみで護衛を行っているが、道が狭く縦に並ぶ形で馬車と並走している。兵を束ねているのは騎士団長ルドルフと副団長のカーリーン。いずれも聖騎士ではあるが、乱戦になれば不利であることは誰の目にも明らかだ。ただ、これには理由がある。
「先の魔族との戦、シルドの街を護る為に私自らが向かっていたが・・・」
「ええ、耳を疑いました。まさかオーガが要請無く我々を護るなどと言うことがあるのでしょうか。」
「それを確かめに行くのだ。もし叶うのであれば、彼等と協力体制を築きたい。その為、こうして兵を減らして、急いでいるという訳だ。」
「ガルナ様の情報によると現在は彼女の宿屋に泊まっていると言うことですが、路銀が貯まりしだい出て行くそうです。」
ヘンリーはため息をつくと顔を覆った。
「ガルナ嬢か・・・平民に戻らなければ今では彼女が騎士団長だったというのに・・・」
「ガルナ様は優しくて強いものね!また、昔みたいに話したいわ。」
「そうだね。でも、彼女がまだシルドの街に居てくれてることで、こちらも安心できるところもあるんだけどね。」
「そうですね。今回もガルナ様の機転で鳩が届きこうして我々はいち早く行動できている訳ですから。」
そう話しているときだった。急に馬車が停車する。勢い余ってシャルルは爺やに抱えられる形となった。
「何事か!」
ヘンリーは急いで剣を携えると、馬車のドアを勢いよく開けて飛び出した。
「王子!お逃げ下さい!」
カーリーンは槍を構え、そう言った。見ると肩を弓で射貫かれている。鎧の隙間を狙って射られており、相手は相当の腕の者だろうと言うことは明白だった。気付けば周りを30人は居るだろうと言う数の盗賊に囲まれている。
「王子・・・こやつらは盗賊では無いようです。カーリーン・・・王子はもう逃げられん。ここで奴らを撃つぞ!」
ルドルフは大きな剣を構えると決死の覚悟で敵に飛び込んだ。
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